NO ZONE が創る未来:武庫川女子大学バスケットボール部ヘッドコーチ 坂井和明(寄稿:株式会社ERUTLUC 佐東雅幸氏)
こんにちは。株式会社ERUTLUC指導員の佐東雅幸です。以前、GSLでは、「インサイドトラップディフェンス ~ハーフコートでプレッシャーを最大化する〜:トーステン・ロイブル氏クリニック」、「トーステン・ロイブル氏クリニックレポート テーマ「オフボールスクリーン」~どのようにスクリーンでフリーなショットを創れるか~」のクリニックレポートを寄稿しております。
今回、2015年8月末に開催された指導者講習会「NO ZONEが創る未来」での坂井和明さん(武庫川女子大学監督)の講義について、坂井先生の許可を頂き、当日の要点を中心としたレポートを書かせて頂きました。
2017年1月現在、マンツーマン推進に関する動画なども公開されていますが、「なぜ、ゾーンが禁止なのか?」という問いかけから「NO ZONEにする事で何か期待できるのか?」という視点で熱く語られた講義の様子をお届けできれば幸いです。
目次
1.Why no-zone:なぜゾーン禁止なのか?
①2014 FIBA U17 World Championship USA VS JAPAN
第1ピリオド 6-41の衝撃
日本の特徴
- スピードドリブルからキャッチ&ショット
- パスはするが1on1の状況は変わらず…
アメリカの特徴
- ドリブルでショットメイクをする
- ドリブルとショットのバリエーションが多い
②「能力」の視点ではなく、「個人技術」の視点で観る重要性
ニックネームのついた技術群がUSAでたくさんある。
※実際の講義では、坂井先生が分類された様々な技術群が紹介された。本レポートでは省略。
この結果はゾーンディフェンスが直接の原因ではない。しかし、日本のバスケットボールの在り方が影響していることは確かである。
ゾーンディフェンスがメインになると向上しづらい攻撃戦術がある。
③向上する技術としない技術
- ハーフコートゾーンディフェンスを使う影響は?
- フルコートゾーンディフェンスを使う影響は?
④ゾーンディフェンスがチームに与える影響
ミニ・中学校で強いチームほどイージーレイアップ・キャッチ&ショットで勝ち進んでいく現実…
そういったチームの特徴
- 弱いチームには大量に勝つ
- 女子は届かないから両手で打つ
- 晩熟の長身選手は、速さについていけないため ベンチで経験が得られない
- 空いたらシュートはできる
→空かせてシュートを打てるプレイヤーを育てる方が重要ではないか
2.Where we go with no-zone:私たちは何処へ行きたいのか?
個人スキルを高めること
- 1on1でショットする力が向上
↓
1人では守れない(1on2を生み出す力)
↓
ヘルプディフェンスの必要性が出る
↓
1on0でワイドオープンのイージーショットが打てる - 1on1で守る力が向上
↓
1人で守れる(1on2を生み出さない力)
↓
ヘルプディフェンスの不要
↓
1on0でワイドオープンのイージーショットを打たれない可能性 - 1on1で打破できない
↓
どんなに早くパスを回してもその先は1on1のまま
↓
「ミートで崩す」は幻想
①、②はお互い高めることに繋がる。しかし、③のように、日本はまず1on1で打破することができない。
問いかけてみよう。
自チームのプレイヤーは1on1に強いですか?
これは、「能力」「キャリア」で決まらない。もし、「能力」「キャリア」で決まってしまうのであれば、コーチができることはリクルートのみということになる。
日本がこれから出来ることをやっていく!
体格・体型で劣るからこそ、精密機械のような技術力を身につける必要性がある
↓
認知・判断・実行する力
個人スキル、バリエーション
コーチの価値観を変える。
そうすることで、限られた練習時間の中で、練習内容・方法・配分が変わる。
1on1ならショットが打てるプレイヤーづくりが重要となる。
↓
「今のトッププレイヤーがどんなプレーをしているか?」を観察するところから出発である