日米の大会システムの違いと問題点

DJT_8776

今日は少し違った形のトピックを。

先日アラン・ステインが代表を務めるストロンガーチームのブログにこんな記事が上がっていました。まずはこちらを要約してみましょう。

*上の記事はすでに削除されています(2017.10現在)

Too Many Games

私はこの14年間、ストレングス&コンディショニングの分野で、育成年代の指導に従事してきた。そして今現在のアメリカの育成システムは、大きな誤りはないものの、いくつかの修復が必要だと考えている。育成年代の開発を妨げる主な問題点は以下の3つである。

  1. 試合が多すぎる(成長に力を入れなさ過ぎる)
  2. ランキングや露出(*メディアへのだと思われる)に捉われすぎている
  3. コーチの育成が行き届いていない(特により若い年代)

この投稿では主に①について取り上げる。

私は1年間でレブロン・ジェームスよりも多くの試合をこなす子どもたちを知っている。これに関する2つの問題点は以下のとおりだ。

  • 成長段階の身体の消耗
  • ボールスキルやムーブメントスキル開発の欠如

NBA選手やNCAAの選手でさえオフシーズンがあるのに、それ以下の年代にはない。誰もそれを問題にしていないのだ。人の身体は車と同じだ。どれほど高価(能力が高くても)でも、メンテナンスを怠れば長く乗った後に問題が生じる。これにより多くの障害、あるいは深刻なACL(前十字靭帯)障害を引き起こす可能性がある。中学生が膝にアイシングをする姿は普通ではない。

デリック・ローズやラッセル・ウェストブルックの怪我は、そうした蓄積が要因である可能性も多分に存在する。今日では設備や知識のあるトレーナーなどが充実しているが、彼らの人生の最初の20年間も同様だったかというと定かではない。

そして試合が多すぎることのもう1つの問題点として、スキルの開発を阻害することが挙げられる。私が知る高校生の多くは、全体のうち実に80-90%が試合に充てられ、10-20%ほどしか練習の時間が割かれていない。そしてその比率はさらに高まるばかりだ。選手は試合のための多くの時間を練習に割くべきだ。そしてそれは目的に沿った能力開発とパフォーマンス向上のために行われなければならない。

今こそ育成年代のシステムのパラダイムシフトを起こすべきだ。親やコーチは、オフシーズンをしっかりと計画して、より練習の時間をとるべきだ。選手は自分の運命をコントロールするために、審判やユニフォームのないところで練習に励むべきだ。NCAAは育成年代の試合数にレギュレーションを設けるべきだ。そして私は、この問題に関してこれからも啓蒙し続けるつもりだ。

日本との比較

私が常に思っていたのは、日本は試合が少なすぎるということ、そしてトーナメント制の大会しかないことです。サッカーで言えばプリンスリーグのような画期的なシステムが生まれましたが、バスケットボールの世界では、1年間でできる公式戦が片手でも余るほどの学校はたくさんあります。日本でもアメリカのようにリーグ戦をもっと取り入れるべきだと考えていたところ、海の向こうでは逆転の現象が起こっていたというのは驚きました。

当ラボの寄稿者、森高大さんに聞いたところ、この近年急速に、オフシーズンにクラブチームに参加することも増えているそうです。その理由は、主に親が早い段階から1つの競技に絞ったほうが、シーズンごとにスポーツを変えるよりも良さそうと考えていること、その考えを実現するクラブチームであったり、大きな大会が整備されてきたことが考えれるとのことです。アランの意見は、少し極端で少数派であるかもしれませんが、育成に関わる1人のコーチとして、身体のスペシャリストであるストレングス&コンディショニングコーチとして当然の発露かもしれません。

日本の現在の大会システムにおける問題点は何か? またその改善案は何か? 今回は是非皆さんに考えていただき、意見を頂戴できればと考えています。是非よろしくお願いいたします!

この記事の著者

岩田 塁
岩田 塁GSL編集長
元・スポーツ書籍編集者。担当書籍は『バスケ筋シリーズ』『ゴールドスタンダード』『シュート大全』『NBAバスケットボールコーチングプレイブック』『ギャノン・ベイカーDVDシリーズ』『リレントレス』他