プロ選手のトレーニング論 〜bjリーグ 石谷聡選手〜

日本のプロバスケ界に足りなかったモノ

2015年8月、TKbjリーグ、ライジング福岡に所属する日本バスケ界屈指のポイントガード、青木康平選手が提­唱するプロアスリートとしてのオフの過ごし方。それを形にした「WATCH&C ELITE CAMP 2015」が開催され、当ラボもメディアパートナーという形でサポートさせていただいた。

青木康平選手が核となり、NBLや日本中のプロ選手を集めてトレーニングキャンプを行い、最終日にはその成果を地元福岡のファンや子どもたちに見てもらいたいという想いをもとに「WATCH&C ELITE GAME 2015」を開催。これまで日本のバスケットボール界ではあまり聞くことがなかった試みだった。

選手に対してはオフシーズンの取り組みの重要性、ファンや若い選手にとってはプロ選手を身近に感じる機会として、一定の成果を収めたイベントとなった。そしてこの度、本イベントの全容を収めたDVDのリリースが決定。

『DOCUMENTARY of WATCH&C ELITE2015 〜日本のプロバスケ界に足りなかったモノ···〜』のリリースを記念して、参加選手であるライジング福岡(2015-)の石谷聡選手に「トレーニングの重要性についてインタビューを行った。

石谷選手は1985年生まれ、中村学園三陽高校から福岡大に進学、福岡大では九州インカレのMVPを獲得した実績を持つ。その後は練習生からライジング福岡に入団、青森ワッツと渡り歩き、2015年より地元にカムバックした。決してスーパーエリートと言える経歴ではないものの、努力型の選手で、堅実なスタイルのガードとしてプレータイムを勝ち取ってきた。

そんな石谷選手は、過去から現在までどのようにトレーニングと向き合ってきたのか、今回のトレーニングキャンプで何を得たのか。プロを目指す若い選手や指導者の方の参考になれば幸いだ。

--学生時代では、オフシーズントレーニングや自主トレーニングはどのように行っていましたか?

正直、オフシーズンだからという意識はあまりありませんでした。練習はもちろんしていましたが、オフという捉え方はなく、メリハリがなかったように思います。身体を休めて怪我を治す、次に向けて足りないものを補う、といった捉え方はなかったんですね。学生は言ってしまえば一年中シーズンで、試験期間以外まとまった休みもなく、メリハリはつけにくいということもありました。

--プロになってからのオフシーズンでのトレーニングや自主トレーニングは、どのような目的で、どのようなトレーニングを行っていましたか?

オフシーズンは次のシーズンへの準備期間として捉えています。このオフシーズンをどう過ごすかで次のシーズンが大きく変わってきますし、とても大切な期間だと考えています。まずは前シーズンの自分の良かった部分、足りなかった部分をしっかり振り返り、次のシーズンに向けて何が必要なのか、どうなりたいのかを明確にしています。そのうえでトレーニングの内容を決める感じです。

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具体的には、これまではある方に直接指導していただいていて、去年からは移籍の関係などでメニューをもらって自分でやる形です。今シーズンはエリートキャンプでダイス(山口大輔)さんに見てもらって、体幹を意識したトレーニングやバランスを崩した状態でのトレーニングを取り入れました。これは次シーズンの課題にしていたので、いいトレーニングになりました。

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--学生時代とプロになってからで、トレーニングの内容や取り組む姿勢に関して一番変わったことは何ですか? またその理由はなんですか?

大きく変わったのは意識です。プロ入り当初は学生時代と同じようにやっていましたが、意識の高いプロの選手と一緒にやる中で自分も刺激されて変わっていきました。具体的には、学生時代のままじゃ通用しない部分がほとんどだったので、課題として自分が通用する部分・足りない部分を考えて、どうすればよいかを考えるようになりました。

それからやみくもにやるのではなく、目標を設定して、それに必要なことを考えた上で練習を行うようになりました。自分に必要な練習をやっているので目的意識が変わります。またトレーニングは特に目新しいことをたくさんやるわけではありません。単純で退屈な練習と言えるかもしれませんが、これを当たり前にできるか、上のレベルでできるかといった細かい点を意識することで大きな違いになると考えています。

--今回のキャンプに参加してみて、これまでと考え方が変わったことや、新しく得た気付きは何ですか?

今回のキャンプのように、シーズン中に一緒にプレーすることのない選手とプレーすることはとてもいい経験になりました。普段一緒にプレーしていない分、よりコミュニケーションをとらないといけないですし、他の選手の特徴をしっかり観察し把握した上で素早くアジャストしていかないといけません。これはシーズン中でも等しく大切なことですし、ポイントガードの僕にとっては特に重要なことです。そういった意味では、技術面・体力面以外で意義のあることでした。

また素晴らしいスタッフの皆さんに恵まれ、とても充実したキャンプを送ることができました。これまでこうした取り組みは日本にありませんでした。違うチームやリーグの選手が集まったため、自分にとって吸収できることがたくさんありました。

--今の若い選手たちが日々練習やトレーニングに取り組む上で、大事にしてほしいことは何ですか?

どんな練習やトレーニングをするにおいても、意識を高くもつことが大切です。逆に言えば同じ練習やトレーニングをしても意識の差で大きく変わってきます。どうなりたいのか、何のためにしているのか、練習やトレーニングの意図をしっかり考えて取り組むことが大事だと思います。いろんな選手やコーチと会って行動する、考え方を聞くということも重要です。それを取り入れるかどうかは別として、色んな考え方を知ることが大事なんです。こうした意味でも、エリートキャンプ&ゲームのようなアクションがもっと広がれば、バスケ界全体が良い方向に向かうのではないかと思います。

ishitani-satoshi3石谷聡 Satoshi Ishitani
1985年生まれ、福岡県出身。中村学園三陽高校から福岡大に進学、福岡大では九州インカレのMVPを獲得。2008年にbjリーグ ライジング福岡に入団。2012-13シーズンには、チームのbjリーグ準優勝に貢献。2013-14シーズン終了後に退団し、青森ワッツに入団。2015年よりライジング福岡に復帰。

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この記事の著者

岩田 塁
岩田 塁バリュードライブ株式会社(ディレクター)Twitter:@rockdabase
コンテンツマーケティング支援のバリュードライブ株式会社コンテンツディレクター。
企業様のコンテンツ戦略(ライティング・オウンドメディア・ソーシャルメディアマーケティング)を支援させて頂いております。

元・スポーツ書籍編集者。担当書籍は『バスケ筋シリーズ』『ゴールドスタンダード』『シュート大全』『NBAバスケットボールコーチングプレイブック』『ギャノン・ベイカーDVDシリーズ』『リレントレス』他