【JBA公開資料】2021年度U14男子ナショナル育成キャンプの各種映像についての紹介

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※後日、追記予定あり。本記事のキーメッセージは「JBA指導内容資料の1.2021年度U14ナショナル育成キャンプ(男子)ハイライト、2.2021年度U14ナショナル育成キャンプ(男子)キャンプの説明を見よう!」という事です。

「バスケで日本を元気に」を理念とする日本バスケットボール協会では、コーチの育成にも精力的に取り組んでいる。理念を体現するコーチ像として「様々なコンテクストの中で、プレーヤーやチームの潜在的能力を最大限に発揮させ、自身の能力を発揮・向上させることができるコーチ」を掲げ、ライセンス制度の整備や、ライセンス制度に伴う講習会の充実、及び、コーチ同士の交流の機会や、良質な学びの機会を継続して創出し続けている。

その中、その中、知る人ぞ知る良質な情報発信ページがJBAのHP内「指導内容資料」に掲載されている各種のコンテンツである。東京五輪2020を戦った男女各代表の活動を総括しているテクニカルレポート等の公開されているのも、このページである。

時はさかのぼって、2022年の4月頃、同ページに、2021年度U14男子ナショナル育成キャンプのハイライトとコンセプト説明の動画、各練習映像が公開された。

キャンプ中の各種の練習風景(①練習別 ②局面別)と共に、全体の概要が分かるハイライト映像も用意。さらには、キャンプを担当した鈴木良和氏(JBAユース育成事業U14 / U15男子ナショナル育成キャンプ担当、男女ジュニアユースアカデミー担当 ※1)による、キャンプのコンセプト等をWebinar形式で説明するコンテンツ等も準備。

キャンプのコンセプトを説明する動画では『育成マインド』・『自分の成長に自分で責任を持つ』・『勝利主義と育成主義の両立』・『課題を与えるコーチング』という言葉も登場し、実際の練習い映像の中で、その実際を確認する事が出来る。

元々、Basketball for Life(B4L)やU12指導ガイドラインの中で、「勝利主義と育成主義の両立」・「育成マインド」・「選手に課題を与え、考えるコーチング」等のコンセプトは、その背景となる理由と共に示されていた。とかくして、そのような理想論は、言葉を選ばずに言えば、机上の空論や、理想論になりがちだ。コーチングには様々なアプローチがあるが、一つの事例として、実際の練習風景を余すところなく公開する意義は間違えなくあるだろう。そして、担当部署の決意も大きいのではないだろうか。

以下、上記の説明動画、及び、ハイライト映像について、本稿執筆者であり、動画閲覧者のメモを投稿する。あくまでもメモという上で、本記事を通じ、一人でも多くの方が、実際の映像資料を見る契機になれば、この上ない喜びである。

1、キャンプのコンセプト説明動画について(講師:鈴木良和氏)(約25分)

キャンプには3つのテーマが存在している。それは『育成マインド』・『ゲームモデル』と『判断力の育成』である。大枠について記す。

①『育成マインド』について

キャンプ全体を通じ、日頃から提唱している『育成マインド』を表現しようと試みている。具体的には、練習カリキュラムや、コーチの指導行動などを通じて試みている。(参考 Basketball for Life 育成マインド

②ゲームモデルを踏まえた練習となっている。

2021年12月下旬のJBAコーチカンファレンスにて、女子代表チームの恩塚HCより、ゲームモデルという言葉が紹介された。バスケットボールは競技特性上、「ディフェンスブトランジション→ディフェンス→オフェンシブトランジション→オフェンス」が繰り返され、かつ、各局面をさらに細分化した際に、以下のような攻防に分類される、という考えだ。

細かな表現等は、正式な資料を確認いただくとして、主に、オフェンスの場合は以下の5つの構造に分類される。

a.トランジション(キャスティングとも表現)=オフェンスの準備をしようとする局面
b.クリエイト=チャンスを作ろうとする動き(PnR、シューターの為のオフボールスクリーンなど)の局面
c.チャンス=チャンスができた、という場面(ノーマーク、ミスマッチ、クローズアウトなど)
d.ブレイク=チャンスをアタックする局面
e.フィニッシュ=いざ、シュートをしよう、という局面

今回のキャンプで鈴木良和コーチが意識をしたのは、ゲームモデルを意識した練習の構成であるようだ。実際、公開動画は、時系列とは別に、局面別でも公開されている。

③各ドリル等で戦術的負荷のコントロールを試みている。

2、キャンプ映像を視聴する際の細かな前提

①大切にしたいマインドセットを明瞭に、キャンプを進行

『自分の成長に自分で責任を持つ』(誰かに上手くしてもらうのではなく、自分で上手くなる)、『自分が成長するための環境を自分で作る』(練習そのものを良くすれば、自分も成長できる)を意識し、空間づくりを心掛けている、とのことである。

②出来そうで、出来ない領域を狙った練習の設計である。

大枠で示した3つのコンセプトを踏まえ、具体的な練習ドリルでは以下の内容を意識している。

a.「出来そうで、出来ない領域」を狙って練習をしている。
b.キャンプという性質もあって、「新しいことにトライする事を優先」している。(選手が完全に習得する前に、どんどん、次のドリルへと進行もしている。練習そのものは、ややカオスも多い内容となっている)
c.普段、取り組みにくいと思われる状況判断の要素を優先した構成となっている。昨今、ボールハンドリングのスキル等は、各地域・各カテゴリーで進化している為である。

③トランジション(キャスティング部分)では、選手に大枠のコンセプトを提示。の

U15世代という事もあり、トランジション(キャステインブ)では、主に3つのユニットで分類して、基本的なコンセプトを提示している。その意図は「完全に固定する」でも「完全に自由」でもなく、チームの定める大枠の中で状況判断も織り込み、選手に判断をしていただこうとする意図がある。是非、該当箇所を見る際に、その背景を踏まえて見ていただきたい。

3、ハイライト動画で扱われているスキルや戦術

※以下、項目は動画タイトルと同じ。【】部分は、ゲームモデルを踏まえた区分け。

①finish局面でのスキルの使い分け。

-フェイクワンステップ 【FINISH】
-フェイクワンステップからリバース 【FINISH】
-ビアステップ【FINISH】
-vsコンタクトディフェンス【FINISH】
-ヘルプが向かっている状況【FINISH】
-クリエイティブフィニッシュドリル【FINISH】

②クローズアウトの攻防。

ークローズアウト判断(シュートorドライブの判断基準の提示)【CHANCE】
ークローズアウト+ギャップヘルプポジション【CHANCE】
ードリブルorバックカット2on2 【BREAK】
ードリフトorバックカット 3on3 【BREAK】
ーエクストラパスorカウンター1on1【BREAK】
-4on0 ブレイク3の合わせ 【BREAK】

③各局面で『punishment(代償を払わせる)』の能力を育む各種のドリルや実戦

-ピンダウンスクリーンドリル【CREATE】
-ピンダウンスクリーンドリル(リクリエイト)【CREATE】
-トランジション4on0 【TRANSITION】
-オフェンスリバウンド~トランジションディフェンス 【TRANSITION】
-ゲーム形式(キャンプ最終日の総まとめ)
※これまでの内容を踏まえて説明コメントあり。

繰り返しになるが、ハイライト映像以外に、練習映像は、JBAの指導内容資料の当該ページ(練習風景(①練習別 ②局面別)より視聴できる。

3、本稿執筆者の感想

※後日、追記予定。

この記事の著者

片岡 秀一ゴールドスタンダード・ラボ特別編集員
1982年生まれ。埼玉県草加市出身。株式会社アップセット勤務の傍ら、ゴールドスタンダード・ラボの編集員として活動。クリニックのレポート、記事の執筆・企画・編集を担当する。クリニックなどの企画運営も多く手掛け、EURO Basketball Academy coaching Clinicの事務局も務める。一般社団法人 Next Big Pivot アソシエイトとして、バスケを通して世界を知る!シリーズ 第1回セルビア共和国編では、コーディネーターとして企画運営に携わりモデレーターも務めた。 J SPORTSでB.LEAGUE記事も連載中。

宮城クラブ(埼玉県クラブ連盟所属)ではチーム運営と共に競技に励んでいたが、2016年夏頃に引退。HCに就任。これまで、埼玉県国体予選優勝、関東選抜クラブ選手権準優勝、関東クラブ選手権出場、BONESCUP優勝などの戦績があるが、全国クラブ選手権での優勝を目標に、奮闘中。