ケビン・イーストマンのトランジションディフェンスとドリル

Textbook Fast Break今日のアップテンポなゲームでは、選手は以前より速く強くなっています。そのためトランジションディフェンスの原則を守ることが重要です。この記事で、トランジションディフェンスに関するケビン・イーストマンの教えを詳説します。

ケビン・イーストマンは、引退するまでに約40年間、大学のコーチやNBAのアシスタントとコーチを務めてきました。彼の最も大きな成果の1つは、偉大なディフェンスというプライドを有した、2008年のボストン・セルティックスをNBAチャンピオンに育てたことでした。私は彼が残したセルティックスに関するメモやディフェンスに関するさまざまな文章を見て、自身のアイディアを皆さんと共有しなければならないと確信しました。

私たちは以前、トム・イッツォのファーストブレークを詳説しました。要約すると、オフェンスの目的は次のとおりです。

  • レイアップかオープンの3Pシュートを得る
  • 2対1、3対2、4対3といった数的優位を得る

つまりディフェンスでは、これらの脅威を取り除きたいのです。

  • レイアップを防止するためにペイントエリアに走って戻る。中距離のジャンプショットを強制する
  • アウトナンバーの場合、ヘルプが戻るまで一時的にゾーンを取り入れる

簡単に聞こえますか? 百聞は一見に如かずです。私はあなたのために、これらの原則を徹底的に細かく分析し、あなたがトランジションディフェンスの重要な概念を教えるために、どのようなドリルを用いるべきかについて説明します。

ケビン・イーストマンが考えるトランジションディフェンスで重要な12のポイント

  1. シュート動作に入ったら、1から3のポジションの選手は戻る(4と5はリバウンドに向かう)。確実なディフェンスをセットする方が、少ないオフェンスリバウンドの機会を狙うよりもよい
  2. ディフェンスに急いで戻るために、最初の3歩が非常に重要(フロントコートで相手に打ち勝つ)
  3. 選手がボールラインに入らなければならない
  4. 選手はマッチアップする相手を守るのではない。チームを守るのだ
  5. 2人が戻ったときは垂直に並ぶ
  6. 3人が戻ったときはトライアングルを作る
  7. 最初に戻ったビッグマンがゴール前を守る
  8. 2人目のビッグマンは、ボールが目の前にあればボールが出るのを遅らせる。目標はゴールラインから遠ざけ、ドリブルペネトレーションを防ぐこと。ペネトレーションが得意な選手に対しては、なるべくついていき、パスをさせるようプレッシャーをかけるか、ダブルチームの脅威を与える
  9. ボールを探す。決してマッチアップを探すのではない
  10. ヘルプボジションを確保し、ペネトレーションの可能性を取り除く。どのようなコースも与えてはならない
  11. 2回以上のパスをさせるよう仕向ける
  12. トランジション中に声を出し、指をさしてコミュニケートする

次から、これらのポイントをどう練習に落とし込むかについて説明していきます。

1. セーフティとオフェンスリバウンド

セーフティとオフェンスリバウンド

ディフェンスのグループはオフェンスからスタートします。ポイントガードがゴールに向かってカットしたら、ほかのプレイヤーがトップオブザキーを埋めます。この場所は常に埋めておくべきです。

次の判断は、何人の選手をゴールに向かわせるかです。私は4、5番の選手がリバウンドに向かい、1〜3番は戻ることを好んでいます。

2. ゴールに最も近いポジションを得る

「人ではなくゴールを守れ」ケビン・イーストマン

シュートをミスしたら、1〜3番は直ちに自陣に戻ります。私たちは、単に素早く戻る以外に不要な判断を排除するために、ボールマンやリバウンダーに挑戦することはしません。このときの最初の3歩が重要です。後ろ向きで走るのではなく、クロスステップでターンしてダッシュします。

よく見られる問題として、選手がダッシュの意味を理解していないことです。この場合の簡単な解決策は、4秒以内に自陣のゴールに戻るようにすることです。多くの選手はこの時間で戻れるでしょう。したがって、すべてのポゼッションでこのスピードで走るようにします。

ダッシュで戻ることの目的は、先頭にいる相手オフェンスよりもゴール近くに戻ることです。このとき避けるべきことは以下の通りです。

  • スティールを狙うようなギャンブルをすること。これはアウトナンバーを作り出してしまう
  • リバウンダーにちょっかいを出したりスティールを狙うこと。これは自分が戻るのを遅らせてしまう

3. 人ではなくゴールを守る

人ではなくゴールを守るというのも、覚えておくべき重要なことです。私たちの場合、最初はゾーンで守り、人数が揃ってからマンツーマンを使っています。このとき、正しいマッチアップを作る上での問題は下記の通りです。

  • 自分のマークマンばかりに気を取られてしまう。これによりオープンの選手が生まれてしまう
  • 自分のマークマンを探しながら戻ることで戻りが遅くなってしまう

人ではなくゴールを守る

ここに、少人数でのゾーンの作り方を示しています。1人目は最もゴールに近いポジションを取り、2人目がきたら「I」の形を作ります。3人目が戻ったら三角形を作ります。このとき、それぞれのプレイヤーがどのように位置を入れ替えているかも注目してください。

2対1の状況

2対1の状況

2対1では、どの相手オフェンスよりもゴールの近くにいなければなりません。これは相手と平行のポジションまで戻ることを意味します。私たちのゴールはレイアップではなく中長距離のジャンプシュートを撃たせることなので、中長距離のジャンプシュートにチェックしにいくことはしません。

上の図では、こうした状況でシューターにチェックしにいった際に、確率の高いシュートを撃たれてしまう例を示しています。この場合は、代わりに時間を稼ぐことができます。シューターにチェックしにいこうと見せかけたジャブステップをしますが、実際にはクローズアウトしません。

3対2の状況

3対2の状況

2人が戻っている場合は「I」の形を作ります。ウィングにパスが渡ったら、ゴール前の選手がクローズアウトして、トップの選手がゴール下に戻ります。

1人目のビッグマンが戻ってきたら、ペイントエリアにいるガードとスイッチします。このときは優れたコミュニケーションが求められます。

2人目のビッグマンが戻ったら、ボールを遅らせる必要があります。つまり短時間だけダブルチームでボールマンにプレッシャーをかけるのです。しかし自身のマークマンが戻るまでの間だけです。自身のマークマンが前にいる間は、即捕まえられるポジションをとり、ミドルエリアへの侵入を防いでください。ダブルチームに行き過ぎず、自身のマークマンが戻ってきたら素早く戻れるようにします。そしてボールマンがパスを強制されたり、サイドラインに向かってドリブルさせるように仕向ければ、最高の仕事をしたことになります。

4. コミュニケーション

コミュニケーションはディフェンスにおいて最も重要な要素であるにかかわらず、若い選手はコート上で静かなことが多いものです。

ディフェンスにおけるコミュニケーションとはどのようなものでしょうか。

  1. オフェンスを脅かす(相手チームの考えを読む)
  2. 次の動きに素早く動き出せる(例:スクリーンへの対処では、素早いコミュニケーションにより、スクリナーが接触をしようとする前にファイトオーバーすることを可能にする)
  3. ボールマンのディフェンスがより自信を持てる
  4. ディフェンスを引き締める
  5. ミスが起こる前に対処できる
  6. チームに活力を与える(私たちの最も優れた練習は最も騒々しい練習である)

選手はトランジション中に声と手を使うべきです。選手がボールマンを守っていたら「ボール」と言い、誰かが助けが必要なら「ヘルプ」と叫ぶ必要があります。

トランジションディフェンスのドリル

コミュニケーションゲーム(Communication game)

コミュニケーションゲーム(Communication game)

これはコミュニケーションのための素晴らしいゲームです。まず選手はペリメーターラインをジョグします。コーチが1から5までのランダムな数字を叫ぶと、数字を呼ばれた選手はグループを作ります。呼ばれなかった選手はその場で腕立て伏せをします。

3対3トランジションゲーム(3 v 3 transition game)

3対3トランジションゲーム(3 v 3 transition game)

3対3を用いた素晴らしいトランジションゲームです。3人1組のチームをいくつかつくり、2チームがコートに入ります。ほかのチームはコートの外(1人はベースライン、ほかの2人はそれぞれ左右のサイドラインでフリースローラインの延長線上)で待ちます。オフェンスチームがシュートをミスすると、ディフェンダーはコートに入ってくるベースラインの選手にパスを出します。サイドラインの2人もコートに入り、トランジションで特典を狙います 。シュートが決まった場合はディフェンダーがアウトレットパスを出すためにベースラインの外に出ます。

5対5アドバンテージ(5 v 5 advantage)

5対5アドバンテージ(5 v 5 advantage)

5人のオフェンスがベースラインからスタートします。ディフェンスの5人はフリースローライン上に並びます。コーチがディフェンスの選手のうち2人の名前を叫び、呼ばれた2人はベースラインを踏んでから戻ります。同時にコーチはオフェンスの選手のいずれかにパスを出し、オフェンスはファーストブレイクを仕掛けます。オフェンスは2人のディフェンダーが戻る間、5対3のアウトナンバーの優位性を持ちます。


出典:Complete Guide to Kevin Eastman’s Transition (Fast Break) Defense + Drills!|Coachbase

※本記事は出典元の許諾を得た上で、全文翻訳の形で掲載しております。

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