隼ジャパンのエントリープレイ解説 〜その1〜

By User:STB-1 (Own work) [GFDL or CC-BY-SA-3.0-2.5-2.0-1.0], via Wikimedia Commons
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※写真はイメージです
※追記は最下部にございます。

バスケットボール日本代表(隼JAPAN)の男子監督に青山学院大学を指揮した長谷川健志氏の抜擢が発表されてから4ヵ月が経過した。2020年の東京五輪開催決定に伴い、バスケットボール競技の中でも、代表チームの活動には関心が高まったようにも感じるが、サッカーと比べると注目度は雲泥の差である。

サッカー日本代表は、新監督の動向から、選手の選出、またはチームビルディングの手法や、リーダーシップなど、ピッチ上の戦術はもちろん、幅広い角度から大勢の人の関心事となっている。

ワールドカップで世界の強豪に挑み、勝利すれば日本中を歓喜で包み、不完全燃焼で敗北をすれば、多くの人が失望をする。自国のサッカー代表チームの活動は、国民行事とも呼べるほどに関心を集めているが、バスケットボールの代表活動はそうではない。

20年以上の歴史を持つ国内トッププロリーグであるJリーグの存在や、ワールドカップでの優勝を2050年までのスパンで公言する日本サッカー協会のパワフルなビジョン、代表チームの尊厳と誇りを植え付けようと奮闘した先駆者の選手たちの賜物もあるのかもしれない。

隼ジャパンと命名されたバスケットボール日本代表。女子代表はアジアで王者へと輝き、2014年10月にはトルコで開催される世界選手権に出場する。WJBLのオフシーズンを利用して集中的に行われる強化合宿や海外遠征もあり、代表選手が休息する時間は限られているが、国際大会での奮闘も有り、徐々にメディアなどの露出も増えてきた。話を男子代表に戻すと、国際大会での成績不振などもあり、国内のバスケットボール愛好家の中でも関心が低いのが現実だ。

そのような状況に、少しでも一石を投じるべく、まずは、当ラボでは、主に、8/9~17までタイペイ市で開催されたウィリアムズ・ジョーンズカップでの男子日本代表の活動から、基本となるセットプレイ(エントリープレイ)に注目し、日本代表の戦いを紹介したい。

長谷川監督は、就任以来、「体格差を豊富な運動量とアウトサイドシュートで補って世界に戦う」という、従来の世界大会への日本代表の戦い方や考え方を踏まえつつ、常々「プレイの強度」・「フィジカルコンタクトに対する慣れ・対応」「フィニッシュの強さ(ゴール下で踏み込んでシュートに持っていく力強いプレイ」と語っているため、どのエントリーも、スクリーンからアウトサイドシュートを多用するエントリープレイだけではない。多くのエントリーでは、個人で状況を打開する力、状況に応じてゴール下で力強くフィニッシュする力が求めらる。ただし、もちろんいきなりトップから1対1を仕掛けるようなエントリーでもない。常に数か所の選択肢を持ちながら、運動量を豊富に仕掛けながら、最後は個々人の判断でシュートに持ち込むことをコンセプトとしているようにも感じた。アウトサイドシュート一辺倒ではなく、勿論、強引な1対1だけではない。

規律(discipline)、勤勉(hardwork)、協力(cooperation)、実行(execution)、情熱(passion)をキーワードとして掲げる長谷川監督が率いる隼JAPANの活動を追いかけることの、そして将来世界を見据えたプレーヤーに近づくための一助になれば幸いである。

①ハンドオフ(手渡しパス)エントリー
(※名称は筆者の便宜上の呼称)

①が45度のウイング②にパスをして、そのままトレール(レシーバーのボールを受けに行く)
①が45度のウイング②にパスをして、そのままトレール(レシーバーのボールを受けに行く)
②はボールを①に渡し、すぐに反対側へ動く。その際、⑤がスクリーン。③は反対サイドへ 移動してスペースを作る。
②はボールを①に渡し、すぐに反対側へ動く。その際⑤が②にスクリーン。③は反対サイドへ移動してスペースを作る
そのまま、スクリーンを使った②がゴール下へパス
そのまま、スクリーンを使った②がゴール下へパス
または、反対サイドの45度でレシーブをし、②に対して⑤がball screenをセットする
または反対サイドの45度でレシーブし、②に対して⑤がボールスクリーンをセットする
①が反対サイドの45度へ移動した②へパスを出せない場合、そのままボールを保持。 ⑤が①に対してball screenをセットし、2on2で仕掛ける。
①が反対サイドの45度へ移動した②へパスを出せない場合、そのままボールを保持。⑤が①に対してボールスクリーンをセットし、2対2で仕掛ける

②UCLAエントリー

UCLA-1
①が②へパスをしてUCLAエントリー。④と⑤のスクリーンを使って、トップ周辺に出てきてボールをレシーブ
UCLA-2
⑤が③へダウンスクリーン。④も③の移動するコースにスクリーンをセットし、③がトップ周辺へ上がってくる。②は反対サイドへ移動してスペーシング
UCLA-3
③にパスをして、フリーの場合は3Pシュートを狙う。キャッチ&シュートが打てない場合、④が③に対してボールスクリーンをし、2on2で仕掛ける
UCLA-4
または、⑤のスクリーンを利用して②がコーナー付近に動きボールを貰い、状況に応じてミドルシュート、1on1を仕掛ける

あまりに長くなってしまうので本日はここまで。残りの2つは「〜その2〜」で今週中に更新予定。

ウィリアムスジョーンズカップでの日本代表の試合映像はvlsportsのyoutubeアカウントで観戦する事が出来ます。

また、8/26には、9/20~10/3で開催される第17回アジア競技会に参戦する12名のメンバーも発表(http://www.japanbasketball.jp/news_detail.php?news_id=26248)されました、日本代表候補選手の発表から、国内での強化合宿、韓国遠征、FIBA ASIA CUP、ウィリアムス・ジョーンズカップを経て、今年度の代表活動の集大成として選出された12名です。東アジア競技会の試合映像のWEB配信有無などについても詳細が分かりましたらご案内します。
special thanks  Yさん(画像制作)

追記

今回、夏場の3大会の全てで代表に選出されている張本天傑(青山学院大学→NBLトヨタ自動車アルバルク東京)。強靭な身体と抜群の脚力で攻防の要となっています。そんな張本選手は、大学4年次の春先に前十字靭帯の断裂により長期離脱を経験。前十字靭帯の再建手術と、手術をした病院での医療サポート、青山学院大学時代のトレーナー、本ラボでも特集させて頂いたトヨタ自動車アルバルク東京の荒尾トレーナーなどのサポート、何よりも、本人の地道なリハビリによって、戦列に復帰しています。術後から約1年が経過した現在、怪我の影響を感じさせない素晴らしいパフォーマンスを見せています。
前十字靭帯損傷は、バスケットボール選手には非常に多い怪我であり、全国各地に半月板の損傷などと合わせ、膝の怪我に悩む選手は数多くいると思われます(筆者のその中の一人です)。是非、張本選手の溌剌としたプレイを見て見て下さい。きっと、いや、確実に、リハビリの励みになると思います。怪我をされている本人も勿論、周りに前十字靭帯の怪我でリハビリに励む選手がいたら教えて頂けると幸いです。
また、私のプロフィール欄にもありますが、膝の怪我を抱えるバスケット愛好家による癒し系サロン「半月バーンズ」にもいつでもお問い合わせ下さい。怪我をした人間同士、情報/意見交換などで再発予防、入院時の準備や、細かな情報交換をしています。@kataokachanたはFBアカウントまで。

  

この記事の著者

片岡 秀一
片岡 秀一ゴールドスタンダード・ラボ特別編集員
1982年生まれ。埼玉県草加市出身。株式会社アップセット勤務の傍ら、ゴールドスタンダード・ラボの編集員として活動。クリニックのレポート、記事の執筆・企画・編集を担当する。クリニックなどの企画運営も多く手掛け、EURO Basketball Academy coaching Clinicの事務局も務める。一般社団法人 Next Big Pivot アソシエイトとして、バスケを通して世界を知る!シリーズ 第1回セルビア共和国編では、コーディネーターとして企画運営に携わりモデレーターも務めた。 J SPORTSでB.LEAGUE記事も連載中。

宮城クラブ(埼玉県クラブ連盟所属)ではチーム運営と共に競技に励んでいたが、2016年夏頃に引退。HCに就任。これまで、埼玉県国体予選優勝、関東選抜クラブ選手権準優勝、関東クラブ選手権出場、BONESCUP優勝などの戦績があるが、全国クラブ選手権での優勝を目標に、奮闘中。