ゾーンディフェンスを一から考える 〜その1 ゾーンディフェンスの基本〜

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最近当ラボに寄稿して頂いている森コーチが書いた『ゾーンオフェンス(ゾーンアタック)に生きる2つのコンセプト』が大変な反響を頂きましたが、私はコーチではありませんので、「何故」「どのように」ゾーンディフェンスを行なうのかを、一から学んだことはありません。そこでゾーンディフェンスに関してもっとしっかり理解したいと思い立ち、今回色々な情報を漁ってみました。

コーチの方であればすでに色々と勉強されていることかと思いますので、退屈に感じるかもしれませんがご容赦ください。できれば読んでいただいた後に、たくさんのご意見、ご指導をいただければ嬉しいです。

ゾーンディフェンスの成り立ちと現在

まずゾーンディフェンスの成り立ちを調べたところ、ゾーンディフェンスはカンサス州のニュートン高校(Newton High School)のフランク・リンドリー(Frank Lindley)コーチによって生み出されただということです。コーチリンドリーは、1914年から1945年まで同校の指揮を執り、なんと594勝118敗と驚異的な成績を残しているようです。またカンサス州のスポーツ殿堂入りを果たしており、多くの書籍の著者であるらしいのですが、そのタイトルなどの情報は今のところ見つけられていません。 さらに「スポーツで革新を起こした人々」をまとめたこちらの記事でも紹介されています。ちなみにバスケットボールではほかに、ピーウィー・カークランド(この方知りませんでした)のクロスオーバードリブルやドン・ネルソンのハック・ア・シャック、ルー・アルシンダー(カリーム・アブドゥル・ジャバー)のダンクシュートが紹介されています。

そして現在ですが、国際大会やNCAAでは頻繁に見ることができ、もちろん日本でも多くのチームがゾーンディフェンスを用いています。こちらの記事によると、NCAAだとジム・ボーヘイム(シラキュース)やリック・ピティーノ(ルイビル)の2-3、ボブ・ハギンズ(ウェストバージニア。森コーチのとこですね!)の1-3-1の評価が高いようです。日本だと僕の世代では間違いなく能代工業でしょうね。そしてNBAでも数年前にゾーンディフェンスが解禁になって以降、(ディフェンスの3秒ルールがあることもあり)プライマリー(主要な)ディフェンスとして用いるチームはないものの、度々ゾーンディフェンスが見られるようになりました。

ゾーンディフェンスの種類

次にゾーンディフェンスにはどんな種類があるのかを見ていきましょう。大きくは以下のように3つに分類されると思います。そして細かい分類では、2-3や1-3-1といったよく見られるもののに加えて、コーチによって細かな違いがあるようです(Coach’s Clipboardを元に簡潔にまとめています)。ここでは基本的な事柄だけにとどめ、それぞれの詳細については次回触れていきたいと思います(このチームのこのゾーンがすごい、有名というのがあれば是非コメントをお願いします!)。

基本のゾーンディフェンス

  • 2-3 (2-1-2)
  • 1-2-2(3-2)
  • 1-3-1
  • その他(アメーバなど)

コンビネーション・ゾーンディフェンス

  • マッチアップ・ゾーンディフェンス
  • ボックスワン・ディフェンス
  • トライアングルツー・ディフェンス

ゾーンプレスディフェンス

  • ハーフコートゾーンプレス(1-2-2、1-3-1など)
  • フルコートゾーンプレス(1-2-1-1、1-2-2など)
    ※3クォータープレスも含む

ゾーンディフェンスを行なう理由と目的

次にゾーンディフェンスを使う目的を考えてみます。よく聞かれるのが「マンツーマンで守れないから」「流れを変えるために」「相手を混乱させるために」といったところでしょうか。ゾーンディフェンスを行なう理由については、『NBA バスケットボールコーチングプレイブック』(スタジオタッククリエイティブ、2013)に書かれているデル・ハリスの言葉を引用してみます。

まずゾーンディフェンスを使うか否か、どのようなゾーンディフェンスを用いるかについては、チームとしての戦術を決めるにあたって必要となります。

まず決定しなければならないのは、主として使うディフェンス(プライマリーディフェンス)をマンツーマンにするか、あるいはゾーンにするかということだ。コーチがどちらを選ぼうとも、もう一方のディフェンスも教えることをお勧めする。そうすれば、必要だと思ったときに、その第2のディフェンス(セカンダリーディフェンス)にスイッチできるからである。

そして強者は常に複数のオプションを備えていると言う一方、このようにも話しています。

いくつかのディフェンスを全て同様に使いこなすことができると考えるならば、それは愚かなことである。1つのディフェンスを主食のように使い、それと対になってもう1つを副菜のように使うようにする。

これらの前提を踏まえた上でゾーンディフェンスを用いる理由やタイミングについては下記の通り記述があります。

ディフェンスの主流のスタイルをある程度しっかりと自分のチームが使えるようになったら、例えばある特定の相手に対してプライマリーディフェンスがあまり上手くいかない場合などに、時々セカンダリーディフェンスを試してもよいだろう。チェンジオブペースを使うことで、相手の流れを乱す時間帯が生まれ、勝利を得ることができるかもしれない。

ほかのディフェンスが使用される傾向にあるのは、選手の才能や身長、身体能力が劣っているために、1対1のマッチアップで上手くいかない場合である。

そしてプレッシャーディフェンス(マンツーマンもゾーンも含む)については

フルコートのマンツーマンやゾーンプレスでその選手にトラップを仕掛けて、彼の手からボールを奪うこともできる。

プレスには2つの側面があって、それはつまり2-2-1のプレスディフェンスを使うことで、相手のプレーを「スローダウン」させるか、もしくは「スピードアップ」させることができる。

と書かれています。参考になりますね。

さてこれ以上書くと長くなってしまいますので、今回はゾーンディフェンスについての触りだけで終わりにしたいと思います。次回はゾーンディフェンスの長所と短所についてまとめたいと思います。

参考

   

この記事の著者

岩田 塁
岩田 塁バリュードライブ株式会社/インパクトM株式会社(ディレクター)
デジタル/コンテンツマーケティング支援のバリュードライブ株式会社/インパクトM株式会社ディレクター。企業様のデジタルマーケティング/コンテンツ戦略を支援させて頂いております。

元・スポーツ書籍編集者。担当書籍は『バスケ筋シリーズ』『ゴールドスタンダード』『シュート大全』『NBAバスケットボールコーチングプレイブック』『ギャノン・ベイカーDVDシリーズ』『リレントレス』他