「いろんな人と交わる、いろんな界隈を知る、いろんな気づきを得ることが根本的な学びのステップになる」一般社団法人スポーツコーチングJapan代表理事、中竹竜二氏インタビュー(後編)

3/3(土)に開催されるSCJ Conference 2018に先駆けて、先週、都内某所で決起集会が開催され、同団体のビジョン、計画がが紹介された。本記事では、中竹氏のインタビュー記事の後編に加え、決起集会の様子の一部をレポートしたい。

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『学びを考えた時に、ある固定的な専門性の高いものを学ぶということも大切です。ただ、いろんな人と交わる、いろんな界隈を知る、いろんな気づきを得ることが根本的な学びのステップになります』一般社団法人スポーツコーチングJapan代表理事、中竹竜二氏インタビュー(後編)

——今年3月3日に「SCJ Conference 2018」が開催予定です。今回のカンファレンスでは、どういったものにしたいと考えていますか?また、これを機にどんなことを仕掛けたいと考えていますか?

スポーツの枠を超えて、競技の枠を超えて多くの人が自分自身の学びを体感できる場所。分かりやすく言うと、選手が自分の体力やスキルを伸ばす気持ちのように、指導者自身が「この指導者には負けない」とか「自分のチームを良くするために」といった、自分が学ぶ、成長する場所を作っていければなと思っています。

そういう意味では、何か答えがあって正解を探しに行くというより、いろんな人の意見や学びを聞いて、それを自分の学びに変える場。一方的な情報提供というよりは、学ぶコーチのコミュニティができるキックオフイベントになればいいなと思います。

おそらくただ学ぶ、ただ勉強する、ただインプットするだけでは、人は本質的に変わらないでしょう。 今回の3月3日をきっかけにトレーニングの場を生み出す組織にしたいと思っています。 例えばコーチを育成する資格制度、ライセンスの発行であったり、指導者が継続的に学び合う場の創出。そういったものを作っていきたいと思っています。

また、競技を越えても今の日本のコーチング哲学やスポーツコーチング哲学は、なかなか言語化されていません。この団体の中で参加者によってバリエーションのある哲学コーチングを生み出せればと思っています。

——スポーツ、競技の枠を超えて学ぶということで、実際どういった人に参加してほしいと思いますか?

スポーツコーチングJapanということで、まずはスポーツ指導にあたっている方を中心に参加してもらいたいです。

一方で登壇者としてビジネスで実際に活躍されている、岡島さん(株式会社プロノバ代表取締役社長)や高濱さん(花まる学習会代表)といった方々をお呼びします。そのため、スポーツにどっぷり浸かって指導しているというよりは、自分の仕事の現場で指導しなくてはいけない、人を率いていかなくてはいけない立場にある、ビジネスマンや教員、何か団体のリーダー。そういった方々の学ぶ場にもなればと思います。

学びを考えた時に、ある固定的な専門性の高いものを学ぶということも大切です。ただ、いろんな人と交わる、いろんな界隈を知る、いろんな気づきを得ることが根本的な学びのステップになります。人と交流するということもある意味大きな価値を生み出すので、たくさんの人に来てもらいたいです。

終わった時に「次はこうしたい」「こんなこともやりたい」というふうに参加者一人ひとりが主体的になる。そして、新しい活動やイベント、ムーブメントを起こしてくれるような場にしたい

—— 今後「SCJ Conference」の運営者を募集するということで、どんな人と一緒に作っていきたいでしょうか?

とにかくやりたいことを実現できる場にしたいなと思っていて。何かタスクがあって活動に参加したいというよりは、このSCJを通じて今までなかったコーチと選手の関係や、スポーツの場を試したい人と作っていきたいです。例えば、「笑いしか起きないコーチングをしてみたい」「90歳になっても指導したい」「スポーツ経験がないけどスポーツを指導したい」「指導者のいないチームを作りたい」など。そういった志のある人に場を与え支援して、一緒に考えチャレンジしていきたいです。

そういったチャレンジを通じて、ただ楽しくやるのではなく最終的にはいろんな価値を実践、提供できればと思います。例えば、「経済効果があるのか」「組織の中に雇用が生まれるのか」「幸福度が上がるのか」「健康の数値が上がるのか」、といった数字を示すこと。実際にSCJで働き、SCJのノウハウを持って、社会の現場でビジネスをやる人が増えてくれるといいなと思います。

—— 最後に伝えたい言葉をお願いします

何事も最初のスタートが肝心。単発のイベントで終わってしまってはイベント自体の価値も下がってしまいます。これはスタートであり、今後継続して作り、これが点ではなく線でつなぐと同時に面でつながっていくような。SCJが一つのハブとなって、いろんな組織と連動して、いろんなスポーツのリーダー、ビジネスリーダーが繋がることによって新しい指導者のムーブメントやスポーツのムーブメントを作り出せたらいいなと思います 。

もし、参加のきっかけが「誘われたから」といった受動的な姿勢だったとしても、終わった時に「次はこうしたい」「こんなこともやりたい」というふうに参加者一人ひとりが主体的になる。そして、新しい活動やイベント、ムーブメントを起こしてくれるような場にしたいと思っています。

決起集会の様子より

「我々が創り出したいのは、簡単に言うと、今の3分間のような空間なんです」

2月某日、一般社団法人スポーツコーチングJapanのSCJ Conference 2018への、及び、今後のスポーツ界に向けた決起集会が開催された。「今日、こちらにはスポーツ界やビジネス界の各領域でご活躍されている方々にご参加頂いた。なので、是非、面識の無い人と3分間、お互いの活動などについてお話してみてください」と、代表理事の中竹竜二氏が挨拶の前に語る。当初は、控えめだった参加者同士も、いざ、名刺交換がスタートすると3分間では収まらないほどに決起集会の会場で話が弾む様子が見て取れた。冒頭の言葉は、3分間の自己紹介タイムが終わった後、中竹氏の言葉である。

その後、一般社団法人スポーツコーチングJapanの設立理念、近い将来の計画が説明された。スローガンは”Good coach to Great Coach”であり、Great Coachを育成する仕組み造りのリーディングオーガナイゼーションを目指しているという。詳しくは、また別記事やGSLのFB記事などで紹介予定。

SCJ Conference 2018の登壇者を見ればわかるが、スポーツ界のみならず、非常に幅広い層から登壇者が集まる事が特徴だ。また、参加対象者も、何か一つの競技に限定するのではなく、幅広く募集をしている。学びと出会いの場の創出を通じ、主体的な学びを促進する事で、日本のスポーツコーチングを進化・発展させようとするアプローチである。SCJ Conference 2018の開催は今週末となった。

中竹竜二
日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター
株式会社TEAMBOX 代表取締役

早稲田大学ラグビー蹴球部主将を経験し、レスター大学大学院社会学部修了。三菱総研でのコンサルタント経験を経て、2006年に早大ラグビー蹴球部監督に就任。同部を2度の大学選手権制覇へ導く。2010年より日本ラグビー協会コーチングディレクター、2012年よりU20日本代表ヘッドコーチを務める。2014年、株式会社TEAMBOXを創業し、スポーツマネジメントのエッセンスをビジネス界に紹介した。2016年春には、ラグビー日本代表ヘッドコーチ代行として率いる。近年ビジネス界で話題となっている概念「フォロワーシップ」の提唱者の一人で、主な著書には『リーダーシップからフォロワーシップへ』『挫折と挑戦』などがある。

この記事の著者

片岡 秀一
片岡 秀一ゴールドスタンダード・ラボ特別編集員
1982年生まれ。埼玉県草加市出身。株式会社アップセット勤務の傍ら、ゴールドスタンダード・ラボの編集員として活動。クリニックのレポート、記事の執筆・企画・編集を担当する。クリニックなどの企画運営も多く手掛け、EURO Basketball Academy coaching Clinicの事務局も務める。一般社団法人 Next Big Pivot アソシエイトとして、バスケを通して世界を知る!シリーズ 第1回セルビア共和国編では、コーディネーターとして企画運営に携わりモデレーターも務めた。 J SPORTSでB.LEAGUE記事も連載中。

宮城クラブ(埼玉県クラブ連盟所属)ではチーム運営と共に競技に励んでいたが、2016年夏頃に引退。HCに就任。これまで、埼玉県国体予選優勝、関東選抜クラブ選手権準優勝、関東クラブ選手権出場、BONESCUP優勝などの戦績があるが、全国クラブ選手権での優勝を目標に、奮闘中。