インタビュー:大野篤史(元パナソニックトライアンズ) 後編

インタビュー:大野篤史(元パナソニックトライアンズ) 後編

シーズン中でご多忙を極める中、また同チームの休部が伝えられる中でご協力頂きましたことに、この場を借りて心より御礼申し上げます。

これまで代表を含めて様々なコーチの下でプレイしてきましたが、特に印象に残っているコーチ、コーチの考え方、 言葉などがございましたらお教えください。

自分の競技人生はコーチに恵まれていたと思います。印象に残っているコーチはナショナルチームで指導してもらったブライアン・グージーと三菱電機で指導してもらったアントニオ・ラングです。 彼らに共通するのは選手に対する情熱が凄まじいということ。選手をやる気にさせるのがとても上手でした。

2人に教わったことは“ONLY HARD WORK MAKE YOU IMPROVE (ハードワークだけがあなたを上達させる唯一の方法)”という考え方です。 彼らのワークアウトはとにかくハードで細かく、ボールの場所や肘の場所、手の使い方、スタンスに至るまでファンダメンタルとテクニックをとにかく細かく教えてもらいました。特にトニー(アントニオ・ラング)には、NBAやNCAAの選手達もこういったトレーニングを、シーズン前のワークアウトでやっていると教えてもらいました。

次はキャプテンではなく、コーチとして大事にしている哲 学や考え方、目的、役割などをお教えください。

コーチになって日は浅いですが、大事にしていることはミスを「すみません」で終わらせないようにということです。なぜミスになったのか? どうすればうまくいくか? をプレイヤーがしっかりと考えて、話し合い、共通理解を持っていくことを心掛けています。ただ漠然とプレイせずに考えながらプレイができるようになっていく手伝いをすることを考えています。

今後ご自身のコーチとしての目標は何ですか? どのようなコーチになるのか? どのようなチームを作るのか?  選手とはどのようにコミュニケーションをとるのか? など教えてください。

自分なりのコーチングのスタンダードを確立し、規則で縛るのではなく、人間形成ができるコーチになりたいと思います。ルールがあるから判断をするのではなく、状況に応じて自分で考え最善の判断ができる選手を育てるのが目標です。そういう指導ができるコーチになるためにも、自分自身これから色々なことを勉強していかなければならないと感じています。

大野 篤史
愛工大名電から日本体育大学へ進み、インカレ四連覇を果たすなど日体大黄金時代を築いた。4年時にはキャプテンを務める。卒業後は三菱電機ダイヤモンドドルフィンズに進み、新人王を獲得。また日本代表にも選出される。2007年にパナソニックに移籍し、2010年に現役引退。現在は同チームのコーチとして活躍した。

この記事の著者

岩田 塁GSL編集長
元・スポーツ書籍編集者。担当書籍は『バスケ筋シリーズ』『ゴールドスタンダード』『シュート大全』『NBAバスケットボールコーチングプレイブック』『ギャノン・ベイカーDVDシリーズ』『リレントレス』他