インタビュー:大野篤史(元パナソニックトライアンズ) 前編

インタビュー:大野篤史(元パナソニックトライアンズ) 前編

シーズン中でご多忙を極める中、また同チームの休部が伝えられる中でご協力頂きましたことに、この場を借りて心より御礼申し上げます。

コーチKの存在は以前からご存知だったのでしょうか? またその経緯、印象などをお教えください

はい、知っています。コーチKが指揮する試合を初めて観たのは、NCAAトーナメントのUNLV(ネバダ大学ラスベガス校)との試合です。当時はコーチングには興味がなかったので名前しか知りませんでしたが…。

そして初めて観た試合でプレイしていた、デューク大出身(現三菱電機ダイアモンドドルフィンズヘッドコーチ)のアントニオ・ラングと、JBL2年目のシーズンで一緒にプレイすることになったときはとても興奮しました。トニー(アントニオ)には選手としても、アシスタントコーチとしても本当に色々なことを教わりました。トニーから聞いたコーチKの印象は、厳格な中にも愛があり、ユーモアも兼ねた指導者だということです。

本書をお読み頂いて最も印象に残った言葉やエピソードは何ですか? またその理由もお教えください。またそれをどのような形で吸収して自身のコーチングに活かしていきたいですか?

「私は規則(ルール)を信じない」という一文が印象に残りました。まずチームを作る上で、日本ではチームルールの大切さが強調されていますが、コーチKはスタンダードという言葉を用いたチーム作りを本書では説いています。

規則(ルール)はリーダーによって集団に向かって発せられるものであり、その集団は規則を守ることも出来るし、それを破ることも出来ると考えています。ルールを決めてしまうとルールの中だけで行動してしまい、応用がきかない場面を私も何度となく見てきました。特にプレイ中でもコーチに言われたことしか出来ず、その為状況判断が出来ず規則がなければ動けない選手に対しての指導に悩んでいましたが、この本を読んでヒントをもらった様な気がします。

ルールを守らせる以前にするべきことが本書には書かれていますが、コーチKの真似をするのではなく、これから自分なりのコーチングのスタンダードを確立しいていきたいと考えています。

ご自身は大学時代、またパナソニックでキャプテンを務められました。その際に大事にしていた哲学であったり意識していたことはありますか? またその理由もお教えください

大学時代で特に意識していたことは不言実行ということです。口下手なのでなかなか言葉ではうまく伝えることが出来なかったので、常に行動で示す様にしていました。パナソニックでは悩んでいる若い選手に自分から声をかけ、自分の経験談などを含めて相談に乗るようにしていました。

大学時代はスター選手が揃った日体大の黄金時代で、またJBLではトップリーグの選手たちをまとめるポジションでしたが、レベルの高い選手たちをまとめることに関しての苦労や考え方というのはありましたか?

苦労と感じたことは特にありません。選手それぞれが勝つ為に我を通す部分とチームの為に犠牲になる部分とを理解していたので、チームをまとめると言うことで苦労は感じませんでした。その目標が全員ぶれなかったので大学時代は結果を残せたと思います。

自分なりのコーチングのスタンダードを確立し、規則で縛るのではなく、人間形成ができるコーチになりたいと思います。ルールがあるから判断をするのではなく、状況に応じて自分で考え最善の判断ができる選手を育てるのが目標です。そういう指導ができるコーチになるためにも、自分自身これから色々なことを勉強していかなければならないと感じています。

大野 篤史
愛工大名電から日本体育大学へ進み、インカレ四連覇を果たすなど日体大黄金時代を築いた。4年時にはキャプテンを務める。卒業後は三菱電機ダイヤモンドドルフィンズに進み、新人王を獲得。また日本代表にも選出される。2007年にパナソニックに移籍し、2010年に現役引退。現在は同チームのコーチとして活躍した。

この記事の著者

岩田 塁
岩田 塁バリュードライブ株式会社/インパクトM株式会社(ディレクター)
デジタル/コンテンツマーケティング支援のバリュードライブ株式会社/インパクトM株式会社ディレクター。企業様のデジタルマーケティング/コンテンツ戦略を支援させて頂いております。

元・スポーツ書籍編集者。担当書籍は『バスケ筋シリーズ』『ゴールドスタンダード』『シュート大全』『NBAバスケットボールコーチングプレイブック』『ギャノン・ベイカーDVDシリーズ』『リレントレス』他