ステップバックシュートを極める 〜基本編〜
突然ですが、現在僕のいち押しのNBA選手はダミアン・リラードです。
ご存知昨シーズンの新人王で、今季はさらに成長してチームをウェスタンカンファレンス2位に導く原動力となっています。
彼のハイライト動画なんかを見ていたところ、ステップバックシュートの上手さに惹きつけられました。
これは、文字通りゴール(ディフェンダー)から遠くにステップして打つシュートです。
往年のNBAファンであればキキ・ムーブ※なんて名前でも聞いたことがあるかもしれません。
※1980年代から90年台にかけてNBAで活躍したフォワード、キキ・バンダウェイが得意としたムーブ
まさか動画があるとは思いませんでした。4:32辺りでキキ・ムーブを見せています
今で言えばポール・ピアースやケビン・デュラントなんかがステップバックの使い手として知られています。また彼らほどキラームーブとして備えていなくとも、多くの選手は引き出しとして持っているムーブであり、間違いなく効果的なムーブであると言えます。
この技術「キキ・ムーブ」の創始者であるキキ・バンダウェイはその動きについて、ステップの遅い自分自身にとって、自分より素早いディフェンス、高いディフェンス、強いディフェンスに対抗するための「防御方法」と述べている。
『シュート大全』p85より
誰にとってもスペースを作り出せるための方法として考案され、効果的であることが実証されているのです。特にガードの選手。アウトサイドのシュートが上手い選手は、これによって多大な恩恵を受けられることが予想されます。効果的にアウトサイドでオープンを作れることと、それによってディフェンダーを連れ出すことができる(インサイドのスペースが空く)からです。
ステップバックシュートの基本
このムーブはドライブの中で使うのが一般的です(以下は『シュート大全』の内容を元に解説しています)。
- ドライブでゴールに向かって仕掛ける
- ディフェンダーがコースに入ってくる
- ディフェンダーに近い方の足で蹴って、ゴールから離れる
- 着地してシュート
ここでの注意点は下記の通り。
- バランスの良い体勢で着地して自分の身体と両足をゴールに向けること
- 頭や胸や肩は、ネガティブモーションや後ろに下がってしまうのを補正するためにわずかに前にもってくること
- 動きの最中ずっと、自分の両足がコート(床)からあまり離れないように低い位置を動くようにすること
基本的なムーブでの細かいバリエーションで言うと、①「ストロングサイド」か「ウィークサイド」の違い、②下がる角度の違い、③止まり方が挙げられます。
ポール・ピアースのステップバックは芸術の域に達している
①ストロングサイドとウィークサイド
要は利き手側に下がるのかどうかということです。右利きの人が自分の右側に下るときはストロングサイドへのステップバックです(以下は右利きの場合を想定して解説します)。
ストロングサイド
右足を下げて左足で地面を蹴る。その際に、後ろに下げた右足よりも後ろに左足を持ってきて、かつリングに正対する必要がある。そのため少し時間がかかりバランス能力が求められる。
ウィークサイド
左足を下げて右足で地面を蹴る。下がると自然に利き手と右足が前に出るので、より素早くシュートまで行ける。
②下がる角度の違い
先ほどのダミアン・リラードですが、彼の場合は縦方向に下がるパターンが多かったですね。角度的には45°とかそれほど大きな角度ではありません。対して一般的なステップバックは、ドライブの進行方向から90°前後の角度で下がることが多いように思います。ポール・ピアースの動画の場合はこのパターンが多いですね。ドライブを仕掛ける前かドライブ途中かの違いかもしれませんが、どちらもできるようになると幅が広がるのではないでしょうか。
③止まり方の違い
旧来は外側の足、内側の足の順に止まるワンツーストップ(ストライドストップとか言い方は色々あります)が一般的でした。しかし現在は運動能力の高い選手が増えてきたこともあり、ジャンプストップで着地してからシュートを打つ選手も増えています。
現・シャーロット・ボブキャッツのケンバ・ウォーカーのステップバックブザービーター。やばいです
ちなみにこの動きを分析したサイトもありました。英語が読める方は是非どうぞ。
The KEMBA Walker Step Back : A breakdown of the athletic movement
ということで、長くなってしまったのでここまでを基本編として一度終わらせて頂きます。明日は「応用編」と称して、いくつかのバリエーションをご紹介したいと思います。
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