【UPSET連動記事】「子どもたちを笑顔に、地域と共に夢と感動を」ヴィアティン三重 ハイライト動画解説企画⑤

B.LEAGUEへの参入を目指し、各地に中期・長期的な展望と運営体制を備えた社会人チームの発足が増えてきました。

本稿では、三重県のバスケットボールの発展への熱い想いと共に着々と活動を積み重ねているヴィアティン三重バスケットボールを題材に、ハイライト動画の解説記事を投稿します。

クリニック等でヴィアティン三重バスケットボールの選手と接する機会のあった育成世代の選手や、コーチングを初めて間もないコーチの方が主な対象とする記事です。馴染みのある地元チームの選手のハイライト映像を、いつもより深い視点で見ることを通じ、NBAやB.LEAGUE等のハイライト映像を見る際の発見や学びに繋がる事を目標に制作されています。※玄人の方は本稿はスルーしてください。

GSL編集長の片岡が勤務する株式会社アップセットにて、同チームのオフィシャルサプライヤーを務めている縁で制作をした記事となります。

「子どもたちを笑顔に、地域と共に夢と感動を」ヴィアティン三重 ハイライト動画解説企画④

UPSETは、Bリーグ入りを目指すヴィアティン三重バスケットボールのオフィシャルウェアサプライヤーを務めております。

同クラブは地域総合型クラブ内にあるバスケットボールクラブです。Jリーグ百年構想クラブに承認され、J3ライセンスを保有するサッカークラブの他、女子サッカーチーム、バレーボール、ビーチバレーチームなども保有され、「子どもたちを笑顔に、地域と共に夢と感動を」をCLUB IDENTITYとし、地域と連携した様々な活動を展開しています。

◇B.LEAGUEクラブの存在しない都道府県の中で、少年・少女の環境格差を少しでも解消したい

特に、小学校の訪問や、地域へのバスケットボール教室なども積極的に開催され、コロナ禍名の中では、今後に向けて計画されています。

その理由の一つには、三重県の少年・少女を取り巻く、バスケットボール環境が関係しています。現在、全国各都道府県にB.LEAGUE所属のプロチームが増え、様々な形で良質なバスケットボールに触れる機会が格段に増えています。

定期的なクリニック以外にも、ユースチーム、スクール事業の活動等が各地域で盛んであり、バスケットボールを愛する選手にとっては貴重な選択肢の一つになっています。必然的に、プロクラブを持たない都道府県は、バスケットボール競技体験の機会が少なくなります。

ヴィアティン三重バスケットボールが少年・少女向けのバスケットボール普及活動を時間の許す限り重視しているのも、上記のような理由があると言います。

◇数多く存在するハイライト動画を見る「目」を養い、バスケIQを高めて欲しい

そこで、UPSETでは、三重県でバスケットボールに励む少年・少女のプレイヤーの競技人生に彩りを加えられるよう、ヴィアティン三重バスケットボールの中西HCとの協力の元、本企画を構想しました。活用する動画はヴィアティン三重バスケットボール応援大使を務め、4.7万人のTwitterのフォロワーを持ち、4.4万人のインスタグラムフォロワー、約4.7万人のYoutubeチャンネル登録者数チャンネル登録者を誇る「まぐろさん」です。

昨今、SNSや動画投稿サイトで世界各国のバスケットボールの映像を見るすることが出来ます。動画を見る際の「目」を養う事で、発想力を拡げ、競技中の判断力向上等に貢献する事が本企画の目的となります。

まぐろさんが応援大使を務める

『ヴィアティン三重バスケットボールバスケットボール』

#15 粂 辰弥 選手

(178cm/桜丘高校→中京大学 卒)#まぐコレ

※各場面の補足説明は、改めて追記予定。

1、ショットクロックが残り少ない状況で、粂選手がボールを保持します。#16川尻政宏選手とPnRを選択します。以前の記事の通り、他の選手は3Pの外へと拡がります。

2、相手DF選手に注目してみましょう。ボールマンのDFは、スクリナーの選手の下側を通りました。インサイドのDF選手は粂選手をマークします。

その後、(映像を見る限りでは)、DFの役割分担が曖昧になりました。ボールを保持する#15 粂 辰弥選手へマークをする選手が誰なのか、ゴール下へROLLをするインサイドの#16川尻政宏選手へのマークマンが誰なのかが曖昧な状況となりました。

3、その瞬間、#16川尻政宏選手へのパスコースが出来ました。X3の選手もHelpを試みました。しかし、ドリブルから片手で鋭くパスを出した粂選手のパスが鋭くゴール下まで届き、ゴール下でのシュートが成功しました。

「バスケットボールの家庭教師」の事業を行っている株式会社ERUTLUCの鈴木良和氏は著書『バスケットボールの教科書』の中、良いパスの定義として「ゴールの確率が高いエリアにボールを移動させる事」と表現しています。

そして、従来、ミスに繋がる等の理由で好まれることも少なかったワンハンドパスについても、パスを出そうと判断をし、実際に行動をするまでの時間的な素早さに着目し、その有効性を書籍の中で紹介されています。

もし、この場面、ドリブルを両手でキャッチし、チェストパスでゴール下へパスを狙っていたら通っていなかったでしょう。きっと、一瞬のスキを突くことは難しかったと思われます。

4、ここで重要なのは、#15 粂 辰弥選手が数X3のDFの位置も捉えていると思われる事です。X3のHelpが間に合わない事を見極めた上で、ゴール下の#16川尻政宏選手へ見事なパスを通しました。

本ハイライト以外の映像では、似たような場面でX3の選手がゴール下のパスコースを消した場合、コーナーの3番の選手へパスをするシーンもありました。コート上の状況が刻一刻と変化する中、瞬間的に得点する為にベストなパスコースを的確に見極めているといえるでしょう。

2、記事制作の意図

・コロナ禍で、バスケットボールの活動には制限が多い。Youtube等の練習動画を見ながら、公園や、自宅前等でボールハンドリング等の自主練習を余儀なくされるケースも多い。テニスボールやコーンを使ったドリル、または2つのボールを使ったドリル等、様々なメニューにトライする事が出来ます。

どの練習も選手の成長や技術習得に繋がるはずである。加えて、「どのようなプレーに繋がるのか」をイメージできると、成長速度は加速するはずである。

例えば、テニスボールを使ったドリブル練習等も、本動画の粂選手のプレーのように「ドリブルをしながら、DFの動きにも対応し、視野を確保する。ミスなくドリブルを続け、一瞬の隙を見逃さずに正確にパスをする」という部分と繋がれば、自主練習等の質が高まると考えた。

特に、ヴィアティン三重バスケットボールによるクリニック等で、直接に選手と触れ合って、同チームの選手を身近に感じている育成世代の選手にとって、参考となる記事となる事を目指して制作した。

3、ヴィアティン三重 中西康介HCコメント

#15 粂 辰弥選手のハンドリング能力や創造性溢れるプレーについて伺いました。

「粂選手は非常に創造性のあるプレーをする選手です。ヴィアティン三重バスケットボールを上のステージに引き上げることは勿論、個人としても高みを目指し、とても精力的に練習にも励んでいます。

彼の創造性について、特にコーチとして、特別な何かを教えた事などはありません。ただし、チームの中で、彼が持つ創造性を発揮できるように、スペーシングを徹底する事、選手同士で共通理解を持てること、そして、ある程度の枠の中で自由に判断をしてプレーを選択できるように工夫しています。

『派手なプレーだけではなく、堅実なプレーもある。得点の為にベストなチョイスをしているだけ。ハイライト映像だけで判断をせずに、ゲームを理解する事が大切』

この記事を見てくれている育成世代の選手へメッセージがあるとすれば、今回のようなハッとするプレー以外にも、#15 粂 辰弥選手も堅実なパスコースを選ぶケースがある事は強調したいです。派手なプレーを狙っているわけではなく、状況、状況で、得点をする為にベストだと思われるプレーを判断しています。その結果、ハイライト等では、今回のような映像が取り上げられます。そこの部分については、是非、誤解をしないでほしいと思います。

ヴィアティン三重バスケットボールで言えば、現在は、対外試合などは無観客で行うことも多いため、地元の育成世代の選手にフルゲームを見ていただくことは難しい状況です。和歌山トライアンズとの交流試合では、Youtubeで配信等を行いました。

ハイライトはハイライトで勉強になる事も勿論多いです。ヴィアティン三重バスケットボールに限らず、好きなチームのバスケットを見る時には、ゲームの本質を見ようとする事を大切にしてほしいと思います。そのような良い試合ができるように、ヴィアティン三重バスケットボールもさらに頑張っていきたいと思います。

この記事の著者

片岡 秀一ゴールドスタンダード・ラボ特別編集員
1982年生まれ。埼玉県草加市出身。株式会社アップセット勤務の傍ら、ゴールドスタンダード・ラボの編集員として活動。クリニックのレポート、記事の執筆・企画・編集を担当する。クリニックなどの企画運営も多く手掛け、EURO Basketball Academy coaching Clinicの事務局も務める。一般社団法人 Next Big Pivot アソシエイトとして、バスケを通して世界を知る!シリーズ 第1回セルビア共和国編では、コーディネーターとして企画運営に携わりモデレーターも務めた。 J SPORTSでB.LEAGUE記事も連載中。

宮城クラブ(埼玉県クラブ連盟所属)ではチーム運営と共に競技に励んでいたが、2016年夏頃に引退。HCに就任。これまで、埼玉県国体予選優勝、関東選抜クラブ選手権準優勝、関東クラブ選手権出場、BONESCUP優勝などの戦績があるが、全国クラブ選手権での優勝を目標に、奮闘中。