【UPSET連動記事】「子どもたちを笑顔に、地域と共に夢と感動を」ヴィアティン三重 ハイライト動画解説企画④

B.LEAGUEへの参入を目指し、各地に中期・長期的な展望と運営体制を備えた社会人チームの発足が増えてきました。

本稿では、三重県のバスケットボールの発展への熱い想いと共に着々と活動を積み重ねているヴィアティン三重バスケットボールを題材に、ハイライト動画の解説記事を投稿します。

クリニック等でヴィアティン三重バスケットボールの選手と接する機会のあった育成世代の選手や、コーチングを初めて間もないコーチの方が主な対象とする記事です。馴染みのある地元チームの選手のハイライト映像を、いつもより深い視点で見ることを通じ、NBAやB.LEAGUE等のハイライト映像を見る際の発見や学びに繋がる事を目標に制作されています。※玄人の方は本稿はスルーしてください。

GSL編集長の片岡が勤務する株式会社アップセットにて、同チームのオフィシャルサプライヤーを務めている縁で制作をした記事となります。

「子どもたちを笑顔に、地域と共に夢と感動を」ヴィアティン三重 ハイライト動画解説企画④

UPSETは、Bリーグ入りを目指すヴィアティン三重バスケットボールのオフィシャルウェアサプライヤーを務めております。

ヴィアティン三重

同クラブは地域総合型クラブ内にあるバスケットボールクラブです。Jリーグ百年構想クラブに承認され、J3ライセンスを保有するサッカークラブの他、女子サッカーチーム、バレーボール、ビーチバレーチームなども保有され、「子どもたちを笑顔に、地域と共に夢と感動を」をCLUB IDENTITYとし、地域と連携した様々な活動を展開しています。

◇B.LEAGUEクラブの存在しない都道府県の中で、少年・少女の環境格差を少しでも解消したい

特に、小学校の訪問や、地域へのバスケットボール教室なども積極的に開催され、コロナ禍名の中では、今後に向けて計画されています。

その理由の一つには、三重県の少年・少女を取り巻く、バスケットボール環境が関係しています。現在、全国各都道府県にB.LEAGUE所属のプロチームが増え、様々な形で良質なバスケットボールに触れる機会が格段に増えています。

定期的なクリニック以外にも、ユースチーム、スクール事業の活動等が各地域で盛んであり、バスケットボールを愛する選手にとっては貴重な選択肢の一つになっています。必然的に、プロクラブを持たない都道府県は、バスケットボール競技体験の機会が少なくなります。

ヴィアティン三重バスケットボールが少年・少女向けのバスケットボール普及活動を時間の許す限り重視しているのも、上記のような理由があると言います。

◇数多く存在するハイライト動画を見る「目」を養い、バスケIQを高めて欲しい

そこで、UPSETでは、三重県でバスケットボールに励む少年・少女のプレイヤーの競技人生に彩りを加えられるよう、ヴィアティン三重バスケットボールの中西HCとの協力の元、本企画を構想しました。活用する動画はヴィアティン三重バスケットボール応援大使を務め、4.7万人のTwitterのフォロワーを持ち、4.4万人のインスタグラムフォロワー、約4.7万人のYoutubeチャンネル登録者数チャンネル登録者を誇る「まぐろさん」です。

昨今、SNSや動画投稿サイトで世界各国のバスケットボールの映像を見るすることが出来ます。動画を見る際の「目」を養う事で、発想力を拡げ、競技中の判断力向上等に貢献する事が本企画の目的となります。

ヴィアティン三重バスケットボール×UPSET ハイライト解説記事④

<登場する選手>

・#7 佐脇考哉選手(三重県出身)

(183cm/海星高校→国士舘大学 卒)

・#0 阿部 祐也選手(三重県出身)

(171cm|68kg三重県桑名市 県立四日市工業高校―中京大学卒)

・#33 嶋田 基志 選手

(197cm/愛知産業大学工業高校→東海大学 卒)

<プレー解説>

※バスケットボール用語は『』で記しています。

1、今回のハイライト映像では、図のように陣形でオフェンスをスタートします。(バスケ界では『1-4(ワンフォー)』等とも呼ばれます)予め、全員でどのようにオフェンスを組み立てるのかの共通認識を持ったうえでスタートしているプレーです。

2、ポイントガードの選手の合図に合わせ、#7佐脇考哉選手選手が反対サイドへ移動します。また、その際、図#4、#33嶋田基志選手のスクリーンを活用します。今回の#17佐脇選手のようにコートを横に移動する動きは『AIカット/アイバーソンカット』等とも呼ばれることがあります。

3、本来、ここでは、#17佐脇選手へパスをするプレーを狙っていたと思われます。しかし、相手のX2の選手が頑張ってマークをし、パスコースを防ぎました。そこで、#0阿部選手はパスを選択せずに、#33嶋田基志選手とのピック&ロールを選択します。#0阿部選手、#33嶋田選手ともに、#17佐脇選手へのパスが通らないと判断するや、迅速に次のプレーに移行します。

4、#17佐脇選手も、両選手がピック&ロールを狙っている事を察知します。直ぐにコーナーへと拡がります。ピック&ロールで、#0阿部選手がリングへとアタックするスペースを作る為です。

5、相手チームは、#0阿部選手のドライブを止めようと、X5の選手がドリブルに対応(『Switch』)します。また、X2の選手もドライブインに対応しよう(『スタント』)と身体をボール方向へ向けます。

6、この瞬間を見逃さず、#0阿部選手は、ドリブルをしながら、一瞬の判断で#17佐脇選手へと鋭いパスを出しました。#0阿部選手(図①)のドライブを止めようとした為、ほんの一瞬ですが、#17佐脇選手(図②)とリングとを結ぶラインに誰もいない状況を作る事が出来ました。#17佐脇選手は直ぐにドライブインを仕掛け、リング下へと侵入しました。

7、相手チームもX4の選手がHelpをして守ろうとします。しかし、#17佐脇選手は、自分のマークにもコンタクトをし、十分なポジションを確保してからジャンプをします。前回の高松選手の記事と同様に、ここで何もせずに、直ぐにランニングステップを選択してしまっていたら、このようにシュートを決め切る事は難しかったでしょう。

<まとめ>

華麗な得点に繋がった背景には、X2の意識やDFの体制が#0阿部選手(図①)に向いている事を見逃さなかったことにあると思います。#0阿部選手も、#17佐脇選手もX2の状況に気が付いているからこそ、素早くチャンスを突けたのではないでしょうか。パッと見た感じでは、ノーマークではありません。しかし、パサーの選手も、ボールを受けた選手も、「得点チャンスを見逃さない嗅覚」があり、お互いに「得点チャンスに対する共通認識」があったからこそ本プレーが成立したと言えるでしょう。

現在、インターネット上を見れば、NBAチーム等の各種のフォーメーションプレーを見つけることができます。作戦版上で各種プレーを真似するのは簡単です。しかし、本プレーのように、DF側の対応を見極め、的確にズレを突く嗅覚を磨き、かつ、それを的確に実行する能力が求められます。

◇ヴィアティン三重 中西康介HCコメント

※本プレーに対し、中西HCに伺った際の返答内容を抜粋して記載します

・シューターがしっかりと待てるかどうか。ガードがDFの対応を見て判断できるかどうかが大切

「本ハイライト映像については、ボールを持つ選手と、ボールを持たない選手の判断が非常に大切になります。ピック&ロールになった際に、シューターがしっかりとコーナーで3Pを待てるかどうかが非常に重要です。ここでボールに近づいてしまうと、相手DFにとっては守りやすくなります。また、PnRを使うガードの選手は、ペイントエリアの深い位置までドライブをする事が大切です。その上で、相手DFがどのような対応をしてくるのかを見極めて攻めています。

(非常にハイレベルな攻防だと感じました。どうすれば、このようなプレーが出来るようになるか?という問いに対し)

・育成世代の選手は、まずは「理解」する事が大切ではないか?

「個人的には、育成世代の場合、このような状況でミスをしてしまう事は問題ないと思います。ただし、構造や理屈を「理解」する事は大切ではないかと思います。理解をした上でも、実際のプレーをミスしてしまう事もあります。そして、ある程度、チームとしての共通理解も必要となります。このような状況の1つ1つを理解しながらプレーをする事で、カテゴリーが上がっても活躍できる選手になれると思います。また、このようなシチュエーションで必要なスキルを練習するスキルトレーニングは必要であると考えます。」

(現在は、試合映像等を撮影してくれる保護者やチームスタッフも非常に多い。本ハイライトのような判断力を磨くには、映像等の活用方法について、という問いに対し。)

・私自身は、フォーメーションを紙に書き起こし、全体像を把握する事が有益でした。

「私も、選手時代には、ビデオを撮影し、よく見ていました。しかし、自分のシュートが入った場面等、どうしても良いプレーばかり見る傾向がありました笑。ただ、それは、モチベーションをあげたり、ただ、いいイメージが生まれるので良いかとは思います。判断力の向上を意識するのであれば、相手チームが何をしようしてるかを注意深く見て、分析する事が凄く勉強になると思います。例えば、今回のようなプレーであれば、フォーメーションを紙に書き起こし、全体像を把握しておく事がベストだと思います」

参考

#7 佐脇考哉選手(三重県出身)

https://twitter.com/baskemaguro/status/1309803978385842176?s=20

この記事の著者

片岡 秀一
片岡 秀一ゴールドスタンダード・ラボ特別編集員
1982年生まれ。埼玉県草加市出身。株式会社アップセット勤務の傍ら、ゴールドスタンダード・ラボの編集員として活動。クリニックのレポート、記事の執筆・企画・編集を担当する。クリニックなどの企画運営も多く手掛け、EURO Basketball Academy coaching Clinicの事務局も務める。一般社団法人 Next Big Pivot アソシエイトとして、バスケを通して世界を知る!シリーズ 第1回セルビア共和国編では、コーディネーターとして企画運営に携わりモデレーターも務めた。 J SPORTSでB.LEAGUE記事も連載中。

宮城クラブ(埼玉県クラブ連盟所属)ではチーム運営と共に競技に励んでいたが、2016年夏頃に引退。HCに就任。これまで、埼玉県国体予選優勝、関東選抜クラブ選手権準優勝、関東クラブ選手権出場、BONESCUP優勝などの戦績があるが、全国クラブ選手権での優勝を目標に、奮闘中。