サンアントニオ・スパーズの強さの秘密を探る 〜②ディフェンスシステム編〜

スパーズ ディフェンス何回かに渡ってNBA2013-14チャンピオンであるサンアントニオ・スパーズの強さの秘密を探っています。前回の記事ではスパーズの流れるようなオフェンスのシステムの秘密に迫りましたが、そこで解き明かされた「トータルバスケットボール」というキーワードの中にディフェンスについても書かれていましたので、今回はディフェンスシステムについて探ってみたいと思います。

前回記事はこちら⇒「サンアントニオ・スパーズの強さの秘密を探る 〜①オフェンスシステム編〜

スパーズといえば強固なディフェンス

皆さんもこんなイメージがあるかと思います。実際の所どうなのかというと下のようになります。(※クリックで拡大します)

スパーズ ディフェンススタッツ(100ポゼッション辺りの)平均失点は100.1点と30チーム中4位。特筆すべきは得失点差ですね。平均得点が108.2点(同6位)とその差の8.1点は全体1位。2位のLACが7.3点ですから断トツです。ちなみにプレイオフでは(MIAをボコボコにしてしまったため)さらにその差が開き、平均得点112.7点(16チーム中1位)に対して平均失点が101.1点(同2位)で得失点差は脅威の11.6点(断トツの1位)です。

強力なディフェンスとともに展開されるスピーディかつテンポの良いオフェンスが産んだ結果と言えますが、前回記事で紹介した「トータルバスケットボール」に通じる部分がありますね。

トータルフットボールは受動的でなく能動的で、ポジションの交換と激しいプレスに基づいていた。そしてポゼッション時にはコートを大きく使い、相手のポゼッション時にはコートを狭く使うという考えを持っていた。スパーズにはこれの類似点が多々ある。

ディフェンスではペイントエリアと3Pラインを特に注意して封じ、9フィート(3m弱)から3Pまでの間でのみしかプレイできないようにする。

全体を通してのもっと詳しい論評が見つかりませんでした。どなたかご存じの方がいたら教えてください。

ファイナルでスパーズはいかに守ったのか?

プレイオフでの記述が見つかりました。要約すると以下の通り。

  • ディフェンスのトランジションのために、必ずしも勝敗に影響を与えないオフェンスリバウンドを捨てている。
  • 昨年のNBAファイナルにおいては、レブロンとウェイドに外のシュートを打たせ、代わりにペネトレイトを止めることに集中した。
  • Game6でのレイ・アレンの3Pを除けばスパーズの戦略は上手くいっていた。
  • 今年も同じ戦略を用いることを見越してヒートはインサイドを攻めたが、レナードのサイズとストレングスがそれを阻んだ。
  • 最高のパッサーでもあるレブロンに対してはダブルチームを仕掛けなかった。これはサンダーのラッセル・ウェストブルックに対するディフェンスと同様であった。
  • ヒートがアドバンテージを得られたのはトランジションでのオフェンスのみだった。
  • ウェストブルックに対しては(レブロンも同様)、ペネトレイトさせないことを第一に考えていた。あくまで「ペリメーターから打たせる」ことを念頭に置いていた。これはピック&ロールの時も同様である。

「How San Antonio Spurs Should Defend Miami Heat Offense」bleacherreportより
http://bleacherreport.com/articles/2085957-how-san-antonio-spurs-should-defend-miami-heat-offense 

全てのチームを相手に同じ戦略を用いているかは分かりませんが、ファイナルでの対ヒートや対サンダーに対しては、スコアラーでありボールの供給源でもあるレブロンとウエストブルックに対して、2つ以上のオプションを与えないという戦略を用いて、それが上手くはまっていたようです。

レブロンにペネトレイトやペイントでのプレイをさせてしまうと、ダブルチームやカバーにいかざるをえなくなり、パッサーとしてのポテンシャルまで引き出してしまう。後手に回ると確率の高い2点を獲られる。つまり「全てを」守ろうとせず相手の長所となる部分を消し、選択肢を狭めるという一見セオリーのような戦略(当然細かい戦術もあったと思いますが)を「徹底してやりきった」ことが(実際上述の記事は昨年も同じ戦略を用いたがレイ・アレンのミラクルショットにやられただけという見方をしている)、今回の勝利の分かれ目となった理由の1つだったのかもしれません。

ディフェンスに関してはあまり良い記述を見つけられなかったのですが、何か自チームに落とし込める何らかのヒントを見つけてもらえれば幸いです。次回はポポビッチの哲学、あるいはスパーズのチーム作りについて書きたいと思います。更新はこれまた未定です。よろしくお願いします!

この記事の著者

岩田 塁
岩田 塁バリュードライブ株式会社/インパクトM株式会社(ディレクター)
デジタル/コンテンツマーケティング支援のバリュードライブ株式会社/インパクトM株式会社ディレクター。企業様のデジタルマーケティング/コンテンツ戦略を支援させて頂いております。

元・スポーツ書籍編集者。担当書籍は『バスケ筋シリーズ』『ゴールドスタンダード』『シュート大全』『NBAバスケットボールコーチングプレイブック』『ギャノン・ベイカーDVDシリーズ』『リレントレス』他