インタビュー:塚本鋼平(能代市バスケの街づくり推進委員会 副委員長) その3
能代での勉強会を通じて「知」を伝播させていくために、構想中のアイデアや発信方法のアイデアがあればご教示ください。また、それを実現するために自らに課している、必要だと感じている「スタンダード」には何がありますか?
私は現在、勉強会の参加料として、300円いただいております。これは毎回13~15枚ほど準備する資料のコピー代。コーヒーやお茶を飲んでいただくためのお茶代。そしてお菓子代の3つで軽く赤字が出ます(笑)。
でも昨年にオープンした「能代バスケミュージアム」に足を運んでもらうことを第一に考え、ミュージアム機能の活用と利用促進に主眼を置いているため、一緒に勉強させていただいているだけで大満足です。
先日で第4回が終わりましたが、平日の夜19時からの開催ということもあって、来たくても来れない方もいらっしゃるようです。そこで第6回まで終わったら、復習の勉強会を開催したり、出張で勉強会を開いたりしていきたいと思っています。これで「知」の伝播ができればと思っています。
また、対象をしぼって、小学生に対して行う勉強会や商店主などにバスケットボールとマネジメント(私の専門は経営組織なのでそれを中心に)を結びつけて行う勉強会なども提案しているので実行に移していきたいと思います。
そして、私がずっと講師を勤めていると、私の主観的な「知」が蓄積されて、共有されてしまいます。それでは、完全な「知」の共有、蓄積、伝播にはならないと思います。だからこそ、誰でも「こんなことを一緒に勉強してみませんか?」という方が、能代バスケミュージアムで勉強会を行っていただければ最高です。能代にバスケの松下村塾を作るということになりますかね(笑)
勉強会について思案しているのは、大学院生などの研究過程にある方々に、バスケットボールについての研究発表をしてもらったり、審判や役員などバスケットボールを支えている方々の勉強会も開いたりしていければ、より深い「知」の集約、蓄積になると思っています。
2月には、現在計画中なのですが、この勉強会で勉強したことをもとに、実際に体育館で勉強会を行いたいと思っています。講師を3人~5人でいろいろな角度からモデルチームの選手を動かし、勉強するということを考えています。座学から実践へと形式知から実践知(暗黙知)への変換を行っていきたいと思います。
この勉強会には平均で約15名の参加があります。20名になるとほぼミュージアムにスペースがなくなるくらいです。勉強会としては小さい規模ではありますが、1回1回の勉強会に全力で資料を作り、共感してもらい、「知」を共有してもらい、欲を言えば感動してもらい、「知」が伝播してしてくれれば最高の幸せです。
(interview 2013.1.03 片岡秀一/UPSET)
塚本 鋼平 ツカモト コウヘイ
1977年7月16日生まれ、秋田県出身。藤里中学校‐鷹巣高校‐札幌大学‐札幌大学大学院経営学研究科。小学校からバスケットを始め、進学した札幌大学では3年次、4年次と主務を務め、4年次には北海道学生バスケットボール連盟委員長を務める。卒業後、秋田県の高校に勤務し、能代西高校、大館高校(定時制、全日制)、市立合川高校の男子バスケットボール部、由利高校、市立能代商業高校の女子バスケットボール部を指導。2009年~2011年札幌大学男子バスケットボール部A・コーチ。2010年7月に『プリンストンスタイルオフェンス』を編訳し出版。2011年にMBA(経営学修士)を取得。JBA公認C-2コーチ。特定非営利活動法人スポーツ指導者支援協会正会員。2012年7月~バスケの街能代推進副委員長。所属学会:経営行動科学学会,産業・組織心理学会,日本コーチング学会。
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この記事の著者
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1982年生まれ。埼玉県草加市出身。株式会社アップセット勤務の傍ら、ゴールドスタンダード・ラボの編集員として活動。クリニックのレポート、記事の執筆・企画・編集を担当する。クリニックなどの企画運営も多く手掛け、EURO Basketball Academy coaching Clinicの事務局も務める。一般社団法人 Next Big Pivot アソシエイトとして、バスケを通して世界を知る!シリーズ 第1回セルビア共和国編では、コーディネーターとして企画運営に携わりモデレーターも務めた。 J SPORTSでB.LEAGUE記事も連載中。
宮城クラブ(埼玉県クラブ連盟所属)ではチーム運営と共に競技に励んでいたが、2016年夏頃に引退。HCに就任。これまで、埼玉県国体予選優勝、関東選抜クラブ選手権準優勝、関東クラブ選手権出場、BONESCUP優勝などの戦績があるが、全国クラブ選手権での優勝を目標に、奮闘中。