インタビュー:岩田塁(編集者)後編

海外から優れた書籍などを探している中で、「コーチK」に着目した理由には何があるでしょうか?

もちろんコーチKのことは知っていましたが、どのような人物なのか詳しいことは知りませんでした。

結局、佐良土さんとの再会によって本書の出版を決めました。佐良土さんとは、学生時代に非常にマイナーな四大学というくくりでの定期戦でよく顔を合わせていました。

卒業(中退)以来交流はなかったのですが、およそ5年ほど経ったある日、佐良土さんがツイッターでレスしてきたのが再開のきっかけでした。

そこで『コーチKのバスケットボール勝利哲学』を翻訳したこと、また新たに翻訳を進めていること(出版が未定なのに)を伺いました。

様々な事情がありましたので当時即決した記憶はありません。しかし勝利哲学を借りて読んだ後には、是非自分の手で出版したいと考えました。

それはやはりコーチKの指導に対する考え方の部分がとても面白く、興味深かったことが理由だったと思います。そこから様々なハードルを乗り越えて、2012年の7月に出版にこぎ着けたわけです。

コーチKさんとの出会いについて教えて下さい

コーチKに関しては、アマチュアのコーチだからこそではないかと感じられる話しやエピソードが印象深く残りました。様々な育成に関わる方とお会いしていく中で、その人となりを育てるという考え方に共感を覚えました。

またアメリカ代表について言えば、私自身は結構反体制派というか、プロ野球で言うと大都市の某ナショナル級球団を地方の小さなチームが倒す!というような部分を好む方なので、特別な思い入れはありませんでした。

しかし本書を編集する中でUSA代表の様々な葛藤や闘いを知ると、今夏のロンドンオリンピックではUSAを見る目が変わりましたね。今度はスペインをはじめとする各国が、アメリカを倒そうとして切磋琢磨し合うことで、真の世界規模のスポーツになるんではないでしょうか。

バスケットや仕事を通じた『チーム』で、抜群のチームワークやリーダーシップを感じたことはありますか?

かなり曖昧な記憶ですが、高校の2年時。一つ上の代は、またその上の代が抜けた後に、到底都で上位に行けるようなチームではないと思われていたんですね。都内でトップクラスの選手がいましたが、総合力で昨年より落ちるということで。キャプテンはチームでエースではなかったんですが、求心力のある人で、引っ張られていることの安心感がみんなにあったような気がします。

とにもかくにも、最後の大会では都でベスト8に入ることができました。高校を卒業してから当時のメンバーらと飲むときには、彼じゃなければあそこまでいけなかったなんて話をよくしていましたね。期待されていないチーム。ともすればバラバラになってしまっていたかもしれません。

(interview 2012.12.07 片岡秀一/UPSET)

岩田塁(イワタ ルイ)
1984年6月4日東京都出身。『バスケ筋シリーズ』『シュート大全』『ゴールドスタンダード』などを手掛ける編集者。将来の夢の一つは、地域に根差し、かつ世界的に通用する一流選手を育成するクラブチームを創設する事。
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この記事の著者

片岡 秀一ゴールドスタンダード・ラボ特別編集員
1982年生まれ。埼玉県草加市出身。株式会社アップセット勤務の傍ら、ゴールドスタンダード・ラボの編集員として活動。クリニックのレポート、記事の執筆・企画・編集を担当する。クリニックなどの企画運営も多く手掛け、EURO Basketball Academy coaching Clinicの事務局も務める。一般社団法人 Next Big Pivot アソシエイトとして、バスケを通して世界を知る!シリーズ 第1回セルビア共和国編では、コーディネーターとして企画運営に携わりモデレーターも務めた。 J SPORTSでB.LEAGUE記事も連載中。

宮城クラブ(埼玉県クラブ連盟所属)ではチーム運営と共に競技に励んでいたが、2016年夏頃に引退。HCに就任。これまで、埼玉県国体予選優勝、関東選抜クラブ選手権準優勝、関東クラブ選手権出場、BONESCUP優勝などの戦績があるが、全国クラブ選手権での優勝を目標に、奮闘中。