いわゆるゼロステップについてのアンケート結果

先日の記事「いわゆるゼロステップ(gather step)とトラベリングについての考察」では、たくさんの方にお読み頂き、またアンケート(137名)にも多くの回答をいただきました。

今回は、本アンケートの結果を公開いたします。皆さんがさらに考え、議論を深めるきっかけになれば幸いです。またGSLとしては、本結果をしかるべき場所に上申することも検討しています。皆さんのご協力が、業界の環境整備の一助となればと考えております。

Q1.あなたの立場を教えてください(複数回答可)

あなたの立場を教えてください(複数回答可)

アンケートにお答えいただいた約7割が「コーチおよびチームスタッフ」の方です。日頃から疑問に思っていたトピックということで多くのご回答をいただきました。

Q2.ゼロステップあるいはgather stepという言葉を聞いたことがある

ゼロステップあるいはgather stepという言葉を聞いたことがある

ゼロステップおよびgather stepという言葉を聞いたことがある方の割合は約75%。ほとんどのバスケ関係者に広く知られていることがわかります。特に「コーチおよびチームスタッフ」に限って言えば、15/136と約9割の方がご存知でした。それにもかかわらず曖昧な点が多いというのが問題と感じられます。

Q3.ゼロステップに関するジャッジをしたことあるいはされたことがある

ゼロステップに関するジャッジをしたことあるいはされたことがある

ここでは、実際にゼロステップが関わる場面に遭遇したかどうかを伺いました。約7割の人がゼロステップに関するジャッジをする場面に遭遇したとあります。

Q4.ゼロステップでトラベリングをコールしたあるいはされたことがある

ゼロステップでトラベリングをコールしたあるいはされたことがある

前述の質問と若干被る部分があり、質問が悪かったと反省しています。ここでは実際にゼロステップ的な動きでトラベリングをコールされた/したか否かについてですが、ここでも7割の人がトラベリングをコールされたと答えています。どの程度の動きでコールされた/したのかはもう少し突き詰めて伺えればよかったです。

Q5.記事で該当するユーロステップの例は国内ではトラベリングに該当すると思う

記事で該当するユーロステップの例は国内ではトラベリングに該当すると思う

最後の選択問題では、下記の動画は国内でトラベリングになるかどうかについて伺いました。約6割の方が国内ではトラベリングになるだろうと答えています。こうした映像は選手も当然のように見ますから、どこかで線引きを明確にしておく必要があるように感じました。

Q6.記事で該当するユーロステップの例がリーガルである理由がわかれば教えてください。仮説でも構いません。

上記の動きがNBAではリーガルである理由について自由にご意見を記述いただきました。一部を抜粋します。

  • 保持がフェイントの足の着地前に無ければ1歩目とカウントしない。同じくカリーやハーデンがするステップバックシュートも保持の前に行っているため、一歩多く動いている様に見えるが同様に扱われていると思う
  • NBAルールとFIBAルールの相違による。NBAではウォーキングがコールされなくともFIBAルールではウォーキングがコールされる。NBAプレイヤーがオリンピック出場時、ウォーキングのコールにアジャストする必要性があると、バルセロナオリンピック時から言われている。
  • ボールミートのゼロステップが認められているのであれば、ユーロステップのゼロステップも認められるべきだと思うので。
  • ゼロステップという概念があるなら3歩まではOKということになる。ボール保持したときに足が着いていればそれは1歩と見るべきだと思う。ノーステップでキャッチしたら2歩だと教えられたが、ゼロステップが存在するならあと2歩歩けるってことになってしまうのではと思う。
  • ありません。日本(国際)のルールの場合完全にトラベリングである。
  • ルール上、ボールを保持して3歩であれば、ステップに関係なくトラベリングであると思います。
  • ゼロステップの瞬間、ボール未保持だから
  • 本来、一歩という言葉は歩きだしの動作(動きを伴う)なので、保持して次の踏み出しが一歩となるのが国語としての意味。それで言えば、動いていない保持(0歩)と足が付いている時にボールを保持したものは何も0歩。なので、二歩以上歩いていけないトラベリングの解釈からすれば何もリーガル。と考えます。
    それよりも、「保持」を再定義すべきかと。特に外国人選手はボールを片手で「掴め」ます。オーバードリブルの状態でなければ、そのままドリブルをつけるわけで、保持をしっかりと定義しなければ、一歩目の解釈も難しいですね。
    NBAの映像だと保持してますが、ボールを保持するタイミング次第なのかなと。最後のドリブル中の一歩が先なのか保持が先なのかで、1歩が先だと判断してのリーガルなのかと。ターンシュートでもおこりうると思います。
  • ハーデンの例でいくと、①のステップはドリブル中にしたものであり、ボールをもってからのステップには含まないと思います。
  • プレグラッシングウィズザボールの考え方に基づいて、ボールをキャッチもしくは保持していなければトラベリングにはならない
  • 一部怪しいが、キャッチの概念が記されていないということが一番大きなポイントだと感じます。パーミングのときもそうですが、どこからパーミングでどこから正当なドリブルか判断するのは、人によって微妙な差異があります。この微妙な差異の範囲内で技術として取り入れているものが、ユーロステップなのではないでしょうか。私は技術と捉えていますので、リーガルだと思います!
  • ボールを保持したタイミングというのをどのように定義付けるか、または解釈するかという問題もありますが…厳密に言うと、いわゆるレイアップシュートも「ボールを保持した後に2ステップ」していると言える気がします。ユーロステップとの違いは「ランニング動作の一環として2ステップしている」ことだと考えられます。対してユーロステップの場合「ランニング動作からリズムと進行方向を極端に変えて」2ステップしている。
    この時に考えなくてはいけないのは、2ステップの前の保持の瞬間を「ストップした(その場合は保持の瞬間の足が1.2になるのでそれ以上のステップはイリーガル)」と取るのか「ランニング動作の一環」として取るのかという点だと考えられます。
    この判断に関して、ではどの程度のスピードまでならオッケーで、どの程度のスピードタウンならアウトなのか。恐らくそれを明文化するのは不可能であり、ジャッジする側の裁量によるところが、現時点では大きいと思いますが、完全にイリーガルとは言えないのが現状ではないでしょうか。
  • 保持をどの時点ととらえるかの論理は理解できますが、ハーデンのステップは保持の後1から2の時に明らかに跳んでいるので、トラベリングとするべきではないかと思います。
  • ボールをミートするタイミングの微妙な差によって判定が分かれうるプレーであり、審判の正確なジャッジが困難なので、試合の進行を止めないように流している、あるいは容認しているのではないかと思います。
  • インターナショナルルールでもリーガルであると説明出来ます。ちゃんとルールブック読んでください。ドリブルの終わりに関する記述。ゼロステップなんて言葉使わなくても説明出来ますよ。
  • 記事の事例は明らかにボールを支え持っているのでダメですが、強いドリブルでボールの上半分を片手で触りながら踏み切って空中でボールを支え持って着地することがギャロップやユーロステップの技術と教えています。
  • NBAでは「gather」と「catch」の間には違いがあるのでしょうか。ボールを「集める」ためのステップなのか、「取る」ためのステップなのか・・・。それをNBAのレフリーは見極めているのかもしれませんね。私には明確な違いがわかりませんが。笑
  • ドリブルが終わる(両手で触れるか、片手で支え持つ)前に0歩目が終わっていればリーガルだと思っていますが、実際は速くてよく見えない・・・。
  • 私は日本の教員をしており、部活動を指導しています。ただ、審判資格は所有しておりません。所有という観点からすると厳密なジャッジをすればリーガルではないと考えています。ただ、個人的な感覚になりますが、ギャロップステップでボールを持ち上げる動作中にはトラベリングが取られにくいという現状があると認識しております。(ボールを所有する際に音を出す選手もおりますが、音がなく着地後にステップが同時でなかったとしてもです。)
    この件と似ており、ユーロステップ自体がリーガルであるという認識と、指導や習得の容易さからユーロステップの流行があり、現状としてコールがしにくいのではと感じております。また、指導をしているのが教員で、その教員が審判をしているのが日本の部活動の現状なので、このままの見解で行くと思います。そのため、自分が練習試合などで審判をする時にはコールしませんし、試合でコールされたら不満を感じる部分にはなります。

本回答ではNBAのみならず、国内の例や問題点なども回答頂きました。やはり各々さまざまな解釈があり、原因を明らかにし、ジャッジを統一するのが現状難しいのだろうと感じられます。

Q7.その他ご意見、考察、経験談などご自由にお書きください

最後に自由にご意見を書いていただきました。これを読んで皆さまどう思うか。またSNS上でコメントなどいただければ嬉しいです。

  • 日本では、高校、大学、プロといったカテゴリーごとに異なる笛が鳴っているように感じています。
  • 県のトップの審判の方に聞いても、ゼロステップについては、曖昧な点があった。ただ明らかにゼロステップが確認されて、それがオフェンスの得になった場合は吹くと言うことだった。
  • 国内選手(プロ、学生含む)において、ルーズなミートによってのゼロステップが近年当たり前になっている事に疑問を感じます。自分自身、バスケットを教わった際にミートのゼロステップは有効だとも教えられてきました。(今は完璧にトラベリングだと思っています)
    また最近目立つのが、ステップインの軸足がシュートの際に離れても良いし、踏み込んでも良いなんて指導を審判の方がしていました。バスケットを教わった際には離してはだめと教わりましたので、指導に携わっている際にとても混乱します日本のバスケットの根本の指導が統一されていない現状、日本人が世界で活躍するのに妨げになっているのではないでしょうか。
    問題なのは日本がルールとして統一されていない事だと感じます。海外の試合ではトラベリングに厳しいと感じています。日本のトップが何かしらの声明をだす必要があるのではないでしょうか。
  • ドリブル後のロールからのシュートも保持のタイミングで最近はセーフですし、ルールのグレーゾーンを突くことがディフェンダーを混乱させることを可能とすると思っています。
  • NBAのプレイを容易に視聴することが出来るようになった昨今、小~中学生のスキルレベルは昔と比べものにならない程上達している。がしかし、基本のミートやピボットステップなどが身についていないことが多く、ミートからのピボットステップ時にウォーキングと判断されるようなステップをしている子ども達をよく見かける。基本の動きを身に着けたうえで、ユーロステップを行えば、イリーガルだと判断されないステップを踏むことが可能なはずである。僕が一緒にプレイしている中学1年生の男の子は、スキルが大人顔負けである。しかしながら、まだ「基本・基礎」が身についていないのであろうと思われ、文中にあるNBAのようなステップやピボットをするので、公式試合ではコールばかりされるような気がしてならない。
  • レベルの高い大会や練習試合に参加させていただいた際、レフェリーへのクレームや目の前で起きる生徒のプレーに差異が生じ、一概に言えないというのが正直な感想であります。エアミートについて指導する最初の段階として,ボールタッチの瞬間になるべく早くジャンプするように、ということを念頭に置いて取り組ませます。ここから,ボールタッチの瞬間の一歩目はリーガルであると判断し、ステップスルーやギャロップ、ドライブインの各ステップへの移行を加えていきます。WADEやHARDENのステップについては,前述したものとは異なると認識しており、ボール保持とドリブルの終わりのタイミングがあまりにもズレていて間延びしているので、若年層のカテゴリーでは特にイリーガルと捉えたほうがいいと考えます。更に、ファンダメンタルの確立など、ラーニングエイジのスキル指導においては、これまでのルールの確立や変更を考えると、明確なルールを再び大きな組織の中で練り直す必要もあると思います。エアミートのみならず、ステップインを活用したショットについても同様の悩みが発生しています。※軸足の離れるタイミング。
  • トラベリングに関しては、審判によって大きく差がある。ドリブルの突き出しのトラベリングを厳しく取るなら、ミートで3.4歩歩いてもトラベリングにならないのは見ていて違和感がある
  • このステップは近年、特に増えたと感じます。30年くらい前はステップを踏み始めて方向が変わってはトラベリングとさえ、言われていた頃があったと思います。今、インターネットや衛星放送の普及で情報が簡単に入手出来るようになり、NBAなどすぐに見られることと関係していると思います。高校生などのゲームでもミートした後に着地、さらに2歩ステップを踏み光景が多く見られ、ゼロステップとはいえないものが増えているのもまた事実だと思います。これはコーチなどにも責任があると思いますが。
  • 今はYouTubeやSNSでNBAプレイヤーのプレーを見ることができ、さらにワークアウトの様子まで見ることができます。そういったものを利用して練習できる今の子供達は凄く恵まれていて、羨ましくも思います。けど、NBAプレイヤーの影響を受け、マネをし、一生懸命に練習しても、NBAルールと国際ルールが違うために、実際の試合では『トラベリング』とジャッジされるとなると、可哀想だと思います。NBAルールと国際ルールのすり合わせを1日も早くすべきだと思います。現時点では、それはなかなか難しいとも思いますので、指導者がNBAルールと国際ルールの違いをしっかり認識して、指導していかなければいけないと思います。
  • 同様に気になっているのは、シュートではなくてパスキャッチ(ミート)でのゼロステップです。古い感覚なのかもしれませんが、やはり昔は笛が鳴っていたケースだと思います。最近はOKにしていると思いますが、見ていて違和感を覚えます。パワーストップは、そのあとドリブルはダメ(軸足が既に離れている)だった筈です。ゼロステップがパワーストップとどう違うというのか?しかもその止まり方がストライドステップになってもOKと言うのなら、最早パワーストップを覚える必要ななくなります。パワーストップは、もう死語なのでしょうか?
  • 結局のところ、ゼロステップの瞬間の審判の判断に委ねられる・・・としか言えない気がします。FIBAルールで明記されてない以上、吹かれても文句は言えないかと
  • 国際ルールで、明確にする以外はこの状況は変わらないと思われます。
  • あくまで個人的な意見になりますがNBAはショー的要素が強く、オフェンスに良い意味で有利、悪い意味でルーズなジャッジになりがちだと思います。仮に日本の中学生レベルでNBAをジャッジしたらトラベリングの嵐になります笑
    そんな試合は見てても楽しくないですよね?つまりファンあってのプロスポーツとゆう考えがあるからこそ、ゼロステップ等の独特な動き・解釈に発展していったんだと思います。
  • NBAなどでは、盛り上がりを優先してトラベリングがルーズなのではないか。90年代前半はトラベリングのコールが今よりもっと厳しかったはず。NBAは最高峰ではあるが、それがすべて正しいかどうかは、検討する余地があるのではないでしょうか。
  • ルールが変わればそれに対するファンダメンタルズも変わっていかなければならない。ルールと共に研究し進化していくのが望ましい。研究しなくなったらそこで進化が止まってしまうと思うので、コーチである以上は研究し、進化し続けたいと思う。
  • 正直分かりにくい。伝える為のDVDを出して欲しい。
  • あくまでもNBA。国際ルールに早急な明文化が必要であり個人的には何でもありになり面白くないです。企業でもスポーツでも学校でも人間社会においては黒は黒、白は白、グレーは倫理的に黒だと考えるのが大切だと思います。昨今の企業や団体の事件、例えば消費者金融のグレーゾーン金利…その先に何が起こるのか…
  • ミニバスの指導をしています。当地区、当県大会ではゼロステップは殆ど見かけません。ミニバスだからかは分かりませんが各指導者が正しく指導してるからだと思います。ただその子供達が中学生になったらどうなるかは分かりません。
  • トラベリングかどうかの判断するとき、あくまでも2歩歩いてよいのであって、三段跳びのステップのように跳んではダメではないでしょうか?
  • 審判にとっては拷問のような技です。子供たちには強いドリブルの大切さを実感してもらえるので良い練習になります。コーディネーショントレーニングにもなるので積極的に挑戦させています。
  • ゼロステップによるステップバックやポップムーブによってスコアリングの幅が広がり1on1からのミドルショットなどが増えるのはそれはそれで面白いのではないでしょうか
  • 是非日本のトップレフリーの意見を聞きたい!!
  • そのような教員が指導した選手がプレーし、観客として試合を見ています。そのような状況では多勢に流されるのが現状であると思います。また、顧問同士という人付き合いの関係性の中で審判をする場合もあるので、微妙なものはコールしにくいとは思ってはおります。
  • 可否は置いておき正確にルールとして明らかにするべき。放置されているがために昨今の状況が生じている。

一様に非常に混乱・戸惑っているという印象がありますね。なんとか解決策を見出せればよいのですが。


もしほかに取り上げてほしい、アンケートをとってほしいトピックなどがありましたら、FacebookやTwitterなどのSNSにコメントしてください。

この記事の著者

Gold Standard Lab
Gold Standard Lab
「スポーツコーチングを普及啓蒙し、日本国内におけるコーチングの『ゴールドスタンダード』を構築する」ことが使命。選手や指導者の方に役立つ情報を発信します。