「世界で最もビジョナリーなコーチチーム」へ。株式会社ERUTLUCのイヤーエンドパーティーレポート

バスケットボールの家庭教師が目指す「世界で最もビジョナリーなコーチチーム」の作り方とは

3/18(土)『バスケットボールの家庭教師』で知られる株式会社ERUTLUCのイヤーエンドパーティーがシネマイクスピアリ(千葉県浦安市舞浜)で開催された。本イベントは、ERUTLUC指導員の年間功労賞発表と、卒業する指導員の送り出し、そして鈴木良和代表によるスピーチという構成。参加者には、同指導員、現在はプロバスケットボールチームなどで活躍する指導員の卒業生、指導を受けている選手の保護者、来賓が集まった。また、参加を希望する一般参加者にも広く開放する形式を採用することで、より開かれた会となった。

エルトラックの3つの理念

同社は「より多くの子ども達になりうる最高の自分を目指す環境を提供する」「チームスポーツだからこそできることで教育に貢献する」「世界で最もビジョナリーなコーチチームを作る」をミッションとして掲げている。また、同代表の著書『バスケットボールの教科書<1>~<4>』でも「理念を体現するには、それに相応しい仕組み(評価のシステム、環境創りなど)」という記載の通り、様々な部分で理念を体現する仕組み、環境創りを感じれる催しとなった。

年間功労者発表。”Thank you for your contribution to the mission of our company”

年間功労者発表では、同社が重要視する各項目ごとに優れた活動をした指導員を表彰。また、指導理念に掲げるジョン・ウッデンの成功のピラミッドをなぞり、各項目を階層構造のピラミッドとしたことも特徴だ。礎となる最下段には、情熱、スタッツ、指導実績、スキルペーパー、スタディの項目。それに続き、喜びの声、TED(プレゼンテーション能力)、ドリル、アイディア、3段目にはユーモア、魅力、育成部門が並び、4段目にはMET(Most Educational Tutor)とMIT(Most Improved Tutor)と続く。

ジョン・ウッデンの成功のピラミッドに照らすと、平常心と自信という項目に該当し、また冒頭にあげた理念の「世界で最もビジョナリーなコーチチームを作る」「チームスポーツだからこそできることで教育に貢献する」に対応する。そして、Competitive Greatnessの項目では、MVT(Most Valuable Tutor)として、2016年度、総合的に素晴らしい活動をした指導員が表彰された。

これは、「より多くの子ども達になりうる最高の自分を目指す環境を提供する」に対応する。ここでも、理念の体現と、評価・表彰の仕組みなどで工夫されている。

先ほど、「理念を体現する仕組み・環境」と書いたが、本表彰のイベントロゴには”Thank you for your contribution to the mission of our company”というスローガンがメッセージとして添えられていることからも、性質としては、表彰やコンテストで指導員同士を競争心を煽るというよりかは、優れた指導をした指導員に対してERUTLUCから謝辞を伝えるという意味合いが強いように感じた。

卒業コーチの部。理念を体現しながら規模を拡大する『規律の文化』。指導員の育成制度

卒業コーチの部では、今年度でERUTLUCの活動を終え、次のステージ(小学校の教員、地元に戻っての他の活動など)で活動を離れる指導員が謝辞を述べた。ERUTLUCでは、バスケットボールの指導(出張指導、地域の保護者主催の定期練習会)などを事業としているが、「ちょっと、バスケットボールを教えてお金を貰おう」という軽いノリでは指導員としての活動ができない。情熱や勤勉さを試す仕組みがあり、それを通過し、その後も研究制度などをやり遂げた人物が指導員として活動できる。

先輩指導員が後輩の指導員を指導するバディ制度と呼ばれる仕組みも存在するが、1人の上級指導員が担当する人員も決まっている。これは、「規律の文化」(ビジョナリーカンパニーより)から、塾考の上に定まった制度であるようだ。ここでは、先輩指導員との非常に心温まるやり取りが見られた。目の前の利益に追われず、面倒で、手間もかかる事であるが、理念を体現する事に時間と人員を投資しているからこその場面であった。

鈴木代表のスピーチ。中核の指導員による書籍、定期指導者勉強会もスタート。「世界で最もビジョナリーなコーチチームを作る」への歩み

代表の鈴木良和氏のスピーチでは、指導員や、外部の関係者への謝辞に始まり、2016年度の振り返りが、様々な指標と共に時系列で語られた。今年度の特徴としては、事業の柱である指導の緩やかな成長と並行し、中核をなす指導員による出版・監修本の発刊や、指導者を対象とした定期勉強会の活動が特筆事項として挙げられた。

鈴木代表の活動としては、『バスケットボールの教科書<1>~<4>』の発刊や、日本バスケットボール協会のナショナルジュニア育成キャンプ(U-12~U14などの育成世代のキャンプ)の指導を担当したことにも触れた。バスケットボールの指導を事業とする会社を経営する代表者が、日本バスケットボール協会の中で役職を得ることに対して、その関わり方などを気にされている人もいるかもしれない。鈴木代表は、「日本バスケットボール協会の発展に貢献することは、未来の子どもたちへの貢献につながる」という信念のもと、様々な活動に精力的に取り組んでいるとのこと。すべては理念の体現につながるアクションの延長線上ということだ。

ライバルはディズニーランド

本イベントがディズニーランドのお膝元であるシネマイクスピアリで開催されているのも、工夫の1つ。バスケットボールの指導を事業とするERUTLUCでは、事業のライバルをディズニーランドとしている。それは、各家計で、食費や、光熱費、住居費などを差し引いた、生存に必要な必要経費以外の予算の中で、余暇活動にお金を使うか、子どものスポーツ教育に割り当てるかなどを判断されるものという。その中で、世界最大級のテーマパークであり、エンターテイメントを作り出すディズニーランド以上に価値のある指導を提供することで、社会に貢献していこうという壮大な構想でもあるようだ。

具体的には、年間の来場者数と、ERUTLUCの指導を受けた年間の人数などの比較などが提示され、その為に必要な指導員の人員、指導回数、地域の保護者主催の定期練習会の開催数なども同様に提示。また、ここが何よりも重要なことであるが、悪戯に指導実績を伸ばしたとしても理念の体現にはならない。「規律の文化」にならって、ERUTLUCの定める成長プロセスが明示された上で、今後のビジョンが発表された。

来賓からの言葉

「できない子を教えることができる。そして、ここ近年は指導者の悩みにも応えられるようになった。皆さんの成長を感じています」

最後に、来賓の挨拶の際に語られたエピソードなどを紹介したい。会社経営を支える「士業」の方々や、活動の初期を知る方々が集まる方々が中心だ。

「担当をしている会社の中で、一番、イキイキと社員の方が働いている」

「できない子のを教える事が出来るのがERUTLUCの指導員の特徴。最近は、特に、その領域での指導員の方の成長が著しい。また、最近は指導者の方の悩みに対応できるようにもなった」

「分析や不定期指導で対応をお願いした東北地方の大学について、若い指導員の方が非常に素晴らしい情熱で対応をしてくれた。この情熱に対して、元々の対価(必要経費などで産出された金額)では足りないと思った。それぐらいの情熱で対応をしてくれた」


GSLで本レポートを書いたのは、鈴木代表、水野慎士指導員をはじめ、岩井、池田親平、佐藤雅幸氏ら各指導員の方に記事寄稿などでご協力を頂いた経緯があるため。

また、同社の「海外事業プロジェクト」では、2006年世界選手権優勝のスペイン代表HCペップ・エルナンデス氏のインタビューや、「勝利か育成か」の力強いコラムが印象的なDave taylor氏の勉強会レポートなど、非常に面白い内容も多い。ぜひ、未読の方は、是非、ご一読を。

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MVT:水野慎士

MET:加賀屋圭子

MIT:内藤慈

情熱:内藤慈
プレゼンテーション賞:中田和秀
ユーモア:山村亮介
グッドアイデア:関谷悠介
喜びの声:大浦宗博
育成:中田和秀
魅力:大浦宗博

※MVT(Most Valuable Tutor)には、GSL編集部でもインタビュー記事がある水野慎士指導員が受賞した。

<参考>

海外事業プロジェクト 各スペシャルページ

レポート全体
http://www.basketballtutor.com/overseas-project/

ペップ・エルナンデス氏について
・2006年世界選手権でスペイン代表を初の金メダルに導く
ペップ・エルナンデス氏の考えるコーチングについて

Dave Taylor氏
デイブ氏が伝説の指導者ジョン・ウッデン氏から学んだこと

ジョン・ポール・ターナー氏

※本写真で投稿している写真は鈴木代表スピーチ中の写真ですが、””Thank you for your contribution to the mission of our company”の言葉通り、各指導員の方が前に出て表彰されていたり、指導員の方による議事進行なども多数ありました。撮影写真の都合、本写真を利用しています。

この記事の著者

片岡 秀一
片岡 秀一ゴールドスタンダード・ラボ特別編集員
1982年生まれ。埼玉県草加市出身。株式会社アップセット勤務の傍ら、ゴールドスタンダード・ラボの編集員として活動。クリニックのレポート、記事の執筆・企画・編集を担当する。クリニックなどの企画運営も多く手掛け、EURO Basketball Academy coaching Clinicの事務局も務める。一般社団法人 Next Big Pivot アソシエイトとして、バスケを通して世界を知る!シリーズ 第1回セルビア共和国編では、コーディネーターとして企画運営に携わりモデレーターも務めた。 J SPORTSでB.LEAGUE記事も連載中。

宮城クラブ(埼玉県クラブ連盟所属)ではチーム運営と共に競技に励んでいたが、2016年夏頃に引退。HCに就任。これまで、埼玉県国体予選優勝、関東選抜クラブ選手権準優勝、関東クラブ選手権出場、BONESCUP優勝などの戦績があるが、全国クラブ選手権での優勝を目標に、奮闘中。

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