【一般寄稿】アメリカ武者修行のススメ・少年少女編 byコーチP

【一般寄稿】アメリカ武者修行のススメ・少年少女編 byコーチP

今回の内容は今までと嗜好を変えてみる(また文体も「である調、だ調」に変える)。

今までの寄稿を読んでいただいた方は察して下さっていると思うが、私は生粋のカレッジバスケフリークであるのだが、日本からNCAAカレッジバスケットに触れる機会がこのシーズンオフにあると言うことをご存知だろうか?

チーム練習がない期間でも、コーチたちは仕事をしている。最大の活動はリクルートだ。シーズンオフには先に寄稿したAAUの大会などもあり、主に高校2年生を対象に来年夏入学させる選手のスカウトに全米中を走りまわっている。

そしてもう一つの大きな活動として、プレイヤー対象のキャンプの開催がある。プレイヤーと言っても、年齢としては8歳頃から17歳までの主として一般プレイヤーが対象であり、日本からカレッジバスケットに触れる機会として、私がお勧めしたいのがこのカレッジ主催のバスケットボールキャンプなのだ(主として一般、と書いたが、いわゆるエリートキャンプというものもある。それに関しても今後機会があれば触れたい)。

今回はそのキャンプの話だ。

そもそも米国の夏休み期間である6月から8月中旬頃の期間は、全米中で各スポーツやボーイスカウト、文化活動等のキャンプが文字通りそこらじゅうで開催されている状況がある。つまりそういった文化が普通にある社会なのだが、バスケットボールについても例外ではない。いやむしろ、もともと夏がオフシーズンなこととや室内競技であることなどから、他のスポーツに比べてかなり多い方だろう。また各カレッジばかりでなく、高校でも元モントロスのコーチベターなどの有名コーチ、あるいはNBAを引退した選手、場合によっては現役選手などが主催するキャンプなどもあり、つまりは米国の少年少女は、本人が望めば(もちろんある程度の費用の問題はあるが)、いくらでもそういった有名コーチのキャンプに参加して指導を受けられる環境があるということだ。

そのキャンプに日本から参加してみないか、というのが今回の私の提案になる。

といっても、日本から海を越えて参加するのは大変なことなのではないか、と考える方が多いだろう。確かに昔は情報が少なくて本当に大変だった(らしい)。しかし現在では遥かに気軽に参加出来るようになった。理由はネットですぐに情報を得られること、および、日本の仲介業者なども多く見られるようになったことで、ハードルが数段下がったどころか、過去に苦労して参加した人に言わせれば、障壁はほとんどなくなったも同然と言ってよいくらいだそうだ。

ただ、これらキャンプ仲介業者のサイト等を見てみると、その費用はかなり高いというのが率直な感想で、それがネックと言えばネックである。そしてそれならば業者に頼らず、自分で申し込んで自力参加をしてみては?というのが自分の考えでもある。業者批判になってもいけないのであまり具体的な記述は出来ないが、一人の子どもを業者に預ける費用と、自力で保護者と二人で渡航して参加する費用を比べた場合、後者の方が安くすむケースがほとんどである。

自力で参加するのは不安かもしれないが、少なくとも保護者同行なら二人で米国旅行するのとほとんど変わらないし、短期留学経験などのある高校生なら一人でも問題ないほどだ。申し込みに関しても、サイトの英文を辞書を見ながら訳する力が最低限必要だが、それはそれほど難しいことではない。普通の海外旅行をするなら現地でバスケもした方がいい!というくらいの感覚で全く大丈夫だ。

大丈夫、と断言してしまったが、これは自分自身が3年前に知り合いの高校生を個人的に引率して思ったことで、少なくとも彼女の参加したUMD女子、場所はワシントン郊外のカレッジパークでのキャンプなら治安等も全くと言っていいほど問題がない。

しかもありがたいことに、(UMD女子キャンプの宣伝になってしまう感があるが)今年もオーバーナイトキャンプの時期は日本の夏休み中だ。一般的に多くのカレッジは6月から7月中旬までのことが多いが、他にも遅い時期つまり日本の夏休み期間中にキャンプを開催しているカレッジはあるので、是非、各カレッジを自力参加するプレイヤーが増えることを期待している。

続いてもう少し具体的内容に関する注意点を書いて終わりとしたいが、それはカレッジキャンプに参加するのならば、他のキャンプと比較したメリット・利点をはっきりしておいた方がいいということである。逆にカレッジキャンプの欠点を挙げれば、個人技術向上を主目的にするのであればカレッジキャンプは選ばない方がいいということが言える。もちろん数日間バスケット漬けになるので、それなりの技術向上は期待できるのだが、わざわざ日本から行くのであれば別に技術向上を主目的とした内容のキャンプがあるので、そちらがよりふさわしいと自分は思っている。

では、カレッジキャンプの目的として何を定めるのが良いのか? ひとつはこの項の最初に書いたとおり、NCAAに触れるのが目的である。カレッジキャンプはもちろん各カレッジのアリーナを使用して開催されるが、D1の施設の物凄さを是非体験してほしい。またヘッドコーチやOBとして参加するゲスト、多くの場合はNBA(またはWNBA)選手のスピーチを受けることも貴重な経験になるだろう(ただし実際のキャンプ指導にはヘッドコーチはかかわらないことが多い)。加えて、あるカレッジのキャンプ募集サイトにある語句を引用するが、それは”MAKE FRIENDS! HAVE FUN! GET FIT!” という言葉になる。要するに、目的はまず友達を作ること! 楽しむこと! そのうえで身体を動かしてバスケットをプレイする自体が目的となるである。

実際、地元で自分の子どもをキャンプに参加させている家庭はそういう認識、つまり家庭を離れて宿泊させることを第一の目的にしていると思う。もちろんバスケットを習いに行くのだが、それよりも他人と一緒の部屋に寝て親交を深めることの方が良き経験となるという考えだ。ましてや日本から参加する場合は、異文化体験としても貴重な経験になるだろう。それこそ日本から保護者が引率して参加する場合には、これらのキャンプに子どもを放り込んで、親はその期間勝手に観光するのがいいくらいに思っている。

※キャンプ参加に興味のある方は、具体的にネットを活用して調べてみてください。思いの外簡単に実現できることも判明するはずです。またカレッジキャンプについて質問があればお答えすることは出来ますし、(ダメ元で一応書いておきますが)当方の渡航費を出していただければ引率することも出来る場合があります。ちなみに過去に高校生女子の引率経験ありで、その時のカレッジはメリーランド大学(UMD)です。

編注:いくつかキャンプの模様の動画があったので掲載します。まさにメリーランド大学のものもありました。練習自体は写っていませんが、雰囲気は伝わりそうです。

コーチP(ピンクのおじさん)
公立学校教員につき、ペンネームにて寄稿。公開できる肩書きとしては、2015年2月をもって50歳、コーチ歴30年、関東一部リーグ校バスケットボール部出身、JBA公認B級コーチ、県高体連強化委員長等歴任。三大ライフワーク、バスケットボール・猫・ももいろクローバーZ。「ピンク」のペンネームはそちらからです。教員生活も残り10年、ここらでコーチとして最後の一勝負をしたいと考えています。投稿を読んで、興味のあるチーム(私立高校等)関係者がいらっしゃれば、是非連絡をお願いします。

※ご連絡希望の方は当サイトのお問い合わせよりご連絡ください。

   

この記事の著者

Gold Standard Lab
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「スポーツコーチングを普及啓蒙し、日本国内におけるコーチングの『ゴールドスタンダード』を構築する」ことが使命。選手や指導者の方に役立つ情報を発信します。