真に効果的な練習をするための8つのヒント

11-20-15 Varsity Girls Basketball Practice By Chanse McAllister

突然ですが、ご存知の通り日本のバスケットボール界にはオフシーズンはほとんどありません。恐らく1年の300日以上を練習に費やすチームというのは決して珍しくないでしょう。そのような中で、常に高い意識を持ちながら練習を行なうというのは簡単ではありません。そしてまた、バスケットボールは一度の試合に出られる数はわずか5人。ただでさえ公式戦の数も少ないわけですから、試合に出られない選手もたくさんいます。

「試合に出て活躍すること」。これが選手にとって最大の目的であり、練習することの意味であることは間違いありません。しかし当ラボをご覧いただいたことのある方には、この言葉を思い出してほしいと思います。

あなたの子どもがプロになる可能性はほとんどない。これは事実であり、統計として大学でプレイできる子どももほんのわずかしか存在しない。だから彼らに楽しい旅路を過ごしてもらおう。あなたが思うよりも早く、彼らがプレイできる日々は終わるのだ。彼らの成長にとって必要な人生の教訓を教えるために、バスケットボールを活用してほしい。
バスケキッズの親に守ってほしい16のルールより

これは海外の記事の引用ですが、日本においても同じことが言えると思います。だからこそ、試合のための練習をすることはもちろんのこと、その中でも「練習すること自体の意味」を持って取り組む必要があるのだと考えます。

というわけで今回は、試合のための「効果的な」練習をするための、そして惰性ではなくやらされるのでもない真の練習の意味を知るヒントをご紹介しようと思います。これはコーチが選手のために実践しなければならないことであると同時に、選手自身も意識して行なうべき内容だと考えています。

1.「異常」な状況を作り出す

サッカーの世界では昨今「戦術的ピリオタイゼーション理論」というものが注目を集めています。この理論の詳細は割愛しますが(気になる方は調べてみてください)、この中の根本として謳われているのが「サッカーはカオスであり、かつフラクタルである」という言葉です。特に「カオス」という言葉の裏には、簡単に言うと「全く同じ現象は二度と起きない」「予測不可能である」ということです。バスケットボールにおいても同様で、練習で想定したことが100%実際に起こるかといえばそうではありません。だからこそ「常ならぬ」状況を生み出して、カオスである試合での対応力を養うことが重要なのではないかと考えます。

我々は異常を正常にするんだ。試合を簡単にするためにね。古い言葉を知っているはずだ。練習は地獄、試合は天国

試合を簡単なものにするために、私は練習をハードにしたいんだ。混沌とした混乱状態を生み出したいんだ

2.「失敗」をさせる

これはみなさんも理解しているかもしれません。「失敗は成功の母」です。失敗をするということは、自分ができることの外側へ出るということです。失敗をしないということは、例えば出来る範囲のプレーしかしなかったり、コントロールできる範囲のスピードでしかプレーしていないのかもしれません。失敗を極端に怖がる選手もいますし、失敗を許さないコーチもいます。コンフォートゾーンの外に出なければそれ以上の上達はありません。失敗を褒め、許容することでより高いスキルを身につけることができるのだと思います。

我々は完璧さを求めているわけではなく、上達しようとしているんだ。君の体は成功よりも失敗からたくさんのことを学ぶ

君たちは努力しなければならない。情熱的でなければならない。弱点を克服しなければならない

ミスをすることを心配する必要はない。ミスした後の自分の態度や姿勢を気にするべきだ。大事なのはどうやってそこから立ち直るかだ

3.「情熱」を伝える

例えば地味で退屈だけど、とても大切な練習をするとき。選手の疲労が溜まっているとき。明らかに効率が落ちると思われるときでも、選手を前向きにさせるのはコーチの役目です。学校の先生でもある方なら、毎日練習を見れないこともあるかもしれませんが、それでもコーチの情熱は選手に伝染するのです。

選手をダメにするのは 疲労と退屈さの二つだ。選手たちを疲れさせても 退屈させてもダメだ。情熱が彼らをチャンピオンに育てるからだ

真の情熱とは誰もいない体育館だ。君、ゴール、そしてボールだ。君、君のチーム、そしてこの素晴らしいバスケットボールと言うスポーツだ

まやかしでもなく派手でもない、真の情熱的な指導スタイルを確立すべきだ。もし選手がコーチのあなたが見ているものを見ることができなかったら、あなたは有能なコーチとは言えないだろう

4.試合の「準備」をさせる

当然のことといえば当然です。しかし大会があまりにも少なく、1年の8割以上を練習に費やす日本においては、意外と難しいことでもあります。結局「練習のための練習」に終始してしまえば、実際の試合では何をしたら良いのか分からず、プレッシャーに耐え切れないかもしれません。常に試合を想定すること。こうした単純の意識の違いで、試合のための準備が整うはずです。

私が今日行なうことは明日の私に影響を与える。チャンスがきたときには、もう努力する時間はないのだから

毎日練習するってことは自信を固めることだ。鏡に映る自分が好きなはずだ。緊張するわけがない

5.「上達」することを重視する

先にも述べたように、誰もが試合で活躍できるわけではありません。その中で練習のモチベーションを維持するには、選手が自分自身に対する競争者となるべきです。対戦相手やチームのライバル以上に、自分自身がどれだけ成長できたのか? できないことがどれだけできるようになったのかを評価してあげてほしいと思います。

君たちは努力しなければならない 情熱的でなければならない。弱点を克服しなければならない

君たちは本当にたくさんの試合をしすぎて成功や勝利の本当の価値を見失っている。君たちの練習は試合より大事なんだ。もっと上達することに価値を見出すべきだ

もっともっと練習して上手くなるんだ。それは毎日 君が持つ選択肢の一つだ

6.選手に「責任」を負わせる

練習をして、実際に試合をするのは選手です。従って、どのような練習でもプレーの成否や約束を守ることに対する責任は選手が負わなければなりません。声を出す。手を出してボールを呼ぶなど、どんな小さいことからでも構いません。選手がやらなければならないことをしっかりと伝え、彼らに守らせるようにしましょう。これにより選手は、やらされているのではなく、より当事者意識を高く持つことができるでしょう。

ガーネットはこう言ったんだ。「今までどのレベルでも、コーチは俺が聞きたいことじゃなく、俺が聞かなきゃいけないことを言ってくれた。もっと上手くやれと言って責任を負わしてくれ」

選手が上手くなれる唯一の方法は、練習中の一分一秒 ドリルの一回一回 全てにおいて責任を負わすことだ

選手たちに責任を負わすことを恐れてはいけない。ケビン・ガーネットのように偉大な選手ですら指導を欲しているんだから。コーチングは批判ではなく天の恵みだ

7.「忍耐強く」あれ

全ては学生を対象とした内容です。これが最も重要で、最も「徹底できていない」部分かもしれません。自分にできることができないことで、簡単に諦めたり、見限ったりしないでほしいと思います。それはまた自分自身に対しても同様です。あなたが教えているのはプロのチームではありません。あなたのチームに所属しているわずかな時間の中だけでなく、彼らのバスケットボール人生全体においての成長を、辛抱強く見守ってほしいと思います。

ドリルに飽きてしまうことも時にはあるだろう。だから努力って呼ばれているんだ。もし努力が簡単なものなら全員がすばらしい選手になれるだろう

あなたは一人の人間として、選手として常に正しいわけではない。失敗することもある。失敗から学ぶことが大事だ。辛抱強く投げ出さないこと

8.人生の「土台」を作る

これが学校を舞台にした部活で最も重要な事ではないかと思います。最初の引用の通り、バスケットボールを通して人生を生き抜くための土台を作って欲しいのです。努力すること。責任を負うこと。失敗を恐れずチャレンジすること。どうですか? あなた自身が社会に出てから必要だと痛感したことばかりではないでしょうか? 練習に取り組む姿勢というのは、自分自身の人生を強い心で切り拓くために考えなければならないことなのだと感じます。

バスケットボール、科学を教えること、ロッククライミングを教えること。これら全ては土台なんだ。我々大人が子供に自分が何者で、何者になれるのかというのを示すためのね

我々は毎日想いを届けないといけない。難しいのは分かっている。でも本当にバスケットボールを愛していて若者の人生の成功への土台だとわかっていたら、その方法を見つけることができるはずだ


最後に、それぞれの項目で紹介している言葉は、ある「1人の」人物から引用しています。それはアメリカでも有数のスキルコーチ(バスケットボールの技術を専門に教えるコーチ)であるギャノン・ベイカーです。私が彼を知ったのは今から数年前。確かyoutubeで見たのが最初だったと思います。初めは彼の超人的なスキルに目を奪われ、数年後には彼のDVDの日本語版を日本で初めて販売しました。

   

彼が映像の中で言っていた言葉は、もちろん最初は分かりませんでした。しかし邦訳を読んだときから、私はギャノンの大ファンになってしまったのです。ギャノンはコービーやKDなどとクリニックをしたり、アマレ・スタウダマイヤーやジェームス・ハーデンなどを指導した実績もあるコーチで、スキルの指導にはもちろん定評があります。しかし私が彼に心酔している理由は本記事でも取り上げたような精神性でした。プロ選手になれるわけでもないバスケットボールに、それだけ打ち込むことの理由は何か? それをはっきりと、そして初めて教えてくれたのが彼だったのです。

そしていよいよ今年、ギャノン・ベイカーが日本にやってきます。上に述べたように、彼の練習方法は誰にとっても大きく役立つものだと思います。しかしそれ以上に、彼が心の奥底から吐き出す情熱的な言葉の数々が、きっと皆さんの心を打つことでしょう。見に行くクリニックではなく「感じる」クリニック。そして私は直接聞いたので彼の講師料を知っていますが、はっきり言ってこの金額は破格です。金額や日程、そして申し込み方法等の詳細は下記リンクに掲載してあります。GWはもう始まっていますが、是非検討してみてはいかがでしょうか?

 ・ギャノン・ベイカー氏来日特別クリニックheader

最後に好きな言葉を…

あなたはベストじゃないかもしれない。勝者は一人しかいない。失望するときもある。でも真剣にベストを尽くせたならそれは幸せだと思う

この記事の著者

Pure Sweat Basketball
Pure Sweat Basketball
あらゆるレベルの選手やコーチに、バスケットボールのトレーニングに関するさまざまな製品やサービスを提供している。CEOのDrew Hanlenは、ブラッドリー・ビール(WAS)、アンドリュー・ウィギンス(MIN)、ドワイト・ハワード(ATL)、ジョーダン・クラークソン(LAL)、ザック・ラヴィン(MIN)など、多くのNBA選手をクライアントに持つ。現在は、DeMatha Catholic High SchoolやMontrose Christianを始めとした強豪高校や、ナイキとの仕事を含む多くのパフォーマンスコーチの経歴を持つ、元Stronger TeamのAlan Steinがパフォーマンスディレクターを務めている。
puresweatbasketball.com