ピック&ロール(Pick and Roll)完全ガイド Vol.1
まずはこの言葉から始めましょう。
ピックアンドロール(以下PnR)は、バスケットボールで最も効果的なアクションだ。これは育成年代でもNBAでも同様に真実である
しかし、1つ問題があります……
多くのコーチは、選手にPnRを教えるときに、重要な細部を見逃しています。
このシンプルな細部の欠如により、あなたのチームは試合で多くの得点機会を逃してしまう可能性があります。
PnRの正しい方法を理解し、いくつかのミスを修正すれば、あなたのチームのPnRははるかに効果的になり、得点機会は改善されます。
この記事では、PnRとは何かを説明し、チームがワイドオープンショットやレイアップを撃つための、7つのステップを説明します。
目次
- PnRとは何か?
- 完璧なPnRのやり方
- 1. ボールマンがディフェンダーとの間合いをつくる:Dribbler Creates Separation
- 2. スクリナーがディフェンダーとの間合いをつくる:Screener Creates Separation
- 3.正しいスクリーンの角度:Correct Screening Angle
- 4.スクリナーが接触をつくる:Screener Makes Contact
- 5.ドリブルアタック:Dribbler Attacks Off the Screen
- 6.スクリナーはゴールに向かってロールする:Screener Rolls to the Rim
- 7.ボールマンが正しい判断をする:Dribbler Makes Best Decision
PnRとは何か?
PnRの動きを分解し、どのように作用するかについての基本を確立してから、さらに詳しく説明しましょう。
PnR(「スクリーンアンドロール」「オンボールスクリーン」、または「ボールスクリーン」とも呼ばれる)は、ボールマンと、ボールマンにスクリーンをセットするチームメイトから成ります。
- ボールを持たないプレイヤーがボールマンにスクリーンをセットする
- ボールマンはディフェンダーの動きを読み、ドリブルを仕掛けて、アタックするか自身またはチームメイトのシュートチャンスを伺う
- スクリナーはゴール方向にロールして、ボールを受けてシュートの機会を伺う
とてもシンプルです。
完璧なPnRのやり方
シンプルかつ簡単なやり方を覚え、次のレベルを学べる段階に来たら、私は簡単に理解できるための7つのステップに分解して教えています。
最初の4つのステップは、PnRの最も重要な局面である、スクリーンに対する準備にフォーカスしています。もしこの準備が適切に行われなければ、PnRが成功する可能性はとても小さくなります。
次の4つのステップは、PnRを実行する局面にフォーカスします。これはオフェンスがディフェンスの動きを読むことと、スクリーンの守られ方に応じた正しい意思決定を求められます。
それでは、これらのステップの詳細を見ていきましょう。
1. ボールマンがディフェンダーとの間合いをつくる:Dribbler Creates Separation
効果的なPnRのための最初のステップは、ボールマンが自身のディフェンダーとの間に間合いをつくることです。
これにより、ボールマンのディフェンダーを効果的にスクリーンにかけることができます。
ボールマンのディフェンダーの距離が近ければ、スクリーンを抜けるのが容易になってしまいます。
ドリブルをしなくとも、スイープやジャブステップによって、間合いを作ることができます。
すでにドリブルをしている場合は、クイックジャブやクロスオーバー、インサイドアウトにより、ドライブに対応しようとしてディフェンダーは後ろに下がり、十分な間合いを作ることができます。
2. スクリナーがディフェンダーとの間合いをつくる:Screener Creates Separation
効果的なPnRのための次のステップは、スクリナーがオンボールスクリーンをセットする前に、自身のディフェンダーと可能な限り広い間合いをつくることです。
スクリーンの前に間合いを作ることで、スクリナーのディフェンダーがボールマンにヘルプに出る機会を減らすことができます。
優れたヘルプがなければ、ボールマンはオープンショットを打てたり、自身にクローズアウトしてくるディフェンダーに対してアタックを仕掛けることができます。
それでは、どのようにスクリナーのディフェンダーに対して間合いを作ればよいのでしょうか。
1.事前にスクリーンをセットすることを伝えない:Don’t Telegraph the Screen
事前にスクリーンをかけることを知らせてしまえば、相手は適切なディフェンスポジションに素早く入ることができ、ほかのディフェンダーともコミュニケーションができてしまいます。
また、コーチが同じようなスクリーンプレイを何度も繰り返し行わせないことも重要です。
これは、同じスクリーンプレイを試合で継続して使うことをおすすめしない理由の1つでもあります。
2.走ってスクリーンに行く:Sprint to Screen
スクリーンをかけるときには、ディフェンダーよりも1、2歩早くスクリーンをかけるポジションに着かなければなりません。
実際賢いプレイヤーは、スクリーンをかける前に、(オフェンスファウルをせずに)相手ディフェンダーのバランスを崩すことができます。
まれにジョギングするようにスクリーンをかけるプレイヤーがいますが、これはディフェンダーが素早くヘルプポジションに入ることを許してしまいます。
3. 「ラムスクリーン」を使う:Use a ‘Ram Screen’
「ラムスクリーン」は、3人目のオフェンスがスクリナーにスクリーンをセットする、バスケットボールの素晴らしいアクションです(スクリナーズスクリーン)。
スクリナーのディフェンダーをスクリーンにかけることができれば、彼らが正しいヘルプポジションに到着するのをさらに遅らせることができます。
これにより、ボールマンは勢いよくゴールにアタックすることができ、スクリナーのディフェンダーは、勢いがついたボールマンを止めなければならなくなります。
あなたのオフェンスにこれを組み込むことができれば、非常に効果的です。
3.正しいスクリーンの角度:Correct Screening Angle
スクリーンをセットする角度は、間違いなくPnRの重要な一部ですが、多くのコーチはこれを見過ごしています。
選手のオンボールスクリーンの角度にもっと焦点を当てるようにしてください。
それはコート上で大きな成果につながる小さな細部の1つです。
正しいスクリーンの角度はどのようなものでしょうか?
選手はボールマンのディフェンダーのお尻にスクリーンをセットするべきです。
これにより、ボールマンのディフェンダーがファイトオーバーすることを強いて、ボールマンにゴールに向かうスペースを与えます。
トップからのPnRを想像してみましょう。
私が今までで見た育成年代の選手の多くは、サイドラインに背中を向ける方向でスクリーンをセットしています。
これでは、ボールマンのディフェンダーがスリップで抜けてしまうことを許し、素早くポジションを回復してしまうため効果的ではありません。
正しい方法は、コートのコーナーに背中を向けるものです。
こうすれば、ディフェンダーがスクリナーの後ろをスリップすることが難しくなり、ボールマンがペイントエリアに入ったときに大きなアドバンテージを得ることができます。
4.スクリナーが接触をつくる:Screener Makes Contact
PnRの準備の最後の1つは、スクリーンをセットする際に接触をつくることです。
スクリナーには、ボールマンのディフェンダーをしっかりと捕まえ、正しい角度でセットし、強いスクリーンのために接触をつくることが求められます。
スクリーンをセットする際には、強固なスクリーンをセットすることに100%集中すべきです。私がこれまで見た多くのスクリーンは、ロールしてボールを受けることにフォーカスしすぎる余り、貧弱なスクリーンになってしまっています。
接触をつくる理由は、ボールマンのディフェンダーがスクリーンを避けるスペースをなくせるというメリットがあるからです。
もしスクリーンが遠く、スペースを与えてしまっていれば、ボールマンのディフェンダーはスクリーンを容易にかわすことができるでしょう。
5.ドリブルアタック:Dribbler Attacks Off the Screen
スクリーンが正しくセットされれば、ボールマンがディフェンダーの動きを読み、スクリーンを使うときです。
スクリナーに向かってドリブルするとき、ボールマンはスクリナーの肩に向かってドライブを仕掛けます。そして最大2個のドリブルでスペースをつくり、ディフェンダーの反応を伺います。
ボールマンは常に攻める姿勢を持たなければなりません。
私達は決して、すべてのPnRでボールマンがドライブやシュートを決めることを期待していません。重要なのは、ディフェンスをローテーションさせて、オープンのプレイヤーをつくることです。
素早くパスやシュートの機会を得られれば、プレイヤーはそれを実行すべきです。しかし多くの場合、ドリブルは2つまでが好ましいです。
注意:ボールマンは忍耐強く、スクリナーが停止するのを待ちます。イリーガルスクリーンが起きる1番の原因は、ボールマンが辛抱強くなく、攻撃が早すぎるためです。
6.スクリナーはゴールに向かってロールする:Screener Rolls to the Rim
ボールマンがスクリーンを使って攻めに転じたら、スクリナーはパスを受けてインサイドで得点を奪うために、ゴールに向かってロールすべきです。
効果的なロールの仕方には議論があります。ここでは2つの例を示します。
1.リバースターン:Reverse Pivot and Roll
これはセットしたときにゴールに近い足を軸足とするもので、ボールマンのディフェンダーをシール(抑え込む)することも含みます。
2.ダイブ:Dive to the Rim
もう1つのオプションは、リバースターンをせずに直接ゴールに向かう方法です。リバースターンする代わりに、スクリナーはドリブラーに背を向ける形でターンし、ボールを受けるためにゴールに向かって走ります。
7.ボールマンが正しい判断をする:Dribbler Makes Best Decision
最後のステップは、ボールマンがディフェンダーを読み、正しい判断をすることです。
ボールマンはゴールに向かうか、ロールしたスクリナーにパスを出すか、アウトサイドの選手やゴールにカットするほかのプレイヤーにキックアウトパスを出すことができます。
注意:ボールマンは、判断のためにチームメイトの能力に気を使わなければなりません。例えば長距離のシュートが苦手なプレイヤーより、得意なプレイヤーにキックアウトのパスを出すべきです。
多くの場合、あなたのチームが得点できるかどうかを決定するのは、この判断のステップに依存します。
そのため、ボールマンは、高いバスケットボールIQを持ち、アタックできる能力を持っている必要があります。
出典:Pick and Roll for Basketball (Offensive Guide)|http://www.basketballforcoaches.com/
※本記事は出典元の許諾を得た上で、全文翻訳の形で掲載しております。
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