親が子どもたちのスポーツを台無しにしないための8つの心得

親が子どもたちのスポーツを台無しにしないための8つの心得

数週間前、私はある育成年代の試合を訪れました。そこで見たのは、私のコーチ人生で最も恐ろしい光景でした。

どこで行われたのか、どのチームが参加していたかはここで明らかにはしませんが、皆さんがここから何かを学べるように、ここに記しておきたいと思います。

U12の女子の試合が始まるとき、私は体育館に足を踏み入れました。客席がかなり埋まっていたので、恐らく決勝戦だったのだと思います。多くのバナーが掲げられ、ウォームアップをしている両チームの色で客席が彩られていました。

この試合が始まる前、私はそれほど大きな心配はしていませんでした。しかし試合が始まってみると、育成年代の試合における真の恐怖が明らかになりました。

得点や良いプレイをするたびに、彼らの親やファンは狂ったように見えました。名前を呼び、足を踏み鳴らしていました。同時に相手チームが良いプレイをするたびに、すかさずブーイングを浴びせていたのです。どちらのチームの両親と観客は、常にコート上のプレイヤーに向けて叫んでいました。

「シュートしろ!」
「リバウンドだ!」
「試合を止めろ!」
「ディフェンスをしろ!」

前半を終えるまで、これらは終始続きました。

時間残りわずか、審判は明らかに悪いコールをしてしまい、相手チームに2本のフリースローが与えられました。

多くの観客は大きな声でこの判定に抗議し、ベンチの後ろに座っていたある親は、怒りに任せてチームのバナーをコートに投げ入れたのです。

彼の周りにいた観客はすかさず彼をなだめ、バナーを回収しましたが、それだけで私にとっては十分でした。

私はその場を後にしました。

私が気づいた限り、観客同士でいざこざがあったわけでも、プレイヤーの誰かが泣いていたわけでも、また誰かが試合を投げ出したわけでもありませんでした。

私はここまで最悪な試合を見たことがありません。しかしこれは珍しいことかといえば、そうではありません。

こうした両親による愚かな行動は、育成年代のスポーツイベントではもはや一般的です。毎年のように、下記のような事例が起こっています。

これらの場面を見て、私は育成年代のスポーツに関わる両親の考えや、育成年代のスポーツ経験を向上させるために、彼らをどのように変えるべきかの方法について熟考しました。

本当にバスケットボールを愛し、プレイヤーを気遣うことができる育成年代のコーチとして、あなたができることを下記に記します。

1.試合中のあなたの役割を忘れないでください

育成年代のスポーツに関わるすべての人々が、自身の役割を覚えておくことは非常に重要です。

  • 試合を指揮するのはコーチです
  • 試合を裁くのは審判です
  • 試合をするのはプレイヤーです
  • そして試合を観るのが観客です

親の役割とは、試合を見て、自身の子どもやコート上にいるほかのプレイヤーをサポートすることです。

「サポート」とは、決してプレイヤーに向かって叫ぶことや、誰かが失敗したときに天を仰ぐようなジェスチャーをしたり、ひどいボディランゲージをすることではありません。

自身の子どものプレイを見た率直な感情の表現であることは理解しています。しかし親は感情をコントロールしなければなりません。

しっかりと座り、試合を楽しみ、笑い、良いプレイの際には拍手や声を掛けてサポートしてください。

それが次の重要なポイントにつながります。

2.サイドラインからコーチのように振る舞わないでください

前述したとおり、あなたの役割は試合を観て楽しむことです。コーチすることではありません。

もしコーチをしたいのであれば、世界中の多くのチームが常にコーチを探していますので、そうしたチームと契約することをオススメします。

しかしあなたが観客として試合に参加しているのであれば、あなたの子どもやほかのプレイヤーに対して指導するようなことはやめてください。

  • 10番を止めろ! やつにやられるぞ!
  • 撃て!
  • そいつにプレッシャーをかけろ!

こうした指示があなたの子どもやチームに有害である理由は、コーチが出す指示と相反する可能性があることです。

相反するメッセージは混乱を生み出し、ストレスを与え、ひどいパフォーマンスに結びつきます。

あなたが座ってコーチが自身の仕事をできるようにするほうが、チームにとっては有益なのです。

3. 権利意識の強い子ども(Entitled Children)を作らないでください

私たちはトロフィージェネレーション(編注:トロフィーキッズ=甘やかされて育つ子どもの意)の時代にいます。彼らには23番目のトロフィーを与えてください。それが両親を幸せにします。ートム・イゾー

青少年におけるスポーツは、プレイヤーが自身の感情に対処し、安全な環境で失敗を経験する方法を学ぶ素晴らしい機会です。

それにもかかわらず、多くの両親は彼らの子どもの経験や人生の教訓を学ぶ機会を、無意識のうちに奪っているのです。

大人はむやみに救助に飛び込むことや、子どもにネガティブなことが起きたり気分が悪くなるようなことがあるときに守ることをやめなければなりません。

子ども:僕はあのチームが好きじゃない。どこか別のチームでプレイしたいよ
親:そうね、心配ないわ。できるだけ早く別のチームを見つけるわ

子ども:ジョニーはトロフィーをもらったのに僕はもらってないなんて公平じゃない
親:そうね、あなたもトロフィーをもらうに値するわ。来年は必ずもらえるように働きかけるわ

さらに悪い事に、子どもたちのこうした幼少期の経験は、青年期の間も常につきまといます。言いにくいことですが、大人として私たちは言わなければなりません。

「なぜ今の子どもたちはこれほど甘やかされているのですか? 私たちの子どものときは、こんなことはあり得なかったはずです!」

現在青少年のスポーツをしている子どもたちは、私達が作り出した環境の産物です。私たちなのです。子どもたちは何かあると両親が助けてくれるだろうとわかっていて、この機会を十分に活用しています。

私たちはこれまでのやり方を変え、子どもたちに感情に対処する方法、失敗にどう取り組むかを学ばせ、経験させなければなりません。

それが子どもたちを殺すことにはならないと、私は約束しましょう。

4. コーチの決定を否定することをやめてください

両親がコーチの決定を否定すること以上に、子どもがコーチに対する信頼や尊敬を貶める行為はありません。

これには大きく2つの方法があります。

1.コーチが間違っているのだと批判する

子ども:なぜ僕はジミーみたいにドリブルでボールをうまく運べないんだろう?
親:それはコーチが馬鹿だからよ

2.選手にネガティブな意見を植え付ける

父:お前がスターティングメンバーじゃないなんてコーチはどうかしてる! 彼にはコーチをすることなんてできないんだ!

こうした会話を子どもとすることによって、あなたは子どもたちがコーチの話を聞かなくなる機会を増やしてしまっているのです。

そしてこうした言葉は、自身の子どもたちだけにとどまりません。こうした言葉は、ほかの選手の耳にも入るということをはっきりと認識しておくべきです。

多くの親が子どもとこうした会話をする理由は、選手の責任をどこかに押し付けようとしているからにほかなりません。

子どもに何か問題が起きたとき、両親はコーチに責任をなすりつけたり子どもたちの負担を減らすことで、子どもたちを助けることができると信じています。

これは短期的には役立つかもしれませんが、長期的なチームや子どもの成長にとって有効ではありません。

必ずしもコーチが常に正しいと言っているわけではありません。

しかし、もしコーチの行いに懸念や同意できない点がある場合、あなたはコーチと議論しなければなりません。決してあなたの子どもではありません。

5.子どもに「コーチさせる」ことを許してください

私がこれまでにツイートした中で、もっともリツイートされたのは以下の言葉です。

コーチできない子どもは、将来職に就くことに苦労するでしょう。あなたの子どもに苦労することに慣れさせてください。それが人生です。乗り越えろ!

この項の前提として、あなたの子どものコーチが愛を持って彼らとチームの成長を望んでいると仮定します。

育成年代のスポーツでは、選手にどう教えつながるべきかを理解していないコーチが多くいます。中にはいじめに近いかたちを取るコーチもいるほどです。

どんなに「愛のムチ」であることを説明しようとしても、ミスに対して6歳の子どもに面と向かって叫ぶようでは、それはいいコーチングとはいえません。

したがって、この項は、すべての状況に当てはまるわけではありません。

また子どもを赤ちゃんのように扱い、コーチが高い水準を求めようものなら、そこに飛び込んで子どもたちを守ろうとする両親が非常に多く存在します。

選手がコーチされることを許してください。

もし選手がチームのスタンダードに達していないのなら(努力の欠如、コーチの言葉を聞かない、ゲームプランに従わない、チームメイトをいじめるなど)、それは育成年代のコーチが対処すべき事柄です。

コーチは選手が萎縮しないような方法で、これらの問題に対する対処や、それ以上に敬意を求め、コーチの威厳を示す必要があります。

これこそが、我々が今まさに遭遇し始めている問題です。

子どもは大人の高いスタンダードに慣れていません。

今の子どもは指導と批評の違いを理解していない – ラリー・ブラウン

コーチが子どもたちに高いスタンダードを求めるとき、ネガティブなリアクションをしたり、コーチが不当に扱っていると感じる選手がいます。

彼らが両親にそのことを伝えると、実際に何が起きているのかを理解する代わりに、「何をすべきか理解していない愚かなコーチ」というレッテルを瞬時に貼るのです。

これにより、まれに両親とコーチの間での議論が白熱したり、子どもを移籍させるような騒動に発展することがあります。

コーチが正しい方法を用いている限り、コーチは選手をチームが定めた高いスタンダードを求めなければなりません。

コーチがそれをできなければ、スポーツを通じた人生の教訓を教えることは、信じられないほど難しいものです。

  • 成功には努力が求められること
  • ボディランゲージの重要性
  • 周囲に尊敬の念を持つこと
  • 自身の強みと弱みを知ること
  • 勝利と成功する方法 など

コーチが選手により多くの努力が必要であることを伝えられない場合、成功には努力が求められることを教えられるでしょうか?

コーチが選手にひどいボディランゲージを正すことができない場合、選手のボディランゲージを改善することができるでしょうか?

あなたはきっと理解するでしょう。

6.複数のスポーツにチャレンジすることを奨励してください

子どもに1つのスポーツしかさせないのは、だいたい子どもにとっての最大の利益を考慮していないことが多い – JJ Watt(NFL)

毎年多くの両親が、1年を通して1つのスポーツに取り組ませるように説得されています。こうした説得の際によく聞くのは、そうでなければ1つに特化した子どもに勝てないというものです。

これはあからさまな嘘ではありませんが、危険が潜んでいます。

私はある後述する調査を見たことがない両親が、子どもを1つのスポーツに専念させることを責めることはできません。子どもがスポーツの適性を見せ始めた後においては特にです。

実際、表面上はそれが賢い選択のように見えるのです!

特化し、より多くの時間練習することによって、彼らの能力が向上することは、バスケットボール人生において良い方向に進むでしょう。

子どもにほかのスポーツをさせない多くの人々は、よくMalcolm Gladwellの「1万時間の法則」を引用します。

しかし、現実には、幼少期に1つのスポーツに特化することは、必然的に次のような結果につながることが実証されています。

  • 精神的なバーンアウトとストレス
  • 怪我の可能性の増大
  • スポーツキャリアの短縮
  • モチベーションの欠如 など

それに加えて、選手に以下の機会が少なくなるという明白にネガティブな要素があります。

  • 他社との関係構築
  • 異なるコーチとコーチングスタイルの経験
  • さまざまなスポーツの経験

大きな問題だと感じませんか?

時間の経過とともに必然的に明白になるであろうネガティブな要素を選手は認識していません。複数のスポーツへの参加を奨励することは、親とコーチが責任を負っているのです。

ここでは、バスケットボールのプロで活躍する以前に、複数のスポーツ経験があるスーパースターが数名存在します。

  • 恐らくNBAでトップ10に入る選手のティム・ダンカンは、1992年のオリンピックを渇望された才能豊かなスイマーであり、自身も1992年のオリンピック出場を目指していた
  • アキーム・オラジュワンは、サッカーをすることを選んだ15歳までは、バスケットボールを1回もしなかった
  • レブロン・ジェームズは、高校2年生と3年生のときに州選抜のワイドレシーバーだった
  • エレーナ・デレ・ダンは、大学1年生時にバーンアウトによりバスケットボールをやめ、2013年に復帰しWNBAのルーキーオブザイヤーに輝いた

私たちがバスケットボールから離れていっても、マルチスポーツ選手がトップに現れるのです。

下の画像は、アーバン・マイヤーがオハイオ州立大学にリクルートした47人のフットボール選手のうち、42人が高校時代にマルチスポーツ選手だったことを示しています。

The image below shows that of the 47 football players Urban Meyer recruited to Ohio State, 42 of them were multi-sport athletes during their time at high school.

しかし、もし子どもがあなたに、1つのスポーツだけをしたくないと言ったらどうしますか? そのときはジョン・オサリヴァンのこの素晴らしい記事を読んでみてください。

7.奨学金に集中しないでください

毎日こんなことが起こります。

両親は子どものために契約し、彼らが自然な才能を持っていることに素早く気づきます。他者であってもです。

コーチはあなたの子どもに近づき、賞賛し、遠征やエリートキャンプ、またはパーソナルトレーニングを受けるよう奨励します。

次にあなたが考えるのは、将来の経済的な可能性についてです。

  • 奨学金を受ける
  • ディビジョンⅠの大学でプレイする
  • プロでプレイする
  • お金、お金、お金

私はこうした夢を否定するつもりはありませんが、奨学金を受けられるのはわずか3%であり、NBAやWNBAで活躍できるのは全体の0.02-0.03%しかいません。

つまりこれは、1万人の高校生のうちわずか2-3人です。

育成年代のスポーツにおいては、彼らにプレッシャーを掛けるのではなく、ただプロセスを楽しみ、マルチスポーツを奨励し、彼らが何を選んでもサポートを差し伸べることだけが必要です。

それがあなたと子どもをストレスから解放するでしょう。

8.自身の経済的事情を考慮してください

このトピックについては、私は触れることを躊躇しました。しかしこれは触れずにはいられない重要な事柄です。

よく知られるように、育成年代のスポーツは信じられないほどのお金がかかる可能性があります。

事実ある記事では、遠征を多く行うチームでは、年間5,500ドルの金額がかかるという調査を紹介しています。

そして私は、多くの親がこれよりも多くの金額を1年で支払っていることも知っています。新しい道具や手数料、良好代金、宿泊代などが、いとも簡単に積み上がっていきます。

当然これは、子どもの経験のためにポケットの奥底にまで手を伸ばす親にとって、ストレスの種です。

このストレスが選手に伝染すると、より大きな問題が噴出します。

両親が子どもにお金はうまく工面していると話しながらも、両親が費やしたお金がただの浪費であったということを、私は何度も目撃しています。

こうしたプレッシャーが選手に与える影響を考えてみましょう。若い時期に選手がバーンアウトしてしまうことは決して不思議ではありません。

多くの両親は多くのお金を費やし、子どもが奨学金を得ることで見返りを得られると信じています。

忘れないでください。あなたの子どものスポーツは投資ではありません。

あなたは、育成年代のスポーツの経験に対して、ほんの1ドルたりとも見返りを求めるべきではありません。

遠征は必ずしも必要ですか? 違います。

パーソナルトレーナーが必ずしも必要ですか? 違います。

最新のグッズが必ずしも必要ですか? 違います。

あなたが不安になるのであれば、こうした余計なコストを加える必要はありません。

さいごに

最初に、私は99%の親が正しい心理状態であることを認めたいと思います。

多くの両親は、子どもの成功の機会をより高めるために、彼らを練習へと駆り立てます。

多くの両親は、子どもが競争でより優位に立つために、1つのスポーツに取り組むように促し、許します。

多くの両親は、コーチや審判、または体育館の質にさえ責任を添加することで、子どもを守っています。

残念なことに、ほとんどの両親は、自身の行動の多くが選手にとって最善の利益でなく、将来の成功の可能性に悪影響をおよぼすことを認識していません。

これから私たちは、選手にとって最も重要なことにフォーカスする必要があるのです。

出典:Parents: Please Stop Ruining Youth Sportshttp://www.basketballforcoaches.com/
※本記事は出典元の許諾を得た上で、全文翻訳の形で掲載しております。

この記事の著者

Basketball for Coaches
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