【特別寄稿】P3 – ドワイト・ハワードやカイル・コーヴァーも通う肉体改造道場(動画付き)|taiyomikuni (TM)

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いわゆる「スポーツサイエンス」や「ビッグデータ」に関連しそうな話をひとつ。

マーカス・エリオット(Marcus Elliott)というスポーツ医学の専門家が主催する「Peak Performance Project(P3)」という名前のクリニック(トレーニングセンター兼実験ラボ)がサンタバーバラ(カリフォルニア州)にあり、ここにケガの予防などを目的にNBAをはじめとするいろんなプロスポーツ選手が通ってきている・・・そんな話がクリスマス前にSI.comで公開されていた。

この記事を途中まで読んで気づいたのは、ここがカイル・コーヴァー(現ATL)が「30歳を目前にして行った肉体改造」の場であり、またエリオットはコーヴァーの「禊ぎ(Misogi Challenge)仲間」のひとりであるということ。重い石を抱えながら海中を走ったり・・・といった荒行(自分の限界を知るためのもの)を試すのは、さすがにまだコーヴァーくらいしかいないようだが、ケガの予防や能力向上に励む選手はやはり多いそうで、下記のビデオに出てくるドワイト・ハワード(HOU)もそのひとり。またSI.com記事中には、アル・ジェファーソン(CHA)、ポール・ミルサップ(ATL)、デリック・フェイバー(UTA)、それに右肩手術の後のリハビリ中だったパティ・ミルズ(SAS)の名前なども出てくる。

ジャズに関連する選手が多いのは、エリオットのNBAクライアント第一号がRafael Araújoというかつてユタに在籍していたプレイヤーだったことと関係しているようだ。エリオットはもともとハーバードの医学部在学中にNFLのペイトリオッツで働き、この分野に足を踏み入れることになった、などともある。さらに最近では、大金のかかったサラブレッドである新人選手(ドラフト上位組)を連れてくるエージェントもいるそうで、昨年夏にはアンドリュー・ウィギンズ、ザック・ラヴィン(いずれもMIN)、アーロン・ゴードン(ORL)なども6週間ほどP3でトレーニングを積んでいたらしい。「費用はNBA選手で一人あたり週5000ドルとなかなかのものだが、数百万〜数千万ドルの年俸を稼ぐ選手の寿命延命と思えば安いもの」といったコメントも。

P3ではすでにNBA選手100人、MLB選手120人のほか、やはり100人ほどのプロスポーツ選手や五輪選手のデータを収集しているとのこと。またNBA関連では、昨年リーグと契約してドラフト候補選手の事前チェックも受け負うようになっているという。また、そうやって蓄積されるデータがP3にとって最大の資産になるのは明らかで、同社ではクラウドベースのサービスをNBAの各チームに提供して・・・といったアイデアも検討しているらしいが、ただし「そういうクリティカルな情報?を外部に委ねるのはどうか」といった懐疑的な声も一部にはあるという。

それでも、「こうやって身体の特徴や癖を隅々まで調べ、問題の起こりそうなところを事前に直しておけば、今後10年でも・・・(現役でやっていける)」というエリオットの言葉ほど、「身体が資本」な選手にとって訴えかけるものははずで、記事中にはパティ・ミルズ(26歳)がそれを聞いて思わずびっくり、といった場面もある(NBA選手が活躍できる賞味期限は平均でだいたい5年くらいだったか・・・いずれにしても30歳代半ばの選手はかなりめずらしい、NBAがそれだけ身体を酷使する肉体戦ということだろう)。

オマケ:
12月はじめにはOUTSIDE Onlineで、昨年夏のMisogi Challengeに同行したライターのレポート(動画付き)が掲載されていた。

参加したのは、コーヴァー、エリオット、デイル・ケアリン(Deyl Kearin)という不動産関連の投資家(サハラ砂漠を舞台にした150マイルレースに出走した経験の持ち主)、ネルソン・パリッシュ(Nelson Parrish)という現代芸術のアーティスト(元スキーのジュニア五輪代表選手)、それにライターのチャールズ・ベセア(Charles Bethea)の5人。いちばん最後のほうに「昨年のファイナルMVPをとったクワイ・レナード(SA)をふくめ、Migosiに関心を持つプロアスリートが増えている」とあるのが目を惹く。

転載元:P3 – ドワイト・ハワードやカイル・コーヴァーも通う肉体改造道場(動画付き)

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