インタビュー:後藤剛 後編
目次
具体的に平岡さんの「人よりも努力する」という姿勢に ついて。どのような事?
実際に毎日の朝練などで一番乗りでシュートしていたり、放課後外を走っている姿を見たことがあります。平岡さんに引っ張られ部員全員がひとつになっていく感覚がありました。
こんな事もありました、1.2.3年混ぜてゲームをしたことがあったのですが、平岡さんは私にも積極的にパスしてくれてシュートが決まるとすごく喜んでくれました。私にとっては平岡さんは雲の上の存在ですから、すごく嬉しかったのを覚えています。
その後、1989年山口全中で全国制覇。だいぶ記憶は薄れてきてますけど、決勝のコート上でした胴上げが忘れられませんね。バスケ人生のなかで最高の瞬間は?と聞かれれれば、間違いなくあの瞬間はランクインします。「スイッチが入る」とよく表現しますが、あの時からずっとバスケスイッチON状態です。
平岡さんの卒業後、チームには何が残りましたか?
平岡さんが引退・卒業してからも、情熱やモチベーションというスタンダードをチームに残してくれました。同じ中学の先輩が月刊バスケットの表紙を飾ったのですから、やる気が出ないはずがありません。(笑)
毎日朝練、毎日バスケです。体育館が使えなければ近隣の小学校の体育館を借りて練習しました。年間練習試合150回、一生懸命練習すれば全国大会行けると疑いませんでした。実際、翌年も全国大会へ出場できた要因は、その練習量にあったと思います。
私にとって中学の3年間は最高の時間でした。プレイヤーとしては関東大会出場でしたが、先輩方が2回全国大会へ出場し素晴らしい経験ができました。あの時ほど、バスケットボールが好きで好きでしょうがなかった時期はありません。そして、平岡さんや当時の稲葉監督が残してくれた情熱は受け継がれています。稲葉監督の息子さんで現つくば秀英高校バスケットボール部監督の稲葉弘法さんやバスケットボールの家庭教師 鈴木良和さん、その他大勢の方々が、バスケットボールを通して活躍されています。私も負けていられませんね、本当にそう思います。
地方の大学であったり、一般的には環境に恵まれないと いう環境から、大きな舞台を目指している人に。ゴールドスタ ンダードの中でのおすすめのシーンがあれば教えて下さい
トレーニングキャンプ中に恩師であるコーチ・ナイトがコーチKに助言をするシーンがあります。「一つだけ忘れるな、マイク。君は彼らと比べて何ら引けを取らない。」これはアメリカ代表のスター軍団を指揮するのに必要な自信をしっかり持って望めというアドバイスです。
この言葉はコーチと選手との関係について言っていますが、対戦相手や目標についても同じだと思います。どんな環境や状況に置かれていたとしても、相手や目標について対等だと思うことが大切だと思います。
大学バスケット界に関して言えば、関東・関西に比べ北海道などの地方チームは遅れをとっています。やはり”自分やチームが相手よりも劣っているのではないか”と考えがちです。どうせ勝てないと気持で負けていては、すでに勝負は決まってしまっています。しかし、この気持の部分を進化させなければ何も変わらないのではないでしょうか。
「勝てると思うことが一番大事なんだ。勝てないと思えば絶対に勝てない。」というNBA選手の言葉がありますが、まさにその通りだと思います。
また、ご自身がリーダーとしてPROJECTを進める 際に意識している事、ゴールドスタンダードから学んで実 践している事はありますでしょうか?
コーチKの言葉に「成功する全てのチームは一つの共通するシステムを持っている。そして、それこそが”コミュニケーション”であると私は信じている。」というのがあります。私自身も組織やチームにとってコミュニケーションが最大の武器であると思っていますが、世界最高のコーチから改めて言われると心に響きます。
プレイヤーではベテラン、仕事では中堅になってきましたが若手とコミュニケーションをとってチームを強くし、会社を大きくしていくのが今の課題です。
最後になりましたが、ゴールドスタンダードを通じてこのような出会いがあったことに本当に感謝します。選手・コーチ・バスケファンだけでなく、様々な方にこの本を手にとって読んでもらいたいと思います。
(interview 2012.12.25 / 片岡秀一・UPSET)
後藤 剛
茨城県つくば市生まれ、北海道名寄市在住。プレー歴:筑波西中→霞ヶ浦高→道都大→アカゲラ#32。名寄出身のbj宮崎シャイニングサンズ大塚裕土選手と母校道都大学、JBLレバンガ北海道のファン。
名寄地区バスケットボール協会HP http://www.nayoro-city.net/~nayorobb/
バスケットボールブログ http://www.plus-blog.sportsnavi.com/nayorobb/
ツイッターアカウント http://twitter.com/nayorobb
この記事の著者
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1982年生まれ。埼玉県草加市出身。株式会社アップセット勤務の傍ら、ゴールドスタンダード・ラボの編集員として活動。クリニックのレポート、記事の執筆・企画・編集を担当する。クリニックなどの企画運営も多く手掛け、EURO Basketball Academy coaching Clinicの事務局も務める。一般社団法人 Next Big Pivot アソシエイトとして、バスケを通して世界を知る!シリーズ 第1回セルビア共和国編では、コーディネーターとして企画運営に携わりモデレーターも務めた。 J SPORTSでB.LEAGUE記事も連載中。
宮城クラブ(埼玉県クラブ連盟所属)ではチーム運営と共に競技に励んでいたが、2016年夏頃に引退。HCに就任。これまで、埼玉県国体予選優勝、関東選抜クラブ選手権準優勝、関東クラブ選手権出場、BONESCUP優勝などの戦績があるが、全国クラブ選手権での優勝を目標に、奮闘中。