インサイドプレイヤーの1on1の攻め方と個人ワークアウト
今回はインサイドプレイヤーの1on1の攻め方と、個人ワークアウト例を紹介したいと思います。まずインサイドの1on1の仕掛け方は比較的シンプルにまとめることができます。
ブロックに近い位置での1on1
ブロック(ニュートラルゾーン)よりも近い位置でボールを受けた場合は、ドロップステップを使って攻めます。この場合、すぐにドロップステップシリーズに行ってもいいですし、ミドル側にドリブルしてディフェンスを押し込みながら相手の位置を探っても可です。
ディフェンスが
- ミドル側にいる→ベースライン側へドロップステップ(スピンターン)→ベビーフックかフェイダウェイもしくはそれをフェイクにしてアップアンドアンダー(ステップイン)
- ベースライン側にいる→ミドル側へドロップステップ(スピンターン)→ベビーフック(同上)
- どっちにいるかわからない→リバースターンから攻める(下で詳述)、もしゴール下でもらっていたら(ゴール下まで押し込めていたら)利き手側にターンしてベビーフック
の3種類になります。真ん中でもらった時は単純にディフェンスがいない方へ行ってください。かなり近い位置での攻防になるので、ディフェンスはぴったりくっついていることが予想されます。この場合スピンターンをドロップステップの代わりに使っても可です。特にぴったりディフェンスがくっついているときにはスピンターンが有効です。
ブロックから遠い位置での1on1
もしブロック(ニュートラルゾーン)よりも遠い位置でボールを受けた場合は、リバースターンを使って正対して攻めます。ハイポストもこれと同じです。
オープンステップでのドライブが非常にトラベリングになりやすいことを考慮すると、ベースライン側の足をフリーフットにしたほうが良いと考えています。(ミドル側にクロスステップで行けるように)ここらへんはトラベリングにゆるいNBA、NCAAとは変えた方がいいところだと思います。
ディフェンスが
- 手を下げている、もしくは距離が遠い→シュート
- ミドル側にいる→ベースライン側へリップドライブ(オープンステップドライブ)→ベビーフックもしくはそれをフェイクにしてアップアンドアンダー(ステップイン)
- ベースライン側にいる→ミドル側へクロスステップドライブ→ベビーフック(同上)
この3種類が「リバースターンシリーズ」になります。ちなみにフロントターンで正対しても可ですが、リバースターンをすることでディフェンスと1歩分の距離を取ることができ、さらにフロア全体を見ることができるので、パスを出しやすくなります。ディフェンスがかなり離れていることが明らかな場合は、フロントターンの方がバランスもとりやすいですし利点もありますが、通常インサイドはそれほど距離をあけてくれないので、それ以外の場合はリバースターンでスペースを作り出す方が攻めやすくなると考えています。
また自チームがよっぽど相手よりも大きい場合はリバースターンでスペースを作らなくても、フロントターンでもシュートが打てる場合もあるかもしれません。ただ日本人の場合は特に世界レベルで「大きい」選手がほとんどいないと思いますので、上を目指すのであればリバースターンシリーズは必須だと思います。
このように、ボールを受けた位置(距離)によって攻め方は変わりますが、それでも非常にシンプルです。
- ブロックより近ければドロップステップシリーズ
- それより遠ければリバースターンシリーズ
の2択、あとは敵がいない方に行くだけです。つまりそれだけ、どの攻め方を選択するかの判断とどれだけ力強くフィニッシュできるかにかかる部分が大きいということです。日ごろから正しい判断と力強いフィニッシュを両立させる必要があるのです。
インサイドプレイヤーのためのワークアウトドリル
以下はワークアウトのサンプルです。(本数はすべて決める数で打つ数ではありません)
- ベビーフック(ボードを使って)25本
- ベビーフック(ボードを使わず)25本
- ドロップステップシリーズ(コンタクトパッドでディフェンスをつける。激しく押す)
- ミドル側へ→ベビーフック 6本
- ベースライン側へ→ベビーフック 6本
- ミドル側へ→ロール(もしくはアップアンドアンダー)→ベビーフック 6本
- ベースライン側へ→ロール(もしくはアップアンドアンダー)→ベビーフック 6本
- 計24本 × 両サイド
- リバースターンシリーズ(コンタクトパッドでディフェンスをつける。ドライブ系は激しく押す)
- リバースターンからすぐシュート 6本
- ミドル側へ→ベビーフック 6本
- ベースライン側へ→ベビーフック 6本
- ミドル側へ→ロール(もしくはアップアンドアンダー)→ベビーフック 6本
- ベースライン側へ→ロール(もしくはアップアンドアンダー)→ベビーフック 6本
計30本 × 両サイド
※3、4はディフェンスが状況を作り、それを見て判断するドリルをやることもあります。その場合は全部で20本を両サイドで行います。
- ハイポストフラッシュ→リバースターン→シュート 6本×両サイド
- ショートコーナーシュート(ベースライン上にコーンを置き、シュートを打つたびにサイドステップでそのコーンを触って戻ってくる)6本×両サイド
- スポットシューティング(ミドルシュート)15本×5か所
各ドリルの間にフリースローを5本ずつ打つと、全部で200~300本のシュートを打つことになります。今回は最後に、カルロスブーザーがポストムーブを教えている動画を載せておきます! インサイドプレイの考え方、練習の仕方の参考になれば幸いです。
この記事の著者
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1989年生まれ、香川県出身。香東中学校-高松高校-東京大学-ウェストバージニア大学大学院アスレティックコーチング専攻。小学校からバスケを始め、大学3年次までプレイヤー4年次には学生コーチと主務を兼任しながら、株式会社Erutlucで小中学生の指導にあたる。現在はアメリカDivision I 所属のウェストバージニア大学大学院でコーチングを専攻しながら、男子バスケ部でマネージャーとして活動中。
コーチMのブログ http://ameblo.jp/tamorimorimori83/
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