インタビュー:鍵冨善宏(ファミリーテンス)その1

◇ゴールドスタンダードの中で特に印象に残った場面はどこでしょうか?

以下の3場面です。

  1. 私が自分たちのやっていることから家族を追い出してしまったら、自分の選手たちと彼らの家族を危うい立場に追いやってしまうだろう。何故なら家族の人たちを何らかの妨げとしてしまうことになるだろうからだ。そうした外からの支援体制を与えてくれる人々に「自分たちはチームと争わなければならない」と感じさせてはならない。(p92)

  2. チーム作りにおいて、私は規則を信じていない。スタンダードを信じている。(p102)

  3. レブロンは、部屋を見回しチームメートに向かってこう言った。「今の俺に言い訳ができるか?みんながこのチームにいるのに、この状況で言い訳ができるかって話だ」(P113)

 

◇①の部分については、具体的にどのような理由で印象に残ったのでしょうか?

家族を大切にして、その家族に自分のやっていることを理解してもらって応援してもらうことって、すごく大切なことだと思うのですが、リーダーも選手自身もなかなか実践できていないと思います。特に日本では仕事第一で家族との時間をとれないことが当たり前、時には仕事や大事な試合で親の死に目に会えないことですら美談のように言われることもありましたが、それは本来あるべき姿ではないと思います。

鍵冨01 いつも試合や仕事に1人で出かけて帰りも遅く、彼女や奥さんに、私とバスケ(仕事)どっちが大事なのと言われたら、困ってしまってバスケ(仕事)へのモチベーションは下がってしまうでしょう。普段から一緒に行動して理解をしてもらって、家族と一体となってバスケ(仕事)にチャレンジしていくことが出来れば、それほどに心強いことはありません。

自分は息子もバスケをやっていることもあり、比較的家族で一緒に行動できている方だとは思いますが、それでもやはり家族との時間とバスケ(仕事)とのバランスは考えて行動していますし、日本ではなかなかこんなことを考えてくれるるリーダーは少ないよなと思い、この言葉が印象に残りました。

 

◇②についても具体的にお願い致します。

日本人は規則を守る人種だと思います。なので、規則を決めれば日本の中ではある程度は上手くいくと思います。しかしながら、規則を守ることが常識だと思っているので規則を守っているだけであって、すべて納得して守っているわけではないと思います。自分たちで構築したスタンダードであれば、普段自分たちがやっていることでさらに上を目指すために何をすれば良いかを考えて、自分たちでゴール設定したことなので、納得してやるはずです。

また同じやるのでも、やらされるのと自らやるの差は大きいと思います。このことをコーチKはよく分かっているのだと思います。自分もこの文章を読んで、これまでの自分の漠然とした思いが、頭の中できれいに整理できました。

蛇足ですが、世界と勝負していくためには、ただ真面目に決められた規則を守るだけではなく、自分たちがイニシアチブをとってスタンダードを作っていかなければいけないと思います。これは日本人がこれからグローバルな世界で勝負していくためには我々もグローバルスタンダード構築に参加して、いつも他人の土俵ばかりでなく自分たちの土俵でも相撲をとれるような仕組み作りにもっと注力していく必要があると思います。

 

◇最後③についてもお願いします。

鍵冨02③「言い訳はしない」USA代表チームのゴールドスタンダードの一番上に置かれた言葉です。とても難しいことですが、本当に大切なことだと思います。審判、相手のプレー、自分の体調、味方のプレー、気候など、我々の周りは言い訳のネタだらけです。時には自分も甘えて思わず言い訳が口から出てしまうこともありますが、それはやはり自分の弱さだと思います。

自分が絶対的に強くて自分に自信を持っていれば言い訳をする必要などないのですから。レブロンのこの言葉は自分への戒めの言葉として、覚えておかなければならないと思いました。

 

鍵冨善宏(Kagitomi Yoshihiro)
1973.11.27生まれ。新潟県出身。197㎝ 83㎏。
柏崎高⇒明治大⇒丸紅⇒ファミリー・テンス⇒Dream League All Stars

この記事の著者

片岡 秀一
片岡 秀一ゴールドスタンダード・ラボ特別編集員
1982年生まれ。埼玉県草加市出身。株式会社アップセット勤務の傍ら、ゴールドスタンダード・ラボの編集員として活動。クリニックのレポート、記事の執筆・企画・編集を担当する。クリニックなどの企画運営も多く手掛け、EURO Basketball Academy coaching Clinicの事務局も務める。一般社団法人 Next Big Pivot アソシエイトとして、バスケを通して世界を知る!シリーズ 第1回セルビア共和国編では、コーディネーターとして企画運営に携わりモデレーターも務めた。 J SPORTSでB.LEAGUE記事も連載中。

宮城クラブ(埼玉県クラブ連盟所属)ではチーム運営と共に競技に励んでいたが、2016年夏頃に引退。HCに就任。これまで、埼玉県国体予選優勝、関東選抜クラブ選手権準優勝、関東クラブ選手権出場、BONESCUP優勝などの戦績があるが、全国クラブ選手権での優勝を目標に、奮闘中。