2025年1月1現在、本稿筆者は株式会社ERUTLUCで働いています。本稿は、入社よりもだいぶ前の2022年~23年頃にまとめて(公開せずに、そのまま下書きで)保存していたものである。せっかくなので、公開します。

『バスケットボールの家庭教師』の事業等で幅広く知られる株式会社ERUTLUCは、以下の3つのミッションを掲げている。
1、より多くの子ども達になりうる最高の自分を目指す環境を提供する
2、チームスポーツだからこそできることで教育に貢献する
3、世界で最もビジョナリーなコーチチームを作る
同社の各種事業やプロジェクトからは、上記の3ミッションが絶妙に重なり合い、または、支え合いながら、絶妙なハーモニーを奏でている様子が伺える。その中、一つ目のミッション「より多くの子ども達になりうる最高の自分を目指す環境を提供する」については、大きく分けて、2つの方向性が感じられる。
一つは、ERUTLUCに所属する指導員の質向上により、「最高の自分を目指す環境の提供」を直接的に実現するものだ。
2023年現在、代表の鈴木良和氏もコーチとして選手の指導をされている。最近では、ご自身がHCを務めるCPMは、JBA推薦枠に選出され、Jr.ウインターカップ2022-23 2022年度 第3回全国U15バスケットボール選手権大会にも出場した。
近年は、男女の代表チームのコーチングスタッフにも名を連ね、活躍されている。U18男子代表チームの通訳・サポートコーチを務める同社の水野慎士氏も、代表チームから地域の子供まで、様々な選手に指導をされている。
もう一つは、日本各地、各カテゴリーのコーチへの学びの機会の創出を通じたアプローチである。各コーチの指導理念との兼ね合いもあるが、間接的に、「最高の自分を目指す環境の提供」を目指す取り組みだと言っても良いだろう。
コロナ前には、毎年の恒例行事としてバスケ大国スペインへの研修ツアーを実施。古くは、トーステン・ロイブル氏との連動により、チェコ・ドイツへの研修ツアーもあった。『ジュニア期のバスケットボール現場をより良いものにするため』を理念とし、時代の流れの中で、一歩先を見据えたような先進的なプロジェクトを重ねてきたJUNIOR BASKETBALL SUMMITもある。
コーチの参加費は無料とされていたことからも、コーチの学びの場づくりの要素が色濃く反映されている。(JUNIOR BASKETBALL SUMMITについては、拙記事に詳しい)。
コロナ禍では、『Spain Coaching Education Webinar 2021-22(presents by ERUTLUC海外事業部 × Partesaniaとうみん )』や、各種のコーチ向けWebinarにも精力的に実施し、好評を博している。
「選手の指導」と「指導者の育成」は、ERUTLUCの活動の柱の一つともいえるだろう。GSLの読者にも、何かしらの形で同社のプロジェクトより学びや発見を得た方も多いはずだ。実は、ERUTLUC代表の鈴木良和氏は、かつて、これらを同時に出来るとは考えていなかったという。様々な出来事をきっかけに、現在までに続く活動の礎を構築されていったという。
現在、ERUTLUCは、バスケ界のみならず、多方面からも注目を集める存在だ。
2018年にはTEDxHamamatsuに鈴木良和氏が登壇。ご自身の事業を通じて得られた学びは『どちらも魅力のある二択で迷った際に、両方を実現する為の考え方』として明瞭な言葉で整理され、約20分近い講演の中、見事なプレゼンテーションで、その哲学が語られている。
現在、日本バスケットボール協会では、育成主義でも勝利主義ではなく「育成も勝利も目指す」考え方が日本バスケ界の目指す育成世代の競技環境として提唱している。
それ以外にも、2つの事柄を同時に、実現してこそ、価値のある事柄に繋がることも多い。
本稿では、同プレゼンテーションより、項目を抜粋して投稿する。以下の動画は、考え方や行動の幅を拡げる素晴らしい内容であると筆者は確信している。
本記事を通じ、以下の動画に触れた経験の無かった方が、動画を視聴する契機になれば幸いである。
『どちらも魅力のある二択で迷った時の考え方 』
※あくまでも講義を聞いた本投稿者のメモです。発言の主旨は変えていませんが、メモとして簡易的に記載しています。以下で網羅出来ているのは全体の45%ほどでしょうか。詳細は動画をご確認ください。
0、前提となる情報
・10代後半の鈴木良和氏は、部活動で選手の成長を後押しをするコーチになる為に、教員になろうと志して千葉大学に入学する。同大学時代に、日高哲郎先生の素晴らしい指導に触れ、衝撃を受ける。「日高先生のような的確な指導を選手に提供できるコーチを育成することを通じて、より全体に貢献する事を志すようになる。その頃には、選手を育成する事と、コーチの育成とが全くの別物であると捉えていた。
1、講演内で紹介されているエピソード
※以下、講演内容を基に、鈴木良和氏の一人称で記載する。
◇『バスケットボールの家庭教師』の事業を通じての学び
・『バスケットボールの家庭教師』は子供にバスケットボールを教える。同時に、指導者の育成も重要なテーマになっている。
・ことわざには守備範囲がある。「二兎を追うものは一兎も追えず」は限定した状況下でしか適応できないことわざである。一つは左側、もう一つは右側にいる。どちらかを選ぶと、どちらかは失われる。そういう時のみに使用される諺である。
例えば、事前に2匹の兎が見えている。時間的な猶予もあるとする。罠を用意する、餌を使って兔を呼び込むなど、『二兎を獲得する』ことも可能。
そのように、A案でも、B案でもなく、自分だけのC案を見つけることも、掴むことも可能であることもある。AとBを両立できる、C案も存在する事を事業を通じて学んだ。
その選択は本当に正しかったのか。新しい視点があるのではないか、と考えることが鍵である。
【夢A案】「目の前の選手」の成長に貢献するコーチになりたい。
・学生時代に、自分の身体能力を考えると選手としては難しいな、と実感する。ただ、人に教えるのが好きだった。後輩にバスケの技術を伝える。その選手のプレーが向上し、とても嬉しそうな表情でバスケに励んでいる。その様子を見るのが大好きで、充実感を感じた。
その為、中学校の先生になりたい、と思っていた。また、野心家だったので、教員になったら、全国大会で優勝したい。その業界の中で卓越したい、と考えていた。これが、将来の夢、A案です。
【夢B案】 コーチの育成を通じ、より多くの子供に貢献する。
・千葉大学で、日高哲郎先生というコーチに出会う。まるで魔法のような指導力があり、どんどんシュートが入るようになる。技術的に課題を抱えるときにも、的確なアドバイスを下さり、成長を後押しして下さる。指導者との運命的な出会いを通じ、「先生のような指導を、もっと多くの人に届けられたらいいな」と思うようになった。A案ではなく、夢が変わっていった。
一つのチームに拘らず、コーチを育成する事を通じ、多くの子供たちに貢献する方向性で一流の道もあるのではないか、と思った。指導者になる学生を育てるために、大学の先生を目指そうと思った。これが、将来の夢のB案となった。
◇A案とB案とは、無意識に二者択一になっていた。
・AとBとが、自分にとって、無意識の2択になっていた。子供に教える選択肢を捨てて、学生を育てるか。それとも、目の前の選手を直接育てるか。全く別の仕事、どちらか一方を取ると、もう一つは取れない。そのように考えていた。
◇バスケの家庭教師を通じた、閃きや予感
・大学院時代に、アルバイトで勉強の家庭教師をしようと考えた。勉強の家庭教師があるのなら、バスケットボールにも家庭教師があっても良いと考え、HPに記載をした。
当時、チームでしかバスケットボールを教われない、という常識があった。しかし、事業を進めると、依頼が増えていく。社会の中でニーズがあると実感。
案件が増える中で、後輩に事業を手伝ってもらってきた。手伝ってもらうにしろ、しっかり準備して指導をする必要性がある。
・後輩指導員の方とも勉強会なども実施していた。そうすると、自分自身も、その後輩も、どんどん指導力が高まっていくことを感じた。A案とB案とを、両立できる道なのではないか、、、とおぼろげながら、可能性が見えてきた。現在の活動がC案となる。
それらの経験から、二者択一ではなく、A案もB案も、どちらも有意義な場合に、二兎を追おうと考えるようになった。
※この前後で、以下のような出来事があったようである。

2、1の経験を踏まえ、現在の活動で応用している事
「選手に教える」ことと「選手が考える」の両立
例えば、コーチングでは「選手に教える」ことと「選手が考える」ことを両立する事を考えながら指導をしようとしてきた。そのおかげもあるのか、今、指導者として様々な機会をいただけている。
3、「二兎を追い、二兎を得る」を実現する為に必要な考え方
・「二兎を追い、二兎を得る」為に大切だと感じるのは、『時間への意識、想像力、強い動機。』である。C案は、最初から着想していたわけでない。ただ、以下の3点を常に大切にしていた。
①時間の意識
「人生は時間で出来ている。どのような時間を過ごすのかは、どんな人生を生きるのか、と同義語。また、今、目の前の選択が、その後の人生の時間の中身を決める」という意識を鈴木良和氏は持っていた。
②想像力
AもBも、どちらも諦められない夢だった。もし、両方に人生の時間を使えていたら、、とそうしている自分を想像した。方法論は浮かんでいなかったが、それを想像しようとすることが大事だと感じている。
A案も、B案を同時に実施するC案の中で、人生を生きていける。日々の出来事に向き合える。それが幸せではないか?、と考え、その方法論を常に模索していた。
③強い動機
「人生の最後に満足した、、で人生を終えたい」という想いを死生観として持っている。その中、C案を着想した時に、実際に行動できた。
鈴木良和氏には「自分の人生の時間を、より良いモノにしたいという動機」という想いがある。そして、「自分が関わる、一人一人の中にある人生の時間を、よりよくしたい」とも思っていた。様々な出来事が重なった際に、具体的な方法論にたどり着いた。
「満足して死にたい」という死生観や動機を大切にし、一つ一つの選択を積む重ねたことが、今に繋がっているもし、人生の中で、二者択一に迷ったら、自分自身の価値観に照らし、強い動機、想像力、時間への意識を持ち、あなただけの第3案を、是非、考えてほしい。
4、投稿者の感想
・「自主性と規律」など『ANDの才能』が求められる事も多い。二兎を追い、二兎を得ようとする為、コーチや大人側の工夫や、必要な心構えを学べた。
・ジョブスのコネクティングザドッドにも通じると感じた。鈴木良和氏は、A案にも、B案に対しても、真摯に向き合っていたからこそ、瞬間的に予感を得られたのだと。特に、A案である。
「目の前の選手にコーチングを通じて貢献する」に誠実に向き合っていたからこそ、依頼のあった選手に対し、良い指導をする為に、(事業を手伝ってもらう)後輩の方と指導の勉強会等で準備をしていた。
勿論、大学院等で、コーチングの勉強なども真摯にされていやからこそ、後輩の指導員の方の勉強会も質の高い内容になっていた(のではないか)
・以前に投稿されていた「ある保護者からの運命の一言」にも関連が深く、感動しました。

この記事の著者
- ゴールドスタンダード・ラボ特別編集員
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埼玉県草加市出身。
埼玉県出身。B級コーチライセンス、コーチデベロッパー、ジュニアエキスパート保有。
ゴールドスタンダード・ラボ共同編集長。クリニックのレポート、記事の執筆・企画・編集を担当する。トーステン・ロイブル氏を講師とするコーチ向けEURO Basketball Academy coaching Clinicの事務局も務める。2023年4月より株式会社ERUTLUCに転職。
2016年より日本バスケ協会技術委員会・指導者養成委員会ワーキンググループや委員等も担当。様々な講習会のレポートや、JBAコーチカンファレンス質疑応答部分のモデレーター等を担当。
コーチ歴
宮城クラブ(社会人男子)
名古屋ダイヤモンドドルフィンズU15・U18 AC
Club Peace of Mind男女U15






