【レポート後編。祝U-18アジア選手権準優勝】
U-18男子日本代表チームがアジア選手権で準優勝に輝き、U-19世界選手権への出場権を獲得しました。試合映像はyoutubeでもフルゲームが4、5試合アップされておりますので、ぜひ、ご興味のある方はご覧ください。
今回、以前、トーステン氏が「タイムアウト、交代になどについての基礎的な考え方」について講義を行った会についてのレポート<後編>となります。
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Coaching
Important things beside game strategies<前編>
▼次回のEURO BBAは8/18(木)19:15~@大宮北高校
こんにちは。GSL編集部、株式会社アップセットの片岡秀一です。現在はEuro BBA monthly coaching – clinics in Japanの事務局も担当しています。月に1度、大宮北高校を舞台に、トーステン・ロイブル氏を講師に招いてプライベートクリニックを開催しておりますので、ぜひ、ご予定の合う方はお越しください。
http://goldstandardlabo.com/
8/18(木)19:15~@大宮北高校 (事前申し込み不要)
https://www.facebook.com/events/157091134712366/
さて、今回は2015年2月末に開催された講義形式でのクリニック「Coaching –Important things beside game starategies」についての講義内容をベースにレポートします。
▼目次
Coaching
Important things beside game starategies
目次
・Substitusions
・Time out management
・Roles for players/ Play time control
・Communication
・Principles
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Coaching
Important things beside game strategies<前編>
▼次回のEURO BBAは8/18(木)19:15~@大宮北高校
こんにちは。GSL編集部、株式会社アップセットの片岡秀一です。現在はEuro BBA monthly coaching – clinics in Japanの事務局も担当しています。月に1度、大宮北高校を舞台に、トーステン・ロイブル氏を講師に招いてプライベートクリニックを開催しておりますので、ぜひ、ご予定の合う方はお越しください。
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http://goldstandardlabo.com/euro-bba-japan/
8/18(木)19:15~@大宮北高校 (事前申し込み不要)
https://www.facebook.com/events/157091134712366/
さて、今回は2015年2月末に開催された講義形式でのクリニック「Coaching –Important things beside game starategies」についての講義内容をベースにレポートします。
▼目次
Coaching
Important things beside game starategies
目次
・Substitusions
・Time out management
・Roles for players/ Play time control
・Communication
・Principles
1、SUBSTITUTIONS(交代について)
・バスケットボールは40分間のゲームである。プレーの強度を保てるようにコントロールする必要がある。日本の場合、特に若い世代は5人で戦うケースが多く、どうしても体力の温存や、ファールトラブルを避けた戦術展開になりがちである。欧州では少なくて8人、多くて11人で戦い、常にコート上では強度の強い攻防を要求している。1人当たり、20~25分のプレータイムをリミットと考え時間の配分を行っている。
・ゲームプランにある選手は前半で全て起用すべきである。後半になって起用してもゲーム感を掴みにくい。
・ゲームのリズムを保つ事が大切だ。1回の交代で変えてよいのは、原則、2名まで。
★★重要★★
・自チームのキープレイヤーに効果的に休息を与える必要がある。クォーターブレイクを有効に使おう。
<例> この時間帯にキーマンを休ませ、勝負所で良いパフォーマンスを出せるように活用しよう!
3ピリのラスト1分で休憩(実質90秒~120秒を要する)
クォーターブレイクで2分休憩
4ピリの最初1分を休憩(実質、90秒~120秒を要する)
上記の形を意識する事で、実質、キープレイヤーのゲームタイムでの不在時間は2分となるが、実質、約5分間のパーフェクトな休憩が取れる。
※休憩の為にタイムアウトを一つ浪費するよりかは、ピリオドブレイクを活用したい。
2、「効果的な休息」についての考え方
・キーマンを休ませる時間帯では、良いディフェンスのラインナップを考えるべきだ。相手チームにオフェンスの機会やチャンスを制限すれば良い。場合によっては、オフェンスのペースダウンを検討しても良い。2~3回のポゼッションを乗り切れればOKである。
※コーチは、オフェンスの特徴で交代選手やチームバランスを考えるが、特に、キーマンを休ませている時間帯は、ディフェンスをベースに考えるべきだ。
・この時も、基本的には1人の交代だけにする。リズムを保つため、あまり混ぜ過ぎない。
3、タイムアウトのマネジメント
日本の場合、コーチが選手に悪い部分、問題だけを伝えてタイムアウトが終るケースが多い。プレイヤーはコート上の問題に対して、新しいアイデアを獲得できずに終わる。また、(選手の奮起を期待している意図があるにしても)、選手のミスを叱責し、問い詰め、追い詰め、それで1分間が終わる事も少なくない。選手はネガティブな気持ちを引きずりながらプレーをし、それが原因で選手とコーチとの間で壁が出来る事も珍しくない。常に「解決策」にフォーカスし、選手をポジティブな心境でコートに戻せるように心がけるべき、というのが基本的な考えである。
その為、トーステン氏は以下の基本的な原理原則を好んで使用している。
①サンドイッチの原則
良い事、指摘・改善点、良い事、という順番で伝える。選手に聞く耳を持たせることが大切だ。
②最大で3つの情報とする。
試合中、選手は理解できない。科学的にも、運動中で披露している選手が覚えられる新しい情報は3つが限界というデータも出ている。もし、あれもこれも、と、例えば8つも新しい情報を伝えているとする。きっと、そのタイムアウトは意味をなさないだろう。
③もっとも重要な項目を最後に伝える
④タイムアウトの時間配分では、下記をベースに考える。
10秒 休息
40秒 情報伝達(サンドイッチの法則を活用)
10秒 ハドルの時間、選手同士でのコミュニケーション
⑤とにかくシンプルに。KISSの法則
Keep it simple,stupid 馬鹿でも分かるように、、シンプルに!)
<具体例>
「ペネトレーションに対してボールマンはヘルプをもう少し頑張ろう、良いポジションでカバーの準備をしよう、ヘルパー(カバーのカバー)まで頑張ろう」
「15点のビハインドだね。でも、まだ8分もある。DEFを改善すれば、追いつけるよ」
※非常に単純であるが、これぐらいの簡単な事で良い(KISSの法則)である事を強調。
(後編に続く)
~こぼれ話~(写真①、③、④)
特定のトピックスに絞っての実技クリニックが多かった本講習会シリーズの中で、2015年2月開催会のように新しい切り口になったのには理由があった。福井県でバスケットボールの普及に幅広くかかわり、本クリニックシリーズにも強い関心を抱いていた大西順さんが、トーステン氏がHCを務めるU-16アジア選手権(2015年10月29日(木)~11月7日(土)インドネシアのジャカルタで開催。日本は4位入賞。惜しくも世界大会への出場権をあと一歩で逃した)のBOXスコアやplay by playを確認し、ゲーム展開やコーチ心理を分析する中で『選手起用やプレイングタイムの美しさ』を感じたことが発端であった。「何か原理・原則があるはずだ・・」と疑問に持ち、GSL編集部の片岡氏へ質問。クリニックの告知や案内などでトーステン氏と連絡を取っていた片岡氏が、大西氏の質問をe-mailで投げ掛けてみると、「非常に面白いトピックスであるので、次回クリニックのテーマにしよう」と決定した経緯が存在する。その話を聞いた大西氏は直ぐに仕事のスケジュールを調整し、平日の夜に開催されたクリニックに福井県から新幹線で上京し、Coaching –Important things beside game starategiesを最前列で受講。帰宅後には、さっそく、プレイングタイムの配分などを図解し、自分の考えと照らし、地元のコーチ仲間と是非や活用方法を討論し、バスケットボールの普及へ取り組むというエピソードがある。本件のように遠方のコーチからの質問に限らず、クリニック中、事後で参加者からの質問があれば時間が許す限り回答しようというトーステン氏の姿はお馴染みの風景である。
参加者、講師、両方の『激しく燃えるような熱い情熱(=Enthusiasm)』を感じさせるエピソードである。
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大西 順(おおにし じゅん)
福井県出身
昭和58年6月7日生まれ(32歳)
既婚/2児の親
福井県藤島高校/立命館大学卒
現在:DarkRedCrabs(福井県クラブチーム)ヘッドコーチ
大学卒業後、地元クラブでプレー。数年後、国体母体チームのDarkRedCrabs(ダークレッドクラブス)の立ちあげを仲間らと行い、チーム結成初年度で全国クラブ出場。初代コーチを務める。その後、中高生チームを中心にコーチを務め、今年4月よりヘッドコーチとしてDarkRedCrabsに復帰。 モットーは「always learn from the best」 バスケットと一本義(福井県地酒)をこよなく愛する。
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写真②
キーマンを効果的に休ませる際のイメージ図。ゲームタイムでは2分間しか休ませずとも、約5分間近くキーマンが連続して休息を取れる仕組みになる。カラーリングはGSL編集部から、U-18を世界の舞台へ導いてくれたコーチに敬意を表してのカラーリング。
<後編>
3、役割とルールについて(make roles clear)
日本の若い選手との面談をした際、自分自身の特徴を訪ねると、直ぐに返答できないケースがあった。これは普段から自分の役割や、特徴(長所、短所)を考える習慣の欠如が原因ではないかと考えている。コーチは、たとえ、選手のプレーを制限する事になっても、選手に役割を与える事を恐れてはいけない。役割を選手に与える事で自信を持ってコートに立つ事が出来る。期待した役割に対してフィードバックを行う事で、選手も自分のプレーを振り返りやすい。
上記の考えに則り、トーステン氏は選手に役割を与えたうえでのチーム作りを好んでいる。
① 選手に対してLetter(文字、役割)を与える。トーステン氏は5つの役割分担を好む。
② 5つの役割について
S=Shooter
D=Defender
R=Rebounder
T=Transition(ゲームのペースを上げることができる選手)
P=Penetrator
③ 選手との話し合い
選手に役割を理解させ、それを受け入れてもらう事が大切(players need to understand and accept their roles!!)
④ それぞれの役割についての説明
・S(=SHOOTER)
トヨタを指揮している時代、折茂選手にはシュートについては権利を与えた。自分が打てる、決められると判断した時はいつでも打ってOKという役割を与えた。
・D(= DEFFENDE)
ディフェンダーの選手は、その役割をチームの中で自覚しなければならない。常に相手のトッププレイヤーを守る役割について責任を負う。
・R(=Rebounder)
ディフェンスリバウンドを確実に取ることができる選手。相手のビッグマンに対して、ボールウォッチでも、ソフトコンタクトでもなく、ハードコンタクトを繰り返すフィジカルとメンタリティを持ち、ディフェンスリバウンドを死守できる選手。
・T(=Tranditon)
トランジションを早めることができる選手。また、常にゲームテンポを察する事ができる選手である事が望ましい。スピードドリブルが出来る、または、ウィングのランナーとして素早く何度でも駆け抜ける脚力がある。
・P(=Penetrater)
アウトサイドシュートだけのゲーム展開になったら、ペネトレイターを投入、または戦術の中で彼の比重を多くし、オフェンスを修正する。
上記のように役割を明確にしたうえで、コーチはBig Pictureを描き、パズルのように組みあわせる必要がある、
4、いつ、タイムアウトを取るべきか?
まず、「タイムアウトを取る」事に対する考え方を改めて考え直してはどうだろうか。タイムアウトは、けっして、相手チームに敗けている、劣勢という事を意味するわけではない。決して、恥ではない。
どのような試合でも問題は起きる。ゲームに対する良い感覚を失う事もある。タイムアウトの時間で、それを取り戻せば良い。
上記の考えに則り、トーステン氏が提唱するタイムアウトを取るべきタイミングは下記。
①Momentum change(react on momentum loser) / 瞬間的な変化への対応。
相手の良いプレーが2回以上続いて、ゲームの流れが移りそうな瞬間
②Run of opponent
相手チームの連続得点で、0-6で、優勢に試合を進められている時
(コーチによっては、2連続での失点で取る人もいる)
※ゲーム中の特殊な瞬間もタイムアウトの対象となる。相手のディフェンダーがハッスルプレーでオフェンスのミスを誘い、ルーズボールへダイブ。そのパスをトランジションが得意なガードが受け取り、相手を抜き去り、ベストなランでコートを駆けるウィングマンにパス。レイアップのこぼれ球をインサイドの選手がリバウンドでダンク!!相手ベンチ、会場を含めて最高潮の盛り上がりを見せた。そのような場面もタイムアウトの対象となる、
③Total strategy change / 大きな戦術の変更
ゲーム前のプランとの変更や、相手チームの戦術に対して変更をする時
④Lost game rhythem / ゲームのリズムを失っている時
コート上に困惑が多くなり、オフェンスの展開や重くなる、ディフェンスのコミュニケーションがルーズになった場面
⑤ Rest time / 最後のピリオド限定
休息のためのタイムアウト。
ゲームの終盤、もっとも大切な場面でクラッチシューターやベストな5人をゲームに出せるようにコーチは配慮すべき。その為の方法の一つとして。交代が出来ない状況で選手を休ませたい時。
※「効果的な休息」の章でも説明した通り、極力、休息のためのタイムアウトを取らずに、かつ、中心選手をもっとも大事なゲームの場面でフレッシュな状態でコートの上に立てるように細心の注意を払う必要がある。
5、チームトーク(試合前に何を話すか)
基本的に、ここでもKISSの法則(Keep it simple,stupid!)を考える。オフェンス、ディフェンス共に最重要項目の1つを伝える事を心がけている。
トーステン氏のチームトークの内容は下記となる。
GAME PLANについて
・Main tasks offenceについて
相手ディフェンスの種類、ゾーンかマンツーか、ヘルプの状況などビッグマンの有無、その弱点
・Main tasks deffenceについて
シューティングゲームにしたいのか、ペネトレイトさせてよいのか、ファーストブレークはどうなのか、相手ビッグマンのオフェンスはどうなのか?
・マッチアップについて
トーナメントの場合は事前のスカウティングが難しいが、どのようなマッチアップがベストなのかを伝える。
そして、「我々は準備をしてきた!」という自信を与える事が重要であると強調、試合と言うのは「準備してきた事のご褒美をもらう時間である!」という手応えを抱かせる事が重要である。
6、ハーフタイムのトーク
ハーフタイムについて、トーステン氏が考えている重要な項目は下記となる。
・選手だけの時間を与える(ロッカールームであれば、入室時間を調整する)
・サンドイッチの法則(「3、タイムアウトのマネジメント)を参照)
・もっとも重大なオフェンスの問題を伝える
・もっとも重大なディフェンスの問題を伝える
・解決先にフォーカスする事
「シュートが入らない!なぜだ!馬鹿か?気持ちの問題だ!」と選手を叱責するのではなく、解決策に焦点を当てる。
<例>
シュートが入らない。なぜだろうか?スクリーンがエアスクリーンになっていないか?セットをする位置は正しいか? ユーザーのタイミングは適切か? ウィングにボールをデリバリー出来ていないか?なぜだろうか?
スローガン“Focus on Solutions!!!”
7、試合後のトーク
トーステン氏の考え方や、進め方は下記。
勝った日、、、、、、何もなし。
負けた日、、、、、、何もなし。
その日は、何も言わない。基本的に、全て翌日にする。ゲーム後に直ぐに伝えたことは、たいてい、間違えている。感情的になっており、正しい判断が出来ない。ほとんどの場合、間違ったことを選手に伝えてしまっているケースが多い。
8、トーステン氏の哲学/考え方の原理原則について
think and act positively rather than negativiely
ネガティブにならず、ポジティブに考え、行動すること。
・It is always too early to quit–stay focused!!!
諦めない!バスケットボールはエキサイティングでとってもクレイジーなスポーツだ。20点差、30点差あっても、諦めず、問題解決にフォーカスすれば、何かを起こせる。
・Think about solution rather than worry about problem
問題について考えるよりも、解決策について考える。
・mistakes are gift—best opptunity to improve
失敗は神様からの贈り物。成長する為の最大の機会だ!
・Make the best out of all situation!
どのような状況でも、必ずベストを尽くす。
・Respect the player and appreciate effort!
プレイヤーをリスペクトする。そして、プレイヤーが成長や改善の為に「努力した」事に対して敬意を示す事。プレイヤーに対する敬意の表し方は、話し方、言葉の選択、身振りなど様々な方法で表現する事が出来る。
写真
①<前編>参照
②会場の様子(講義前)
③「デートスペシャルなび」掲載時の記事画像(掲載許可あり)
「女子をくすぐる”オトナ男子”製造マガジン」デートスペシャルなび http://www.date-navi.jp/
※書店、コンビニなどにて展開中
オトナ男子プロファイリングコーナー。
トーステン氏へのインタビュー(1部掲載)
◆仕事に対するこだわりは?
コーチとして選択を迫られる事もあるでしょう。良い選択をする為、または良い決断を下すため、コーチである私にとって常に重要な””5つの原則””があります。成功を引き寄せる為には、、、
・不平不満を言うのではなく、あらゆる状況の中でも何かを得る事
・これで十分と思うよりも、もっとそれ以上のことをやる事
・何が結果として生じるか(どんな結果が待っているか)ではなく、何をすべきかに集中する事
・問題を心配するのではなく、解決策を考える事
・ネガティブになるのではなく、ポジティブに考え、行動する事
◆長くコーチをされて最も印象に残った事は?
–コーチ人生において印象的な場面は沢山ありました。2007年、代々木第一体育館で開催されたオールジャパントーナメントで、当時私が指揮していたトヨタが優勝した時の、素晴らしい気分は忘れられません。東ドイツ出身のコーチとして初めて、ドイツでコーチオブザイヤーを時の感動も大変なものでした。しかし、最も重要な瞬間は、ベルリンの壁が崩壊した事です。東西ドイツが再統一された事は、私にとって世界のバスケットボールへの扉が開かれた瞬間でもありました。
※雑誌誌面、及び、記事の一部分については出版社の方の許可を得て掲載しています。続きはデートスペシャルなびをご参照下さい。