Euro basketball Academy Coaching Clinic”Game like practice(2018年9月開催分)について、オープニングで語れらた内容、中盤以降のトピックスを簡易レポートとして掲載します。近況報告として、3×3のディレクター/ヘッドコーチ就任に関するコメントも掲載しています。
※当日の参加者で、渋滞などの影響で到着が遅れ方について、オープニング内容のさらなる詳細が気になる方は事務局の片岡まで連絡下さい。テキストのメモがありますので、内容を共有します。実技指導の様子と合わせて、色々と発見もあるのではないかと思います。(担当:片岡 kataoka.upset@gmail.com)
◇Euro basketball Academy Coaching Clinic”Game like practice “の簡易レポート(2018年9月20日開催分)
Game like practice
How to get players ready for the competition
Principles, methods & drills
1、オープニング
大原則
『強度やスピードだけがゲームライクな練習の構成因子ではない』
・「ゲームライクな練習」について考える際に重要なのは、「IntensityやSpeed『だけ』がゲームライクな練習の構成因子ではない」という事。多くのコーチが、ゲームライクと聞くと、IntensityやSpeedを求めるのではないか。勿論、間違えではないが、それだけでは無い事を強調したい。スピードというのはゲームライクな練習を構成する10%とか15%ほど。オフェンスやディフェンスの組み立て、状況判断が重要になる。
・具体的には、『チームで使う戦術、spacing,状況判断の要素を練習ドリルの中に織り込む事で、ゲームライクな練習の構築も可能。遅いスピードで、身体接触が無くとも、ゲームの質を向上させる助けになる練習をする事は出来る。
・Offence Fundamental drills desgined from your offence
自分達が、どんなオフェンスをしているのか。そのデザインを忘れてはならない。パス練習、シュート練習にしても、それが個人ドリルでも、複数人の練習ドリルでも、貴方のチームのオフェンスシステムのコンセプトから導きだれたモノである必要がある。
John Woodenは”Do passing drills that come from your offence”という言葉を残した。パスドリルも、あなたのチームで使うパスの種類、スペーシングが織り込まれたドリルである必要性がある。パスドリルを見ていれば、そのコーチ/チームが志向しているオフェンスコンセプトが分かるモノだし、そうじゃないとおかしい、と言っても良いぐらい。
2、それ以降のトピックス箇条書き
・パスを具体例に、様々な観点からの提言
・ゲームライクな練習の構成因子の紹介
・各トピックスについて具体例とロイブル氏の考えの紹介
・習得させたいテーマについて、カリキュラム構築の原理・原則。その方法論について。
ー全体を見せ、分解練習に入り、また全体に戻る。
ー競争的な要素は分解練習に組み込む
ーIntensityの部分も分解練習に組み込む
ー全体、部分、全体というサイクルで進める
ー全体に戻る際には、負荷を強くする。
方法論として「Game Method」を好んで使う。
(身体的なアプローチ以外の戦術的な負荷の掛け方)
※Game Methodについては、気になる方は、EuroBBA参加者の意見や感想を伺ってみると凄く参考になるような気がします。
3、近況について
EuroBBAの前日頃に、JBAの3×3のディレクターコーチ / ヘッドコーチにも就任されたご自身の近況についても触れ、簡単なコメントを。ご本人の許可のもとで、当日に紹介されたお話の一部を掲載。
「今回の選択は、自分自身にとっても非常に難しい選択だった。3×3について、ほとんど経験や知識が無かった事が理由の一つ。その為、セルビアやドイツのコーチ、関係者と様々な話をした。結果、彼らが3×3に積極的に取り組んでいるのは、3×3が、選手の育成、特に若い選手の育成に非常に有効な競技であると認識し取り組んでいる事を学んだ。バスケット界全体にとっても、非常に重要なトピックスであると思うようになった。
若いコーチの方には、是非、3×3を実際にプレーしてみて欲しい。私自身、夏にギリシャへ訪問した際に、3×3のトーナメントがあったので参加したが、想像以上に展開が早く、非常にハードでタフです。
3×3は、スペースがとても広く、とてもシンプルなゲームになる。その為、選手がゲームに関わる機会も多い。シンプルなゲームの中でファンダメンタルの向上を促し、選手の向上に繋げられる事が出来ると信じている。国際ゲームで活躍できる、第2の八村、渡邊選手のような選手を育てられるように、新しい挑戦を通じ、日本バスケット界に貢献していきたい」
※注意。
・育成に関するトピックスが多くなったのは、EuroBBA参加者に育成世代のコーチが多い為。
・3×3に関するコメントは、今回の主題ではないので、本当に概要のみ。挨拶の延長。
・シンプルなゲーム、それゆえに選手のファンダメンタル向上に非常に有益、という分析に至る様々な項目や、3×3におけるファールコールについての見解などもお伺いしたいのですが、御本人の意図と異なる解釈で表現をしてしまうことを危惧し、ここでは触れていません。
4、GSLより御礼
今回、EuroBBAでのテーマについて、様々なカテゴリー・地域のコーチの方のご自身の取り組みや、工夫されている事についてお伺いし、掲載しました。ご協力ありがとうございました。様々な意見や、考えに触れ、各々のコーチの方が自分の哲学を深めていくことが重要であると考えています。
今後もご協力頂けますと幸いです。
<その1>
TOKYO BLITZ ACADEMY(東京都練馬区)
平林諒コーチ
https://www.facebook.com/TokyoBlitzAcademy/
『ゲームライクプラクティスを構築するために工夫している事、心掛けている事』
ゲームライクな練習の準備として基礎練習の段階から試合の「いつ・どこで・どうやって」表現するのかをイメージさせます。基礎練習から状況判断の練習を経てゲームライクの練習に移行しますが、プレーヤーが理解できる明確な答えを全体で確認し、実際の練習ではプレーヤーの創造性も重視します。
コーチがイメージしていなかったプレーをしても否定はせず
「なぜそのプレーを選んだ?」「他に選択肢は何があた?」
などプレーヤーと話し合います。確認することによって自ら考えて判断し、時には枠から外れたプレーが出来るような柔軟な思考を持ったプレーヤーを養えるような練習を心掛けています。
<その2>
『ゲームライクな練習を実現する為に工夫している事は?』
◇栗野譲さん/エリータスアカデミー(沖縄、名古屋など)
http://www.elitusacademy.net/
https://www.elitusdesign.net/
「自分は現在バスケットボールアカデミー形式でコーチングをしていますが、何をしても「ゲームライク」、そして向上しやすい環境を心掛けています。
練習開始前の時間帯は選手達に自由にシューティングを設ける機会を与えていますが単純にシューティングをさせてるだけではなく、試合で撃ちそうなシュート、そして撃てるように練習をさせています。また、シュート率、シュートした場所、そしてシューティングゲームも交えたりします。
スキル練習時には必ず試合で撃つペース、スペース、そしてフィジカルの要素を取り入れています。選手はフットワークや基礎的な部分をルールを破っていないので間違えていないかも知れませんが「試合で通用するかしないか」を強調しています。
そしてワークアウト後の終わりに近づくと様々ケーススタディを考え攻撃するスポット、ドリブル回数、プレイアクション、制限時間を設けてストレスをかけるようにします。スコアを付ける事はもちろん、競争心を高めるために結果次第では罰ゲームもあります。
試合形式の練習でももちろん試合を想定した環境を作ります。ファウルトラブル、ビハインド、リード、起点になる選手を変えたり、時間制限など様々状況を選手達に経験させる事によって選手の技術と知識が身に着くと思います。また、バスケは「インスティンクデイブ」な競技なのでいずれかは考えなくても全てをゲームライクにこなさなければ行けません。
結局、どんな練習を計画しても最終的な着地点は試合にどう繋がるかを意識しなければ行けません。選手の思想とコーチの思想が違うことが多いので実践的な練習を重ねながら大事な項目についてコミュニケーションを取るべきです。」
※日本バスケットボール協会公認B級ライセンスに加え、USA BASKETBALL GOLDコーチライセンス、米国・アマチュア競技連合(AAU)コーチ登録資格なども取得済み。また、PCA DOUBLE-GOAL(米NPO法人Positive Coaching Alliance)でもオンラインコースを修了。過去2回、都内でPositive Coaching Allianceの哲学を踏まえたコーチ向けのワークショップに登壇している。
栗野氏が北海道でプレーをしている際、ロイブル氏がHCを務めていた。
<その3>
伊藤翼コーチ(Koshigaya East Warriors/越谷市内中学校外部コーチ)
「まずは試合などを振り返り、ホワイトボード等に書き込みながら長所短所を挙げさせます。(個人の課題も)自分達で考えさせて、そこからOFとDFのをさらに詳しく別けさせます。
その後はそれを元に分解練習をします。
分解だけで終わるのではなく、その後は分解した内容を組み立て練習をしまた振り返る時間を与えます。ゲームに使えること、ゲームで想定できることを練習に取り組み、選手が考えて動けるように取り組んでいます。」
※JBA公認C級ライセンス保持。JBA主催のジュニアエリートアカデミー(ビックマンキャンプ)にもアシスタントコーチとして参加経験もある。かつては格闘技にも励んでおりK-1の最終選考トライアウトまで進んだこともある本格派。得意技は三角締めからのオモプラッタ。
<その4>
三重県立稲生高等学校バスケ部HC
宮原利享(通称:ミヤッチ)
なるべく一つの練習から複数のことを学ぶことができるようにしています。今は特に視野を広く持つ力をつけさせたいので、1on1の練習では複数の組が同時に1on1を行うようにし、周りを見ながら1on1をさせています。
実戦形式の練習ではチーム分けをし、基本的に得点をつけて競い合いをするような練習を組んでいます。例えばリバウンドの3on3では、単に外からシュートを打って3on3でリバウンドをするのではなく、DFリバウンドを取れば2ポイント、OFリバウンドを取れば1ポイントなどをして(DFリバウンドの重要性を伝えるために)勝ち負けにこだわりを持たせるようにしています。
<その5>
Rising-K(神奈川県足柄郡開成町、相模原など広範囲)
草柳智紀コーチ(Mr.RGK)
http://www.Rising-k.com
練習で工夫している事は、いつも同じ状況は起こらないと仮定してます。対人スキルも対戦相手が変われば同じスキルは通用しない事もあるし同じスキル練習や、練習メニューをして、チームで練習するとチームメイトにはわかってしまう。練習したスキル、練習メニューを使って、色んな駆け引きのアクセントを入れるように練習してます。
どのような事がコート上で起きていたか?選手の心理面、スペース、点差、他のプレイヤーが何をしていたか、などが理解出来るとより色んなアイデアが生まれてくる様に練習メニューを考えてます。
<その6>
福井県成年男子チームAC
Dark Red Crabs HC
大西順
シュートを決めるという目的達成のためには、目の前の小さな判断に対して最良な選択を重ねることが必要です。ゆえに、ゲームライクな練習=連続した判断練習だと考えています。「連続した判断練習」の極地を考えると、結局は5on5になります。ですから5on5の練習は外しません。その中で「良い判断が途切れるポイント」はどこなのか=判断ミスはどこに集中しているのかについて映像・スタッツを元に探し出します。そして原因を明確にして、ミスが生じた状況となるべく同じ状況で分解練習をします。ただし、あくまで分解練習は分解練習ですから、常に5on5の中で試行錯誤して、よい判断を継続できることを目指しています。