3つの段階で考える、育成年代のプレイヤーに指導すべきバスケットボールスキル
子どもたちに何から教えるべきか分からないという、育成年代のバスケットボールコーチが大勢います。以下で、それぞれの年代に対して何を教えるべきかのアドバイスを提供します。私たちは3つの段階に分解して考えています。それぞれの段階を習得したら次のレベルに進み、より多くのスキルとコンセプトを教えることができます。
年齢にかかわらず、初心者は第1段階から始めてください。下記ガイドラインでは、各段階のとなりに年齢を記載しています。プレイヤーの年齢やスキルレベルに応じて、指導内容を進めてください。
例えば7-10歳のプレイヤーが、第1段階の習得に4年間を費やす一方で、未経験者の13歳のプレイヤーが、2週間で第2段階に進むこともあるかもしれません。
私としては、毎年一度第1段階に立ち戻ることをオススメします。高校や大学のコーチの多くがそうしています。高校や大学の年代であれば、段階の進行を早めればいいのです。これにより、プレイヤーは一年を通してファンダメンタルに取り組むことができます。
私たちはまた、時間をかけてシーズンを通じた練習プランを書き起こすことも推奨しています。そうして徐々に段階を進めていってください。もしかしたら、第1段階のスキルを教えるのに数年を費やすこともあるかもしれませんが、それはまったくもって問題ではありません。育成年代のプレイヤーに対しては、私たちは長期的な成長を重視しています。11歳時の1年間に何勝したかと言ったことではありません。もしあなたがあまりにも早く計画を進めてしまえば、彼らの長期的な成功を阻害してしまいます。あなたはまず、強固なファンダメンタルの習得をさせなければなりません。
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第1段階(7-10歳)
この段階で優先的に教えるべきことは下記のとおりです。
- レイアップシュート
両方の手で打つ方法をたくさん練習させなければなりません。コーチとしてあなたのゴールは、プレイヤーが左右どちらの手からでもシュートを決められるようになることです。適切な足で踏み切ることを教え、左足で踏み切るときは右手で、逆の場合は左手でシュートを打てるようにしてください。最初は恐らく、ゴールからかなり近い場所から、かつドリブルなしで、フットワークの練習のために1ステップで練習させる必要があるでしょう。ドリブルを突く段階になれば、右からのシュートは右手で、左からのシュートは左手でドリブルを突けるようにします。 - フットワーク
トリプルスレットポジションと、トラベリングをしないための左右のピボット、ジャンプストップとボールを受けた際にゴールに正対する動きなど、あなたはフットワークを教えることに多くの時間を費やす必要があります。 - シュートフォーム
この年代では、私たちは小さなボールと低いゴールで練習することをオススメします。それが難しければ、シュートのために多くの力を出すために、プレイヤーの肘が下がってしまうのを許容するようにしてください。 - ボールハンドリング
左右どちらの手でも同じようにボールを扱えるように教えてください。スピードドリブル、クロスオーバー、プロテクトドリブル、リトリートドリブル(back-up dribble)など、基本的なドリブルが全て含まれます。 - 運動&動作スキル
走り方、ジャンプと着地の方法、スキップ、ストップ、横への移動、スクワットやランジの動作など、あらゆる動作を教えてください。もし自身に知見がなければ、プロからのアドバイスを受けてください。 - 基本のパス
基本的なチェストパス、バウンズパス、オーバーヘッドパスを教えてください。 - 2対2、3対3
バスケットボールのコンセプトを教えるための、2対2、3対3を多く取り入れてください(特にドリブルを用いずにプレイするドリルは有効です)。これによりプレイヤーは多くの経験を積むことができ、十分なスペースでプレイすることができ、新しいスキルを学ぶ機会を得られます。年齢とスキルに応じたドリルを多く用いるようにしてください。 - オフェンス
凝り固まった戦術やパターンのあるオフェンスを教えないでください。まずはプレイヤーが快適な状態でプレイできる必要があります。すると彼らは自分自身で物事を把握するようになります。コーチとして検討すべきことは、彼らを動かし、止まらせないことです。練習のはじめにいくつかの基本的なカッティングとシューティングドリルの中でスクリーンを教えるならば、プレイヤーはモーションオフェンスの中で動く術をすでに理解しています。これによりオフェンスを教える時間を節約でき、単にプレイに集中することができます。一度プレイヤーがコート上で快適にプレイできるようになったら、そのときは適切なスペーシングを示してあげてください。上達するにつれて、モーションオフェンスを教え始めることができるでしょう。 - 基本的なカッティングとオープンになる方法
時間が許すならば、バスケットカットやストレートカットを教えてください。私は練習のはじめにこれらのカットをシューティングドリルに取り入れることをオススメしています。これにより時間の節約ができるからです。 - ディフェンス
基本のスタンスとスライド、オフボール時の原則を教えてください。ディフェンスに多くの時間を費やしてしまう必要はありません。彼らが成長するにつれ、徐々にディフェンスに費やす時間は増えることでしょう。ここでは1回の練習につき5-10分程で充分です。またこの段階では、私達が成長の観点からゾーンディフェンスには反対しています。
第2段階(10-12歳)
上記のスキルを、全て高度なものに拡張する必要があります。しかし忘れてはなりません。この年代であっても初心者であるならば、第1段階から始めてください。そして各シーズンの初めには、必ず第1段階で始めてから次の段階に進んでください。
- レイアップ
通常のレイアップのほか、両足ジャンプでのレイアップも教えてください。 - カット
バックカットやカールカットなど、より多くのカットを教えてください。 - シュート
シューティングフォームには引き続き取り組み、キャッチ&シュートやドリブルオフからのシュートなど、様々な動きのシューティングドリルを取り入れてください。 - ボールハンドリング&ドリブル
インサイドアウトやヘジテーション、レッグスルーなど、より多くのドリブルスキルを教えてください。 - パス
基本的なパスを教え続け、ベースボールパスやラップアラウンドパスといった、より高度なパスにも取り組んでください。 - プレッシャー下でのパス
ディフェンスを含めたパスのドリルを取り入れて、パッサーにプレッシャーを掛けるようにしてください。 - スクリーン
基本的なスクリーンを教えてください。 - フットワーク
ジャブステップやパスフェイク、シュートフェイクといったボールフェイクを教えてください。 - リバウンド
リバウンドのテクニックを教えてください。 - ポストムーブ
ドロップステップやジャンプフックといった基本的なポストムーブを教えてください。 - スペーシング
基本的なスペーシングのコンセプトを教えてください。 - 2対2、3対3
引き続き2対2、3対3に取り組んでください。さらに多くのモーションオフェンスの状況や、5対5の状況に進むこともできます。 - ディフェンス
ディフェンスのスタンスやスライド、オフボールの原則について、少しだけ多くの時間を使ってください。またこの段階では、私達が成長の観点からゾーンディフェンスには反対しています。
第3段階(12-14歳)
これまでのスキルをより高度なものに拡張する必要があります。
- レイアップ
引き続きレイアップの練習に取り組み、踏み切りとシュートを同じ側の手足で行うシュートを教えてください。 - カット
基本的なカットに加え、より多くのカットを教えてください。 - シュート
シューティングフォームを固めることを強調し続けてください(ゴールの高さとボールの大きさは大人と同じものになります)。動きの中のシュートや、キャッチ&シュート、ドリブルオフからのシュートを練習してください。 - ボールハンドリング&ドリブル
スピンムーブやビハインドバックなどより多くのドリブルを教えてください。また、クロスオーバーからビハインドバックなど、複数を組み合わせたものも教えることができます。 - パス
ドリブルからのパスやビハインドバックパス、ピック&ロールからのパスなど、より高度なパスを教えてください。 - プレッシャー下でのパス
ディフェンスを含めたパスのドリルを取り入れて、パッサーにプレッシャーを掛けるようにしてください。 - スクリーン
基本的なスクリーンを教えてください。 - フットワーク
ジャブステップやピボット、パスフェイク、シュートフェイクといったボールフェイクを教えてください。 - リバウンド
より多くのリバウンドを教え、リバウンドのドリルにより多くの時間を使ってください。 - ポストムーブ
すでに紹介したムーブを教えておくことで、プレイヤーは、ドロップステップからのカウンタームーブやアップ&アンダーといったプレイを学ぶ準備ができているはずです。 - スペーシング
より高度なスペーシングドリルに取り組んでください。 - オフェンス
より多くのモーションオフェンスの状況に取り組みます。あなたのプレイヤーは、この段階でディフェンスを読む力が高くなっていることでしょう。 - ディフェンス
基礎を強調し続け、この段階ではローテーションを学ぶこともできます。またこの段階では、私達が成長の観点からゾーンディフェンスには反対しています。
原文では、各項目に対して、ドリルや考え方、関連商品のリンクが掲載されていますが、リンク先が全て英語のためここでは省略しています。気になる方は下記から出典元をご参照ください。
出典:Coaching Youth Basketball – What Should You Teach?|breakthroughbasketball.com
※本記事は出典元の許諾を得た上で、全文翻訳の形で掲載しております。
この記事の著者
- JeffとJoeのHaefner兄弟が2006年に開始。バスケットボールコーチ向けの情報サイトやDVD、キャンプやアプリなどのコンテンツを開発。これまでに200万以上の訪問者、1万以上の記事を公開するなど、バスケットボールコーチへのサポートを提供している。
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