インタビュー:佐良土茂樹(ゴールドスタンダード翻訳者)前編

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『ゴールドスタンダード』を通じて考えたこと、発見、学び、疑問などを考える連続シリーズ。第二弾は、翻訳者でもある佐良土茂樹氏(写真参照/ギリシャへの研究の際に撮影)。元々は、自分自身の研究の為にコーチKの書籍を翻訳したことが全ての始まりだったという。

『ゴールドスタンダード』が読者に対して提供できる学びや発見にはついて、翻訳者である立場からはどのように考えておりますでしょうか?

本書には二つの側面があります。

一つの側面としては、バスケットボールのアメリカ代表が北京で金メダルを獲得するまでの物語があって、レブロンやコービーやキッドなど一流選手がどのような道のりを経て頂点に立ったのか、その軌跡を知ることができます。NBAファンのみならず、バスケを好きな人なら誰しもが楽しめる物語です。

またもう一つの側面としては、チーム作りの哲学があって、一つのチームを作るためには時間をかけて様々な要素をチーム内に作り出さなければならず、その様々な必要不可欠な要素を学ぶことができます。広い意味では経営学にもつながる射程を持っていす。その意味で、社会やスポーツでなんらかのチームに属していり、あるいはチームを率いている人にとって有益な本だと思います。

佐良土さんとコーチKの一番最初の出会いはどのようなものでしたか?また、そこからのめり込むまでになる経緯やのめり込んだ時のエピソードなどがあれば教えてください。

『ゴールドスタンダード』の「訳者あとがき」にも書きましたが、僕がアメリカで高校に通っているときに(1998年)、デューク大学の試合を観た時が一番最初の出会いです。当時デューク大にはかなり能力を持った選手たちが集まっていて、それでいながらディフェンスも頑張り、チームワークも最高のチームでした。

その指揮を執っていたのがコーチKでした。「このチームを作れる人は只者ではないな」というのが最初の印象ですね。ただそのシーズンは、圧倒的な力でNCAAトーナメントの決勝まで行きましたが、結局コネチカット大学に負けてしまいました。

このように、最初は単純なあこがれの気持ちからコーチKやデューク大のことを追いかけるようになりました(後で分かることですが、彼の著作のなかには自分がなんとなく理想としていたコーチ哲学があって、しかもそれは自分が研究するアリストテレスの倫理学とも近いものだったので、さらに親近感がわきました)。

また1999年3月に、アメリカでナイキのフープサミットが開催されて、高校生のアメリカ選抜と世界選抜が戦いました。世界選抜には日本から田臥さんも参加していました。その試合では、日本では敵なしだった田臥さんが、アメリカ選抜のポイントガードにかなり圧倒されていたので、自分としてはとても衝撃を受けました。その選手こそが後にデューク大で一時代を築くジェイソン(ジェイ)・ウィリアムスでした。

それ以来、彼のことに注目するようになりました。その彼がデューク大学に進学したことで、さらにデューク大に注目するようになりましたね。

(インタビュアー 片岡秀一/UPSET)

佐良土茂樹(サロウド シゲキ)
1981年川崎市生まれ。2000年アメリカ・マサチューセッツ州のセントバーナード・ハイスクールを卒業。学習院大学法学部を経て、上智大学大学院哲学研究科博士後期課程に在籍し(専門はギリシア哲学、倫理学)、文学部哲学科のリサーチ・アシスタントも務める。中学校からバスケを始め、学習院大学篭球部でプレーした後、2005‐07年には上智大学男子バスケットボール部アシスタントコーチを務めた。HOOP HYSTERIA会員。

 

この記事の著者

片岡 秀一ゴールドスタンダード・ラボ特別編集員
1982年生まれ。埼玉県草加市出身。株式会社アップセット勤務の傍ら、ゴールドスタンダード・ラボの編集員として活動。クリニックのレポート、記事の執筆・企画・編集を担当する。クリニックなどの企画運営も多く手掛け、EURO Basketball Academy coaching Clinicの事務局も務める。一般社団法人 Next Big Pivot アソシエイトとして、バスケを通して世界を知る!シリーズ 第1回セルビア共和国編では、コーディネーターとして企画運営に携わりモデレーターも務めた。 J SPORTSでB.LEAGUE記事も連載中。

宮城クラブ(埼玉県クラブ連盟所属)ではチーム運営と共に競技に励んでいたが、2016年夏頃に引退。HCに就任。これまで、埼玉県国体予選優勝、関東選抜クラブ選手権準優勝、関東クラブ選手権出場、BONESCUP優勝などの戦績があるが、全国クラブ選手権での優勝を目標に、奮闘中。